投稿者: 古川尚弘

シングス技術研究所 共同主宰  ソフトウェアエンジニア  一級建築士

採光補正係数目盛の作成

JG_採光補正 実行画面

JG_採光補正

採光斜線採光補正係数目盛を作成できる外部変形ツール

「JG_採光補正」は、断面図の開口位置等から採光補正係数を算出し、Jw_cad上に計算式採光斜線を自動記載するとともに、採光補正係数目盛りを表記できる外部変形です。

採光補正係数目盛りについては、聞きなれない方も多いと思いますが、採光補正係数を視覚的に確認でき、開口部の有効性や採光条件をおおまかに把握できる表現ツールです。
「確認申請memo」をよく見る方は絵面に見覚えがあるかと思います。
窓の大きさや配置を検討する際の目安として、とても有効なものです。

採光斜線とは 📌

採光斜線は、確認申請図への記載としては必須ではありませんが、断面図に記載することで、計画している開口部で採光がどの程度確保できるかを視覚化できます。

一般的に「斜線」と聞くと、道路斜線や高度斜線のように、敷地境界側から建物に向かって引く規制ラインを思い浮かべることが多いかもしれません。

採光斜線はそれとは逆に、建物側から境界線側へ引く有効ライン です。
規制の限界を示すというよりも、採光上有効となる有効範囲を示しています。

一方で、都市計画法の用途地域種別で斜線勾配が決まるという点では、道路斜線や隣地斜線などと考え方は近いものになります。

✅ 採光補正係数と採光補正係数目盛り

2000年の建築基準法改正により、採光補正係数による評価方法が導入されました。

これにより、従来の採光斜線による判断に加えて、開口部の位置や高さ、隣地境界線等までの距離関係を考慮しながら、採光の有効性を評価できるようになりました。
また、採光の有効性は 0〜3の範囲 で評価されるため、従来よりも細かな採光検討が可能になっています。

採光補正係数目盛りとは、この採光の有効性を目盛りとして表したものです。
つまり、開口部ごとの採光の度合いを視覚的に確認できる、「見える化された定規」 のようなものです。

法改正以前に用いられていた採光斜線は、開口部が採光上有効か無効かを判断するには分かりやすい表現方法でした。
しかし、採光補正係数の導入により、採光の有効性が0から3まで連続的に変化するようになったため、単純な斜線だけでは、その違いを十分に表現しにくくなりました。

そのため、改正後の採光検討においては、採光補正係数目盛りを用いることで、開口部ごとの補正係数を視覚的に把握しやすくなります。
採光補正係数目盛りは、現在の採光検討に対応した、より効果的な表現ツールといえます。

採光斜線と採光補正係数目盛

✅ JG_採光補正でできること

「JG_採光補正」では、断面図上に採光斜線と採光補正係数目盛り等を表示できます。

具体的な機能と記載項目は以下の通りです。

  • 窓の直上部分の水平距離と窓中心高さをもとに採光補正係数を算出
  • 断面図に算定の根拠となる計算式と採光斜線を記載
  • 断面図に用途地域に応じた補正係数目盛りを記載

JG_採光補正 水平距離によって異なる採光補正係数目盛

✅ 採光補正係数目盛りの考え方

採光補正係数目盛りは、主に以下の条件によって決まります。

  • 建物から隣地境界線までの水平距離
  • 敷地内の他の建物までの水平距離
  • 用途地域
  • 窓の高さ
  • 窓の直上にある部分の位置

これらの条件をもとに、採光補正係数を算出し、断面図上に目盛りとして表示します。

そのため、採光斜線と同じように、開口部の有効性を確認するための目安として利用できます。

JG_採光補正 用途地域によって異なる採光補正係数目盛

✅ 不利側の判断を視覚的にサポート

窓の直上にある部分が複数ある場合は、採光補正係数が小さい方、つまり 採光条件として不利な側 を採用する必要があります。

採光条件が厳しくなるほど、採光斜線(勾配:h/d)は立ち上がります。
そのため、採光斜線を断面図に表示することで、どの部分が不利側になるのかを視覚的に判断しやすくなります。

JG_採光補正 採光勾配:h/dの比較

JG_採光補正の活用メリット 📌

  • 採光条件を断面図上で直感的に確認できる
  • 開口部の大きさや位置の検討がしやすい
  • 採光補正係数の値を図面上で確認できる
  • 複数の直上部分がある場合でも不利側を判断しやすい
  • 採光検討の初期段階や概略確認に活用できる
  • Jw_cad上で作業できるため、図面作成と検討を効率化できる

💡 (まとめ)採光検討を、より分かりやすく・効率的に

採光補正係数は、計算だけではイメージしにくい場合があります。
「JG_採光補正」を使えば、断面図上に採光斜線や採光補正係数目盛りを表示できるため、採光の有効性を視覚的に把握できます。

開口部の計画や採光条件の確認を、よりスムーズに行いたい方におすすめのツールです。

▶️ 操作方法

【1】zipファイルを解凍し、JWWフォルダー内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニューから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_採光補正」フォルダー内の採光補正.BATをクリックします。

【4】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎窓上部のポイントを指示」と表示されるので、窓の上部にあるパラペット天端や軒先などの建築物の部位をクリック(左クリック (L)で任意点、右クリック (R)で読取点)します。

【5】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎窓中心(高さ)を指示 」と表示されるので、窓の中心点をクリック(左クリック (L)で任意点、右クリック (R)で読取点)します。

 補足:高さのみを読み取るので、水平方向は任意の点で構いません。

JG_採光補正 設定入力フォーム

【6】設定入力フォームが立ち上がるので、水平距離(ミリ単位)と、用途地域(住居系地域、工業系地域、商業系地域から選択)、描画する側(指示点の右側か左側)を選択します。道路に面する場合は「道に面する場合」にチェックを入れます。次に、採光補正係数目盛り(0~3の間の10目盛り、又は1~3までの間の5目盛り)を表示しない場合は「目盛を表示しない」にチェックを入れます。次に、採光補正係数を算定しない場合(目盛りのみ表示したい場合)は、「係数を算定しない」にチェックを入れます。次に記載仕様として、使用する文字種(1から10まで)と線(色)番号(1から9及びSXF色の101~356まで)を入力する。次にレイヤグループとして、描画するグループ(0からFまで)と④描画するレイヤ(0からFまで)を入力します。

 補足:文字種及び線(色)番号は、上記の番号以外を入力すると現在の設定で描画されます。レイヤグループは0~F以外の番号(又は記号)を入力すると現在のレイヤグループに描画されます。      
【7】「決定」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に採光勾配(d/h)、採光補正係数(算定式)、採光補正係数目盛り等が描出されます。

JG_採光補正 採光補正係数、採光勾配:h/d、補正係数目盛の描画

平均地盤面算定図の作成

JG_地盤面算定 地盤面確認用アイソメ


JG_地盤面算定

「平均地盤面」と「地盤面」を自動算出する外部変形ツール

「JG_地盤面算定」は、建築計画に必要となる 日影計算用の平均地盤面 と、建物高さ算定用の地盤面 を自動で算出する外部変形です。

複雑になりがちな地盤面の検討を効率化し、複数案の比較や法規チェックをスムーズに行えます。

平均地盤面と地盤面の違い 📌

日影計算に使用する地盤面は、原則として 一つの建物につき一つの地盤面 を求めます。
このため、日影計算用の地盤面は 「平均地盤面」 と呼ばれます。

一方、建物高さを算定する場合は、高低差が3mを超える敷地では、3mごとに複数の地盤面を求めます。
そのため、建物高さ算定用のものは単に 「地盤面」 と呼び、平均地盤面と区別します。

※高低差が3m未満の場合は、両者をあえて区別する必要がないため、「平均地盤面」と呼ばれる場合があります。

JG_地盤面算定 実行画面 「地盤面」算定用平面図
JG_地盤面算定 実行画面 「地盤面」算定用展開図

JG_地盤面算定 実行画面 「地盤面」算定表

✅ 高低差が3mを超える場合の算出方法

高低差が3mを超える敷地では、地盤面の設定方法として主に以下の3種類があります。

  • 最低点を起点に、上方へ3mごとに設定する方法(最も一般的に用いられる方法です。)
  • 最高点を起点に、下方へ3mごとに設定する方法
  • 任意の高さを起点に、上方または下方へ3mごとに設定する方法

建築基準法の条文では「3m以内」とされていますが、『防火避難規定の解説』では、「3m」以外の設定が認められるのは、宅地造成を行った場合などの特殊事情に限られるとされています。
そのため、本ツールでは 3.0mごとの設定に統一 しています

JG_地盤面算定 最低点を起点にした領域分割(A図)

JG_地盤面算定 最高点を起点にした領域分割(B図)

✅ 起点の違いによる計画への影響

地盤面の算出では、起点をどこに設定するかによって結果が変わります。

  • A図:最低点を起点に算出した地盤面
  • B図:最高点を起点に算出した地盤面

絶対高さ制限ぎりぎりまで建物を計画する場合、高さは地盤面から測るため、一見すると建物ボリュームに大きな差は出ないように思われます。

しかし実際には、以下のような規制や条件が影響します。

  • 道路斜線
  • 高度斜線
  • 日影規制
  • 景観協議
  • 掘削土量
  • 行政・審査機関による指導内容

そのため、起点の異なる複数案を比較することで(A図、B図参照)、計画上のメリット・デメリットを把握しやすくなります。

※行政や審査機関によっては、道路を起点にするよう指導される場合があります。

JG_地盤面算定 複数棟の平均地盤面1(棟ごとの算定表を選択)

✅ 複数棟がある敷地にも対応

敷地内に複数の建物がある場合、日影図算定用の平均地盤面は、すべての棟について算出した平均地盤面をもとに、敷地全体の平均を求める必要があります。

「JG_地盤面算定」では、棟ごとに算出した平均地盤面の結果を読み込むことで、敷地全体の平均地盤面を自動算出 できます。

JG_地盤面算定 複数棟の平均地盤面2(敷地全体の平均地盤面)

✅ JG_地盤面算定でできること

  • 日影計算用の 平均地盤面 を自動算出
  • 建物高さ算定用の 地盤面 を自動算出
  • 高低差3m超の敷地に対応
  • 最低点起点・最高点起点など複数案の検討が可能
  • 棟が複数ある敷地の全体平均地盤面算定に対応
  • 法規検討やボリュームスタディの効率化に貢献

💡 (まとめ)複雑な地盤面算定を、より正確に・より効率的に

地盤面の設定は、建物高さや日影規制、斜線制限などに大きく関わる重要な検討項目です。
「JG_地盤面算定」を活用することで、煩雑な計算作業を効率化し、複数案の比較検討をスムーズに行えます。

JG_地盤面算定 チュートリアル ~操作の流れ~

▶️ 操作方法

【1】zipファイルを解凍し、JWWフォルダー内または任意の場所に保管する。

【2】Jw_cadの[その他]メニューから外部変形コマンドを選択する。

≪平均地盤面を単体で作成する場合(通常)≫

JG_地盤面算定 外部変形メニュの選択(地盤面算定)

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_地盤面算定」フォルダー内の地盤面算定.BATをクリックする。

【4】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎高さ入力ポイントを選択」と表示されるので、高さを入力する建物のポイントを時計回りで順にクリック(左クリック (L)で任意点、右クリック (R)で読取点)し、最後に「点指示終了」ボタンを押す。

【5】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎描画基準点(左上)を指示」と表示されるので、算定用展開図と算定表を出力する基準点をクリックする。

 補足:算定用展開図の左上(設計GL基準線の左端)を基準にレイアウトします。

【6】「地面と接する高さ入力」フォームが立ち上がるので、ポイントリストから番号を選択し、高さ①に地面と接する高さを記載し「入力」ボタンを押す。擁壁等で同位置に高さが2つ以上ある場合は、高さ①と高さ②にそれぞれ記載し「入力」ボタンを押す。前回値を再現する場合は、「前回値を再現」ボタンを押す。入力した地面の形状や平均地盤面をアイソメ図で確認する場合は、「アイソメで確認する」チェックボックスにチェックを入れる。終了した際は、「完了(次へ)」ボタンを押す。

 <高低差が3mを超える場合>

JG_地盤面算定 作業選択フォームと領域設定方法フォーム

【A】作業選択フォームが立ち上がるので、建物高さ算定の基準となる高低差3m以内ごとの地盤面算定を行う場合は、「地盤面(3m以内毎)算定」を選択する。日影規制用の建物高さ算定の基準となる平均地盤面算定を行う場合は、「日影用の平均地盤面算定」を選択する。選択後「OK」ボタンを押す。
       
【B】【A】で「地盤面(3m以内毎)算定」を選択した場合は、「領域設定方法」フォームが立ち上がるので、高低差3mの分割を、最も低い位置から測定する場合は「最低点から」を選択し、最も高い位置から測定する場合は「最高点から」を選択し、任意の高さを設定する場合は、「任意の高さ」を選択しテキストボックスに高さをm単位で入力する。

「OK」ボタンを押すと、【7】記載設定フォームが立ち上がる。

【A】で「日影用の平均地盤面算定」を選択すると、「領域設定方法」フォームが表示されることなく【7】記載設定フォームが立ち上がる。

 

 注意①:「任意の高さ」を設定した場合は、高低差3m以内で自動的に分割されます。高低差を任意に設定することはできません。  

 注意②:高低差が9mを超える場合は算定できません。 

 

JG_地盤面算定 形状確認フォーム

 補足:【6】で「アイソメで確認する」チェックボックスにチェックを入れた場合は、「形状確認(アイソメ)」フォームが立ち上がります。入力した地面の形状や分割位置、地盤面のレベル(赤線表示)を確認することができます。形状は回転ボタンで上下左右に回転することができます。また、高低差が小さく見づらい場合は、縦倍率ボタンで高さ方向の倍率を増減できます。「地面と接する高さ入力」フォームに戻る際は、「高さ入力に戻る」ボタンを押します。戻った際は、「前回値を再現」ボタンを押すことで入力値を再現した上で変更が行えます。形状確認後、「確認(次へ)」ボタンを押します。

 <高低差が3m未満の場合>

【7】記載設定フォームが立ち上がる。(「作業選択フォーム」と「領域設定方法」フォームは表示されません。) 

 補足:【6】で「アイソメで確認する」チェックボックスにチェックを入れた場合は、記載設定フォームの前に「形状確認(アイソメ)」フォームが立ち上がります。入力した地面の形状や平均地盤面のレベルを確認することができます。

JG_地盤面算定 記載設定フォーム

 【7】記載設定フォームが立ち上がるので、展開図仕様から、距離(X方向)に対する高さ(Y方向)の倍率を1から10倍の範囲で入力する。次に、面積算定領域の塗りつぶし色の濃度(グレーのみ)を最も濃い色を1、薄い色を10とした10段階で入力する。次に記載仕様から、線(色)番号(1から9まで)と文字種(1から10まで)を入力する。次にレイヤグループから、描画グループ(0からFまで)と描画レイヤ(0からFまで)を入力する。次に、「日影用の平均地盤面算定」を選択した場合で棟番号を記載する時は、「棟番号を記載する」チェックボックスにチェックを入れ、テキストボックスに番号を記載する(地盤面算定の場合は非表示になります)。作成した算定表をExcelに出力する場合は「計算結果をEXCELに書き出す」チェックボックスにチェックを入れる。

 補足:線(色)番号及び文字種は1~9(10)以外の番号を入力すると現在の設定で描画されます。レイヤグループは0~F以外の番号(又は記号)を入力すると現在のレイヤグループに描画されます。

【8】「OK」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に算定用平面図(ポイント間の距離とポイント番号及びその高さ、また地盤面算定の場合は分割線)と算定用展開図、算定表が描画される。

JG_地盤面算定 算定表の端数処理

 補足:最終的な平均地盤面の値はm単位で、小数点以下4桁を切り捨て、小数点以下3桁で算出します。地盤が低い側つまり安全側で算出するため、負の値の場合は0から遠ざかる値となります(絶対値の値が一つ繰り上がります)。     

 ≪敷地全体の平均地盤面を算定する場合≫

JG_地盤面算定 外部変形メニュの選択(棟の平均)

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_地盤面算定」フォルダ内の「棟の平均.BAT」をクリックする。

【4】Jw_cadのトップメニュー下に、「平均する地盤面算定表を全て選択」と表示されるので、地盤面算定表を全て選択し、「選択確定」ボタンを押す。次に、「◎算定表の配置基準点を指示」と表示されるので、算定表を配置する基準点(表の左上)となる任意の点をクリックする。Jw_cadの画面に集計表が描画される。

JG_地盤面算定 敷地全体の平均地盤面算定表

 重要:集計できる地盤面算定表は、本ソフトで作成した地盤面算定表のみです。また、算定表の文字や数値の位置を変更する等の編集を行うと、正しく算定できない場合があります。

 補足:最終的な平均地盤面の値はm単位で、小数点以下4桁を切り捨て、小数点以下3桁で算出します(地盤が低い側、つまり安全側で算出します)。そのため、負の値の場合は、0から遠ざかる値となります(絶対値の値が一つ繰り上がります)。

敷地定規を作成する

今回は、「JG_壁面後退線」 を活用して、計画初期に便利な 敷地定規 を作成してみます。

建物の配置や規模を検討する際、敷地境界線からの離隔距離が補助線として表示されていると、計画が進めやすくなります。
この補助線を、敷地境界線から敷地の中央に向かって等間隔に連続描画したものが、ここでいう 敷地定規 です。

敷地の中に方眼紙を重ねるような感覚で、建物配置や通路幅、空地の検討に活用できます。

敷地定規(JG_壁面後退線 実行画面)

🔵 連続描画機能を利用する

「JG_壁面後退線」には、一定の間隔で後退線を作成する 連続描画機能 があります。

敷地定規は、この連続描画機能を利用して作成します。
後退距離、つまり線と線の間隔に、任意のモジュールを入力します。

例えば、次のような間隔を設定できます。

  • 1m間隔
  • 2m間隔
  • 910mmや1,820mmなどの設計モジュール
  • 通路幅や空地幅の検討に合わせた任意寸法

これにより、敷地境界線から内側へ、一定間隔の後退線を連続して描画できます。

敷地定規は、作図用のレイヤーとは別のレイヤーに、補助線色や補助線種で作成しておくと便利です。

JG_壁面後退線 不整型地の敷地定規とその活用

✅ 不整形敷地で特に有効

敷地が整形であれば、建物配置や離隔距離の把握は比較的簡単です。
しかし、不整形な敷地では、境界線からの距離感や有効に使える範囲が分かりにくくなります。

特に、次のような検討では、敷地定規があると便利です。

  • 斜線制限を考慮した建物後退の検討
  • 窓先空地の確保
  • 避難通路や有効幅員の確認
  • 建物ボリュームの大まかな配置検討
  • 緑地や空地の配置バランスの確認

計画の初期段階で敷地定規を表示しておくことで、敷地条件を視覚的に把握しやすくなり、配置計画をスムーズに進めることができます。。

✅ 通常のオフセットとの違い

Jw_CADには、線を指定距離だけ移動するオフセット機能があります。
ただし、敷地のように閉じた領域を内側へ連続してオフセットしていくと、敷地形状によっては、途中で線がねじれたり、反転した領域が発生することがあります。

特に、凹凸のある敷地や不整形な敷地では、このような反転部分が生じやすくなります。

図1 は、通常のオフセット処理によって、線がねじれて反転した例です。

一方、「JG_壁面後退線」では、プログラム側でこのような反転部分を自動的に整理・削除します。
そのため、内側へ連続して後退線を作成しても、不要な交差や反転の少ない、整然とした敷地定規を作成することができます。

図2 は、「JG_壁面後退線」によって作成した敷地定規の例です。

Jw_CADのオフセットコマンドを使用した例(図1)

JG_壁面後退線のオフセットによる敷地定規(図2)

✅ 後退率を指定した範囲表示

「JG_壁面後退線」には、距離を指定して後退線を描画する機能のほかに、後退率を指定して後退範囲を描画する機能 もあります。

後退率とは、敷地面積に対して、外周から後退する部分がどの程度の割合になるかを示すものです。

例えば、後退率を20%に設定すると、敷地面積のうち外周側の20%に相当する範囲を後退部分として表示できます。

図3 は、後退率20%の範囲を赤線で描画した例です。

この機能を利用すると、例えば緑地率20%に合わせて後退範囲を表示し、緑地として必要なボリュームを大まかに把握することができます。

JG_壁面後退線 敷地定規に後退率20%を重ねたもの(図3)

✅ 敷地条件や規制ラインとの組み合わせ

敷地定規は、単独で使うだけでなく、他の条件や規制ラインと重ねて表示することで、さらに効果的に活用できます。

例えば、次のような情報と組み合わせることができます。

  • 壁面後退線
  • 道路斜線や隣地斜線を考慮した後退ライン
  • 窓先空地
  • 避難通路
  • 緑地範囲
  • 建蔽率に応じた建築可能面積の目安
  • 駐車場やアプローチ計画

このように、「JG_壁面後退線」で作成した敷地定規に、敷地の諸条件や規制ラインを重ねることで、計画初期の検討をより分かりやすく進めることができます。

後退位置を連続描画する壁面後退線

JG_壁面後退線 実行画面(連続描画機能)

JG_壁面後退線について 📌

「JG_壁面後退線」は、「JG_近隣範囲図」とは反対に、敷地の内側へ一定距離セットバックした領域を描画する 外部変形です。

「JG_近隣範囲図」が、敷地境界線や建物外周線などの外側へ範囲を広げて描画するツールであるのに対し、「JG_壁面後退線」は、敷地境界線などを基準にして、内側へ後退した線や領域を作成します。

✅ 主な機能

このツールには、主に次のような機能があります。

  • 指定した後退距離で後退線を描画する機能
  • 後退範囲を領域として表示する機能
  • 一定間隔で後退線を連続描画する機能
  • 後退距離を後退率で設定する機能

特に、一定間隔で後退線を作成する連続描画機能を活用すると、単なる壁面後退の確認にとどまらず、計画初期の検討にも役立ちます。

✅ 連続描画機能の活用

一定間隔で後退線を連続して描画すると、敷地内でどの程度の範囲が建築に利用できるかを視覚的に把握しやすくなります。

この機能は、たとえば次のような検討に活用できます。

  • 壁面後退による建築可能範囲の確認
  • 斜線制限の影響を受けやすい範囲の把握
  • 窓先空地の確保に関する初期検討
  • 建物配置やボリューム検討の目安作成

✅ 後退率による設定

「JG_壁面後退線」では、後退距離を数値で直接指定するだけでなく、後退後の領域面積を敷地面積に対する割合で設定することもできます。

たとえば、後退後に残る領域を敷地面積の一定割合に設定することで、建蔽率との関係を視覚的に確認できます。また、後退距離を後退率(敷地面積に対するパーセンテージ)で設定することができます。

✅ 建蔽率との関係

次の図は、後退後に残る領域の割合を 60% とし、外側の後退部分が 40% となるように設定した例です。

この場合、赤線で示された後退後の領域内側の面積は、敷地面積の60%になります。
敷地の建蔽率が60%であれば、この領域は建築可能な面積の目安として利用できます。

もちろん、実際の建築可能範囲は、斜線制限、防火規制、採光、避難、駐車場計画など、さまざまな条件によって変わります。
しかし、計画初期において、建蔽率に相当する面積を敷地内に視覚化できることは、建物配置や規模感を検討する上で有効です。

JG_壁面後退線 30%後退線(図4)

💡 まとめ

「JG_壁面後退線」の連続描画機能を使うと、敷地境界線から一定間隔で後退線を作成し、敷地内に定規のような補助線を表示できます。

これにより、建物配置や規模、空地、通路、緑地などの検討がしやすくなります。
特に不整形敷地では、境界線からの距離感や有効利用できる範囲を視覚的に把握できるため、計画初期の検討に有効です。

また、後退率を指定した範囲表示と組み合わせることで、緑地率や建蔽率など、面積に関わる条件の目安を図面上で確認することもできます。

「JG_壁面後退線」は、壁面後退線の作図だけでなく、敷地条件を整理し、計画の方向性を検討するための補助ツールとしても活用できます。

▶️ 操作方法

【1】zipファイルを解凍し、JWWフォルダー内または任意の場所に保管します。。

【2】Jw_cadの[その他]メニューから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にあるJG_壁面後退線フォルダー内の壁面後退線.BATをクリックします。

【4】敷地境界線を示す図形を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

 注意:閉じた敷地境界線がある場合は右クリックで一括選択しても構いません。

【5】敷地境界線入力フォームに選択した敷地境界線が表示されるので、敷地境界点を時計回りで順にクリックし、全ての境界点のクリックが終了した際は「入力(次へ)」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。Excelから取得する場合は、「Excelから取得」ボタンを押します。 
 補足:閉じた敷地境界線を入力した場合は、「閉じた領域が見つかりました(省略)」のメッセージが表示されるので、確認し「入力(次へ)」ボタンを押します。変更する際は、「取消」ボタンを押し、このフォームで境界点をクリックして入力し、「入力(次へ)」ボタンを押します。

【6】敷地形状確認フォームが表示されるので、「確認(次へ)」ボタンを押します。形状が異なる場合は「戻る」を押します。Excelに書き出す際は「Excel書出し」ボタンを押します。

 注意:閉じた敷地境界線を入力した場合、【6】の工程は省略になります。

JG_壁面後退線 壁面後退線 描画設定フォーム

【7】後退方法を選択フォームが立ち上がるので、距離で後退する際は「距離で後退」ボタンを押します。割合(後退率)で後退する場合は「割合で後退」ボタンを押します。

 <「距離で後退」を選択した場合>

【8】描画設定フォームが立ち上がるので、後退距離をm単位で入力します。連続後退を行う場合は、「連続後退」チェックボックスにチェックを入れます。次にレイヤグループから、描画グループ(0からFまで)と描画レイヤ(0からFまで)を入力します。次に記載仕様から、線(色)番号(1から9及びSXF色の101~356まで)と線種番号(1から9まで)、文字種(1から10まで)を入力します。
次に、後退寸法を記載する場合は、「後退寸法を記載」チェックボックスにチェックを入れます。次に、後退線に名称を記載する場合は、「後退線に名称を記載」チェックボックスにチェックを入れます。

 注意:連続後退を行う場合、後退寸法は記載されません。(後退線の名称として記載されます。)

 補足:線(色)番号、線種番号及び文字種は、上記の番号以外を入力すると現在設定で描画されます。レイヤグループは0~F以外の番号(又は記号)を入力すると現在のレイヤグループに描画されます。

【9】「完了」ボタンを押すと、後退後の面積が表示されます。「OK」ボタンを押すとJw_cadの画面に壁面後退線が出力されます。

 注意:連続後退を行う場合、後退後の面積は表示されません。

 <「割合で後退」を選択した場合>

【8】描画設定フォームが立ち上がるので、後退率を%単位で入力します。次にレイヤグループから、描画グループ(0からFまで)と描画レイヤ(0からFまで)を入力します。次に記載仕様から、線(色)番号(1から9及びSXF色の101~356まで)と線種番号(1から9まで)、文字種(1から10まで)を入力します。
 次に、後退寸法を記載する場合は、「後退寸法を記載」チェックボックスにチェックを入れます。

 注意:後退率は0より大きい90以下の数字を入力して下さい。

 補足:線(色)番号、線種番号及び文字種は、上記の番号以外を入力すると現在設定で描画されます。レイヤグループは0~F以外の番号(又は記号)を入力すると現在のレイヤグループに描画されます。

JG_壁面後退線 割合で後退した場合の後退距離の表示

【9】「完了」ボタンを押すと、後退前の面積と、後退後の面積が目標値とが実行値で表示され、続いて、後退距離が表示されます。「OK」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に壁面後退線と後退距離が出力されます。

 注意:後退後の面積が目標値と実行値で異なるのは、目標値は後退前の面積から計算で求めたものであるのに対し、実行値は後退ピッチ10mmで計算した近似値であるためです。

この「JG_壁面後退線」の機能について深掘りしたい方は次の投稿もご覧ください。

円の軌跡が描く近隣範囲図

JG_近隣範囲図 実行画面

近隣範囲図について 📌

近隣範囲図とは、建物高さに応じて、たとえば 1H または 2H などの距離を基準に、近隣説明の対象となる範囲を境界線として描画したものです。

この境界線は、単に基準線を平行移動したオフセットラインではありません。
敷地境界線や建物外壁ラインなどの基準線から、一定の距離だけ外側にある点の集合として描かれます。

そのため、近隣範囲の外形は直線的な形状になるとは限らず、多くの場合、丸みを帯びた領域として現れます。
特に距離が大きい場合には円弧を主体とした形状になることがあります。

✅ 「JG_近隣範囲図」について

「JG_近隣範囲図」は、近隣範囲となる境界線を描画するための外部変形です。

敷地境界線または建物外壁ラインなどを基準線として、その外側に一定距離離れた境界線を自動的に描画します。
描画される境界線は、線分または円弧で構成されます。

また、バージョン2.0 からは、作成した近隣範囲の領域内を任意の色で塗り潰すことが可能になりました。
これにより、近隣説明の対象範囲をより分かりやすく図示できます

近隣範囲の境界線の考え方

近隣範囲の境界線は、建物外周線や敷地境界線などの基準線に沿って、1Hまたは2Hの直径を持つ円を転がしたときの軌跡として考えることができます。

つまり、基準線から一定距離を保ちながら外側を包み込むように描かれる線が、近隣範囲の境界線になります。

直径1Hの円の軌跡
日影測定線との違い

近隣範囲図の描画が日影測定線と大きく異なるのは、設定される距離が相対的に大きくなる場合が多い点です。

円の直径、すなわち 1H や 2H の距離が大きくなると、敷地境界線や建物外周部の細かな凹凸をそのまま辿ることができなくなります。

特に、凹部がある場合には、その奥まで入り込まず、外側を大きく包み込むような形になります。
その結果、描画される近隣範囲図の境界線は、直線主体ではなく、泡袋のように円弧を主体とした形態になります。

この傾向は、円の直径、つまり 1H や 2H の距離が大きくなるほど顕著になります。。

JG_近隣範囲図 円の直径が大きくなると軌跡が正円に近づいていく
距離が大きくなるほど角が取れる

敷地や建物外周の起伏が極端に大きい場合でも、近隣範囲として設定する距離がある程度長くなると、細かな角や凹凸は次第に丸められていきます。

そのため、近隣範囲の外形は徐々に単純化され、全体として円に近い形状へと変化していきます。

言い換えると、近隣範囲図は基準線の形状をそのまま拡大したものではなく、設定距離の大きさに応じて、外側を滑らかに包絡するような図形として描かれます。

▶️ 操作方法

(操作方法はJG_日影測定線、JG_敷地延焼線どほぼ同じです)。

【1】zipファイルを解凍し、JWWフォルダー内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニューから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にあるJG_近隣範囲図フォルダー内の近隣範囲図.BATをクリックします。

【4】敷地境界線または建物外周を示す図形を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

【5】敷地境界線入力フォームに選択した図形が表示されるので、敷地境界線または建物外壁ラインを時計回りで順にクリックし、全ての境界点のクリックが終了した際は「入力(次へ)」ボタンを押します。(反時計回りで入力するとエラーとなるので、その際は、「取消」ボタンを押し再度入力します。)直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。  

【6】敷地形状確認のメッセージが現れるので、「確認」ボタンを押します。形状が異なる場合は「戻る」を押します。

JG_近隣範囲図 描画設定フォーム

【7】描画設定入力フォームが立ち上がるので、距離をm単位で入力します。この離隔距離を記載する場合はチェックボックスにチェックを入れます。また、レイヤグループ、レイヤ、線(色)番号、使用する文字種を入力します。領域を指定色で塗りつぶす場合はチェックボックスにチェックを入れます。

JG_近隣範囲図 色の設定(カラーダイアログ)

追記:「領域を指定色で塗りつぶす」にチェック入れた場合は、描画設定フォームが立ち上がるので、ピクチャーボックスの色を利用するか、「色を取得」ボタンを押し、カラーダイアログから任意に色を取得します。

【8】「設定完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に近隣範囲図(ライン)が出力されます。

JG_近隣範囲図 JW_CAD出力(領域の塗りつぶし)

本ツールの一部を抜き出したものですが、多角形の中抜きができる外部変形です。以下よりダウンロードしてご利用ください(本ツールのように円弧を含む領域には使用できません)。

延焼線の告示緩和を紐解く

🏠 2019年の延焼ライン法改正と「JG_延焼線緩和」

今回は「JG_延焼線緩和」に関連して、2019年の延焼ラインに関する法改正について整理します。

この法改正により、建物が隣地境界線や隣棟間の中心線に正対していない場合、その傾きの度合いに応じて延焼範囲を計算で設定できるようになりました。

また、これまで高さ方向には無制限に延焼範囲がかかっていましたが、改正後は、計算によって求めた高さまでに抑えられるようになりました。

つまり、火災時の熱的な影響を考慮しながら、延焼線をより合理的に算出できるようになったということです。

1. 緩和効果の特徴

実際に緩和計算を使ってシミュレーションしてみると、次のような傾向があります。

  • 水平方向の緩和効果は、比較的小さい
  • 高さ方向の緩和効果は、建物が高層になるほど大きい

告示の算定式を見ると、高さ方向の延焼範囲は、低い側の建物高さに対して、上方に概ね10m程度(下図の*1)で延焼範囲がカットされます

そのため、高低差が大きければ大きいほど緩和効果が得られます。

*1:固定値の5m(低い建物が5m以上の場合は10m)に離隔距離によって変動する5m前後を足した値。

緩和前と緩和後の延焼範囲のイメージ

2. 告示1号と告示2号

今回の緩和は、大きく次の2つに分かれます。

告示1号

敷地内にある建築物相互の外壁間に生じる延焼ラインの緩和

告示2号

隣地境界線や道路中心線に生じる延焼ラインの緩和

JG_延焼線緩和 告示1号(建築物相互間の延焼線)緩和 実行画面

JG_延焼線緩和 告示2号(隣地境界線等に生じる延焼線)緩和 実行画面

3. 水平方向の緩和算定式

水平方向の緩和算定式は、告示1号・告示2号ともに同じです。

1階の場合

d = max{2.5,3 ×(1 − 0.000068 × Θ²)} ・・・式1

2階以上の場合

d = max{4,5 ×(1 − 0.000068 × Θ²)}  ・・・式2

ここで、max(値1,値2,・・・) は、括弧内の値のうち最も大きい値を採用するという意味です。

つまり、

  • 1階は 2.5m
  • 2階以上は 4m

を下限値とし、それを下回らないようになっています。

4. 告示1号における緩和の考え方

告示1号では、二つの建物がいずれも準耐火構造以上であれば、両方の建物に緩和を適用できます。

告示の解説書などでは、片方の建物を緩和対象の建物、もう片方を「他の建築物」として説明していることが多いです。

ただし、実際には、両方の建物について同時に一つの算定図で表現することも可能です。

しかし、建物形状が複雑になると算定用の下線が増え、図面が煩雑になります。
そのため、確認申請では、建物ごとに分けて算定したほうが見やすく、説明もしやすくなります。

JG_延焼線緩和 建物形状が複雑な場合(片側のみ算定した場合)(A図)

5. 建物形状が複雑な場合の算定図

A図は、片側の建物形状に凹凸がある場合の例です。

外壁にわずかな凹凸があるだけでも、外壁間中心線の折れ点は大きく増えます。
それに伴い、中心線を構成する線分の数も増加します。

この程度の建物形状であっても、算定図は見づらくなりやすいため、建物ごとに分けて作成したほうが、分かりやすい図面になります。

なお、「JG_延焼線緩和」では、緩和算定は片側ずつ行います。
ただし、延焼線は両方の建物について描画されます。(A図では「他の建築物」側の延焼線を消去して表示しています。)

また、高さ方向の緩和算定は、高い側の建物にのみ適用されます

JG_延焼線緩和 水平方向緩和計算 最小の角度を選択(B図)

6. 算定図に表示される角度Θについて

「JG_延焼線緩和」の算定図について、少し補足します。

隣地境界線等、または外壁間中心線と建物外壁ラインが交わる点は、複数発生する場合があります。

このとき、式1・式2で使用する角度 Θ は、隣地境界線等と建物外壁ラインがなす角度のうち、最小の角度を採用します。

例えばB図の場合、角度が図のように複数(27.5°と62.5°)発生しています。

B図の場合は27.5°(27.5°<62.5°)が最小となり、この最小角度の近傍に計算式を2段(上が1階、下が2階以上)で記載しています。もうひとつの中心線の場合も同様に最小となる17.5°(17.5°<72.5°)の近傍に2段で算定式を記載しています。

7. 高さ方向の緩和算定式

高さ方向の緩和を行う場合、算定式は次のようになります。

h(B) が5m未満の場合

h = h(B) + 5 + 5√{1 −(S / dfloor)²} ・・・式3

h(B) が5m以上の場合

h = h(B) + 10 + 5√{1 −(S / dfloor)²} ・・・式4

これらの式は、水平方向の算定式の下に表示されます。
ただし、表示されるのは高さ方向の緩和を行う建物のみです。

8. 高さ方向の算定式で使う値

高さ方向の算定式で使用する主な値は、次のとおりです。

h(B):

低い側の建物高さを指します。

S:

各中心線から建物までの最小距離です。

B図の場合は、例えば次の値が該当します。

S3、S2 = 4.371

dfloor:

式2で求めた、2階以上の延焼距離です。

B図の場合は、例えば次の値が該当します。

d3 = 4.743 d2 = 4.896

9. 水平方向の緩和効果が小さい理由

冒頭で、高さ方向の緩和に比べて、水平方向の緩和効果は小さいと述べました。

ここでは、その理由を少し掘り下げます。

1階の算定式は次のとおりです。

d = max{2.5,3 ×(1 − 0.000068 × Θ²)}

この式では、下限値である 2.5 と、計算値である

3 ×(1 − 0.000068 × Θ²)

のうち、大きいほうを採用します。

では、角度 Θ がいくつになれば、下限値の 2.5 が採用されるのでしょうか。

次の式を Θ について解きます。

3 ×(1 − 0.000068 × Θ²)= 2.5

計算すると、

Θ = 約49.5°

となります。

しかし、ここで問題になるのは、実際にこのような角度が発生するかどうかです。

水平方向の算定式に使用する角度Θの推移(C図)

10. 矩形建物では45°を超えない

角度 Θ は、隣地境界線等と建物外壁ラインがなす角度のうち、最小の角度です。

C図で示すように、一般的な矩形建物を計画している限り、この角度が45°を超えることは原理的にありません。

45°を式1に代入すると、結果は次のようになります。

d = 約2.589m

一般的な矩形建物の場合、1階の緩和値は下限値の2.5mまでは下がらず、2.6m程度で頭打ちになります。

11. 高さ方向の緩和で注意すべき点

高さ方向の緩和では、もう一つ注意点があります。

B図を見ると、高さ方向の緩和計算式として、次の2種類が表示されています。

h2 = 10.441m

h3 = 10.753m

この入力値が異なるため、結果の高さも異なります。

ここで分かることは、高さ方向の緩和値は、中心線を構成する線分の数だけ存在するという点です。

つまり、外壁間中心線が複数の折れ線で構成されている場合、それぞれの線分ごとに高さ方向の緩和値が発生します。

中心線によって異なる延焼範囲とその合成(D図)

12. 立面図に投影する場合の考え方

高さ方向の緩和効果を立体的に表現すると、D図のようになります。

延焼範囲の上端位置に着目すると、線分ごとに高さが異なり、範囲が少しずつずれていることが分かります。

実務では、これを立面図に投影して表現することになると考えられます。

しかし、A図のように中心線の線分数が多くなると、すべてを正確に反映する作業は非常に煩雑になります。

そのような場合は、複数ある h の値のうち、最大となる値で安全側に統一するという方法もあるかと思います。

✅ まとめ

2019年の法改正により、延焼ラインは建物の傾きや高さ関係を考慮して、より合理的に設定できるようになりました。

特に高さ方向の緩和は、高層建物ほど効果が大きくなります。

一方で、水平方向の緩和効果は、高さ方向に比べると限定的です。

また、外壁間中心線が複雑になると、高さ方向の緩和値も線分ごとに複数発生するため、そのつど立面図等で延焼範囲を図示する必要があります。

「JG_延焼線緩和」では、これらの算定式や延焼線を自動作成することで、法改正に対応した検討作業を効率化できます。

隣棟間の中心線をマニアックに解析

1. 建物間中心線の基本的な考え方

外壁間中心線の基本的な作図方法は、「防火避難安全規定の解説」に示されています。

基本的には、次のように作図します。

  • 二棟の外壁面が正対している場合
    → それぞれの外壁から等距離にある平行線を引く
  • 二棟の外壁面が正対していない場合
    → 向き合う外壁がつくる角度の二等分線を作成する
  • 作成した線同士が交わる部分で連結する
  • 最終的に、一連の折れ線として建物間中心線を作成する

一見すると単純な作業ですが、実際には建物の形状が複雑になるほど、作図は難しくなります。

JG_延焼線緩和 実行画面

2. 手作業での作図が難しくなる理由

建物の外壁が単純な形状であれば、中心線の作図は比較的容易です。

しかし、外壁に凹凸があったり、複雑な形状になったりすると、角度の二等分線が多数発生します。
その結果、どの線をどの位置で連結すべきか判断が難しくなります。

試行錯誤を重ねれば、最終的にそれらしい形にはできます。
しかし、作図の根拠を明確にしながら、安定して同じ結果を得ることは簡単ではありません。

3. プログラム化を考えたきっかけ

中心線の作図は、一見すると規則性がないように見えます。

しかし、最終的に作図できる以上、そこには何らかのメカニズムがあるはずです。
この考えが、建物間中心線の作成をプログラム化しようと思ったきっかけです。

プログラムでの基本的な考え方は、次のとおりです。

  1. 建物同士が向き合っているすべての外壁面を抽出する
  2. 各外壁面の組み合わせごとに、二等分線を作成する
    ※本ツールでは、この線を「補助線」と呼んでいます
  3. 建物間の中央付近に位置する補助線を見つける
  4. 補助線同士の交点をつなぎ、連続した中心線を作成する

この方法はいわゆる「総当たり」に近い解析です。
解析対象が多くなるという欠点はありますが、取りこぼしが少なく、作成後の検証がしやすいというメリットがあります。

JG_延焼線緩和 外壁間の中心線

4. 中心線はどのように特定されるか

A図では、複数の補助線の中から、建物間中心線として特定された線を赤太線で表示しています。

プログラムでは、建物間の中央付近を通る補助線を見つけ、それらを交点で連結していきます。

さまざまな形状でシミュレーションした結果、建物間を最後まで途切れることなく連続する中心線を、少なくとも一本は見つけ出せることが分かりました。

ただし、常に一本だけに定まるわけではありません。

建物同士が離れていて、延焼線の検討にあまり影響しないような部分では、中央の中心線とは連続しない別の中心線が現れる場合があります。

JG_延焼線緩和 中心線の候補が1つの場合(A図)

5. 外壁形状と中心線の発生パターン

A図:外壁面に凹凸がない場合

A図のように外壁面に凹凸がない場合、中心線は一組のみ発生します。

このような形状では、補助線同士の関係も単純で、中心線を比較的安定して特定できます。

B図:外壁面に凹凸がある場合

B図のように外壁面に凹凸があると、互いに平行な補助線が複数発生します。

図中のピンク色の点線が、その補助線です。
このような場合、中心線が二組発生することがあります。

B図を見ると、最も外側で発生した中心線が、内側の「外壁間中心線2」において建物間の中央から明らかに外れ、途中で途切れていることが分かります。

ただし、多くの場合、このように周縁部で発生した中心線が最後まで連続することはありません。
その意味では、延焼線作成に有効な中心線は、実質的に一本であると考えられます。

JG_延焼線緩和 中心線の候補が2つの場合(B図)

6. 複雑な建物形状への対応

建物形状がさらに複雑になった場合でも、必ずしも中心線が不安定になるわけではありません。

C図の場合

C図では、外壁面の数が増え、それに伴って補助線の数も増えています。
それでも、建物間の中央を通り、両端に向かって連続する中心線が一意に定まっています。

JG_延焼線緩和 補助線が複雑な場合1(C図)

D図の場合

D図では、補助線が網目状に発生し、より複雑な状態になっています。
それでも、この場合も中心線は一意に定まっています。

JG_延焼線緩和 補助線が複雑な場合2(D図)

E図の場合

E図は、あえて壁面形状を複雑にしてプログラムを実行した例です。

補助線の総数は、二棟間で向き合う外壁面の数の掛け算になります。

例えば、向き合う外壁面がそれぞれ3面ずつある場合は、

  • 3面 × 3面 = 9本

の補助線が発生します。

外壁面が多くなるほど補助線の数は急激に増えていきますが、この例でも連続する中心線を作成できています。


JG_延焼線緩和 中心線作成シミュレーション1(E図)

7. プログラム解析の限界

一方で、すべての形状に対して常に安定した中心線が得られるわけではありません。

F図の例を見てください。

F図は、E図ほど建物形状が複雑ではありません。
しかし、中心線が途中で途切れています。

その理由は、外壁面に凹部があることで、補助線のルートが円環状になりやすくなるためです。
さらに、同じ点に繰り返し戻ってくることで、無限ループに近い状態が発生する場合があります。

このような現象は、比較的整った凹部がある場合に偶発的に発生します。

総当たりの解析順序を逆にすることで解消する場合もありますが、それだけでは解決できないケースもあります。

JG_延焼線緩和 中心線作成シミュレーション2(F図)

8. 複雑形状に対応するためのパラメーター

単一の処理方法だけでは袋小路に入ってしまう場合、パラメーターを使って解析方法を切り替えることが有効です。

「JG_延焼線緩和」では、形状が複雑な場合に使用するパラメーターを設けています。
これにより、補助線が複雑に絡み合う状況にも対応しやすくしています。

改善が見られた主なパラメーターは、次の2つです。

JG_延焼線緩和 パラメーター①がオフの例(G図)

JG_延焼線緩和 パラメーター①「中心線の交点回りを詳細に解析する」がオンの例(H図)

9. パラメーター①

中心線(補助線)の交点回りを詳細に解析する

補助線同士の交点をつなげていく際、プログラムでは、交点から一定範囲内にある補助線について、一度選択したものを次に選択できないようにしています。

パラメーター①は、この判定範囲を狭めるための設定です。

H図は、パラメーター①「中心線の交点回りを詳細に解析する」を実行した例です。

オフの状態であるG図と比較すると、青丸部分の中心線のルートが異なっています。
H図の中心線の方が、より建物間の中央に近い位置を通っていることが分かります。

ただし、このパラメーターは通常はオフで使用します。

判定範囲を狭めすぎると、F図のように中心線が途中で途切れるリスクが高くなるためです。

10. パラメーター②

互いに連続しない中心線の候補を複数描画する

プログラムでは、建物間の中央位置を、二棟間の最短線分の中点として定義しています。

ただし、この中点を補助線が正確に通ることは多くありません。
そのため、通常は中点に最も近い補助線を採用します。

パラメーター②は、最も近い補助線に加えて、次に近い補助線も採用する設定です。
その結果、中心線の候補が2本描画されます。

JG_延焼線緩和 パラメーター②がオフの例(J図)

J図は、パラメーター②をオフにして実行した例です。

青丸部分を拡大したK図を見ると、点線のラインよりも太い実線ラインの方が、わずかに中点に近いため、中心線として特定されています。

JG_延焼線緩和 J図の青丸印部分を拡大したもの(K図)

パラメーター②をオンにすると、この点線のラインも候補として含めます。

L図は、パラメーター②「互いに連続しない中心線を複数描画する」をオンにして実行した例です。

最短線分の中点に近い中心線に加えて、次に近い中心線が代替案として描画されています。
この2本のうち1本は誤った中心線ですが、もう1本は正確に描画できています。

このうちのどちらを選択するかは直感的に明らかです。
ただしプログラムで特定することは未だできていません。

JG_延焼線緩和 パラメーター②「互いに連続しない中心線を複数描画する」がオンの例(L図)

✅ まとめ

建物間中心線の作図は、基本的なルール自体は単純です。

しかし、建物形状が複雑になると、補助線が多数発生し、どの線を連結すべきかの判断が難しくなります。

「JG_延焼線緩和」では、総当たりによる補助線解析を基本としながら、複雑な形状に対応するためのパラメーターを用意しています。

これにより、多くのケースで中心線を自動作成できますが、形状によっては複数の候補が発生したり、中心線が途中で途切れたりする場合があります。

そのため、プログラムによる自動解析は有効な手段である一方、最終的には図面上で結果を確認し、必要に応じて調整することが重要です。

告示緩和を用いた延焼線の作成

JG_延焼線緩和について

2019年の法改正により、延焼ラインの取り扱いが見直されました。

これまで、建物が隣地境界線や隣棟間の中心線に対して正対していない場合でも、一定の範囲に延焼ラインがかかっていました。
しかし法改正後は、建物の傾き具合に応じて、延焼ラインが緩和されるようになりました。

また、これまで高さ方向には無制限に延焼ラインが適用されていましたが、改正後は計算によって求めた高さまでが適用範囲となります。

「JG_延焼線緩和」とは 📌

「JG_延焼線緩和」は、隣棟間の延焼線を自動作成するツール「JG_建物延焼線」に、法改正による告示緩和機能を追加したツールです。

緩和後の延焼線を自動で作成できるほか、確認申請に使用する算定式も自動作成できます。

さらに、バージョン2.0からは、高さ方向の緩和計算にも対応しました。

✅ 対応する告示について

今回の延焼ラインの緩和は、以下の2つの告示に分かれています。

告示1号:

敷地内にある建築物同士の外壁間に生じる延焼ラインの緩和

告示2号:

隣地境界線や道路中心線に生じる延焼ラインの緩和

✅ 本ツールの対応メニュー

本ツールでは、メニュー内の項目がそれぞれ以下の告示に対応しています。

建物間延焼
→ 告示1号に対応

隣地等延焼
→ 告示2号に対応

JG_延焼線緩和 告示1号(建築物相互間の延焼線)緩和 実行画面

JG_延焼線緩和 告示2号(隣地境界線等に生じる延焼線)緩和 実行画面

この「JG_延焼線緩和 」の機能について深掘りしたい方は次の外壁間中心線に関わる投稿と、告示内容に関わる投稿もご覧ください。

▶️ 操作方法

【1】zipファイルを解凍し、JWWフォルダー内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニューから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_延焼線緩和」フォルダー内の延焼線緩和.BAT をクリックします。

【4】Jw_cadの左上に表示されるメニューから、「建物間延焼」「隣地等延焼」のどちらかを選択します。
     

≪ A 建物間延焼 ≫

JG_延焼線緩和 Jw_cad操作画面

【5】2棟の建物の外壁ラインを全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

 補足:建物の全データを選択しても構いませんが、属性選択から壁芯のみの選択にすると、次のフォームでの入力が容易になります。

Jw_cad 属性選択コマンドによる壁芯のみの選択

【6】「2棟の建物を入力」フォームが立ち上がるので、建物1の外壁ラインの端部を時計回りで順にクリックし、全ての端部の入力が終了した際は「入力」ボタンを押します。直前のデータを再現したい場合は、「直前を再現」ボタンを押します。  

【7】同様に建物2を入力します。

JG_延焼線緩和 「2棟の建物を入力」フォーム Bldg2(建物2)を裏面を省略して入力している状態

 注意:図形は自動で閉じるので、最初の点を最後にクリックする必要はありません。ただし4点以上クリックしないとエラーとなります(三角形は入力できません)。明らかに正対しない面については省略して構いません。

JG_延焼線緩和 描画設定フォーム

【8】描画設定入力フォームが立ち上がるので、各注釈の記載設定として、「補助線を記載」、「中心線角度を記載」、「離隔距離を記載」、「緩和計算式を記載」にチェックを入れます。その他、出隅部の形状設定(出隅部を円弧にするか)、描画するレイヤグループの設定、線種及び文字種の記載仕様、告示緩和適用建物の選択(両方も可能)、「形状が複雑な場合に使用するパラメーター」の選択(通常はチェックを入れない)を行い、「完了」ボタンを押します。

 ~ワンポイント~
形状が複雑な場合は、中心線の位置を適切に描画できない場合があります。その場合、建物1と2の割り当てを入れ替えると改善する場合があります。同様に、「形状が複雑な場合に使用するパラメーター」の項目にチェックを入れると描画できる場合があります。
 補足:「補助線を記載」と「中心線角度を記載」及び「離隔距離を記載」にチェックを入れなかった場合でも、告示緩和適用建物の選択し「緩和計算式を記載」にチェックを行った場合には、緩和計算に必要な補助線と中心線角度が記載されます。

【9】告示緩和適用建物の選択で両方の建物を選択した場合、高さ方向の緩和フォームが立ち上がるので、高さ方向の緩和を行う建物を選択します。高さ緩和を行わない場合は「高さの緩和を行わない」にチェックを入れる。設定後OKボタンを押します。

JG_延焼線緩和 高さ方向の緩和設定フォーム

【8】で告示緩和適用建物の選択を行わなかった場合は、Jw_cadの画面に延焼線が出力されます。

【10】【9】で高さ方向の緩和を行う建物を選択した場合、又は【8】の告示緩和適用建物の選択で片方の建物を選択した場合は、他の建物高さ設定フォームが立ち上がるので、他の建物高さを入力します。高さ緩和を行わない場合は、「高さの緩和を行わない」にチェックを入れます。設定後OKボタンを押すと、Jw_cadの画面に延焼線が出力されます。

 参考:【8】の注釈の記載設定で「緩和計算式の記載」にチェックを入れた場合は、中心線と外壁面がなす角度のうち最小となる位置に計算式が記載されます。また、高さ方向の緩和計算に使用する最小距離(S)も自動的に描画されます。

 

≪ B 隣地等延焼 ≫

【5】1棟の建物の外壁ラインと隣地境界線等を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

【6】「1棟の建物と隣地境界線を入力」フォームが立ち上がるので、最初に、建物1の外壁ラインの端部を時計回りで順にクリックし、全ての端部の入力が終了した際は「入力」ボタンを押します。直前のデータを再現したい場合は、「直前を再現」ボタンを押します。

 注意:図形は自動で閉じるので、最初の点を最後にクリックする必要はありません。ただし4点以上クリックしないとエラーとなります(三角形は入力できません)。建物の裏側もできる限り入力して下さい。
【7】同様に、隣地境界線を時計回りでクリックし、全ての端部の入力が終了した際は「入力」ボタンを押します。

 注意:境界線の場合は、最初の点と最後の点を重ねることができます。また、2点以上で入力できます(一つの線分から入力できます)。

【8】描画設定入力フォームが立ち上がるので、各注釈の記載設定として、「離隔距離を記載」、「緩和計算式を記載」にチェックを入れます。その他、描画レイヤグループの設定、線種及び文字種の記載仕様、告示緩和適用(デフォルトではオンになっている)の選択を行います。

【9】「設定完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に延焼線が出力されます。

 参考:注釈の「緩和計算式の記載」にチェックを入れた場合は、中心線と外壁面がなす角度のうち最小となる位置に計算式が記載されます。

敷地延焼線を深掘りする

🏠 敷地延焼線を深掘りする

今回は、「JG_敷地延焼線」 に関連して、敷地の延焼線、つまり 延焼のおそれのある部分 について詳しく整理します。

主なテーマは、敷地が次のような特殊な道路に接する場合、延焼ラインがどのような形状になるかです。

  • 異幅道路に接する場合
  • L型道路に接する場合
  • 行き止まり道路に接する場合
  • 行き止まり道路が敷地に入り込む場合
  • 敷地に平行な行き止まり道路に接する場合

いずれも、一般的な道路条件とは異なるため、ややイレギュラーなケースになります。

✅ 隣地境界線と道路中心線の結合方法について

延焼線を作成する際には、隣地境界線と道路中心線をどのように結合するかが重要になります。

これは、以前 「JG_日影測定線」 の説明で取り上げた、隣地境界線と道路中心線の結合方法と同様です。

主な結合方法は、次の2通りです。

① 隣地境界線を道路中心線まで延長して結合する方法

下記 のイ図 の方法です。

隣地境界線をそのまま道路中心線まで延長し、道路中心線と直接結合します。

この場合、延焼線は直線的に結合されます。

②道路に直角な「みなし境界線」を介して結合する方法

下記 の ロ図 の方法です。

隣地境界線と道路中心線を直接結合するのではなく、道路に直角なライン、つまり みなし境界線 を介して結合します。

JG_敷地延焼線 ①隣地境界線を道路中心線まで延長して結合する方法(イ図)
JG_敷地延焼線 ②道路に直角な「みなし境界線」を介して結合する方法(ロ図)

✅ 結合方法による違い

2つの結合方法では、延焼線の出力結果が異なります。

① 隣地境界線を延長して結合する方法

  • 延焼線は直線で結合される
  • 安全側の結果になりやすい

② みなし境界線を介して結合する方法

  • 延焼線は出隅を中心とした円弧で結合される
  • 道路形状に応じた処理が必要になる

なお、「JG_敷地延焼線」 では、どちらの方法でも描画できます。

ただし、安全側で考える場合は、①の方法を選択して下さい。

結合方法1 青印部分の拡大図(ハ図)

結合方法2 青印部分の拡大図(ニ図)

✅ 異幅道路に接する場合の延焼線

次に、敷地が異幅道路に接する場合の延焼線について整理します。

異幅道路では、道路幅員が途中で変わるため、道路中心線の位置や延焼線の円弧位置が、道路形状によって変わります

ここでは、次の2つのケースがあります。

A図:敷地の反対側道路境界線が「かぎ型」になっている場合

B図:敷地境界線側が「かぎ型」になっている場合

A図:反対側道路境界線が「かぎ型」の場合

A図では、敷地の反対側にある道路境界線が、途中で折れた かぎ型 になっています。

この場合、道路中心線は、反対側の道路境界線がズレた位置に合わせて設定されます。

そのため、延焼線の円弧位置も、その道路中心線の位置に応じて決まります。

JG_敷地延焼線 異幅道路の解法1(A図)

A図での入力上の注意点 ⚠️

「JG_敷地延焼線」 でA図のような道路を入力する場合は、反対側道路境界線の入力方法に注意が必要です。

特に、反対側の道路境界線がズレている部分については、直交する線分の入力が必要になります。

具体的には、以下の順で入力が必要です。

  • 反対側道路境界線①
  • ズレた部分の直交線分②
  • 反対側道路境界線③

B図:敷地境界線側が「かぎ型」の場合

B図では、敷地境界線側が かぎ型 になっています。

この場合、道路中心線は、実際の道路反対側境界線との中心ではなく、みなし境界線、つまりみなし道路との中心線 として扱われます。

その結果、A図とは延焼線の円弧位置が異なります。

JG_敷地延焼線 異幅道路の解法2(B図)

B図での入力上の注意点

B図の場合は、みなし道路境界線 を設定する必要があります。

「JG_敷地延焼線」で入力する際には、このみなし道路境界線を含めて反対側の道路境界線を3カ所入力します。

具体的には、以下の順で入力が必要です。

  • 反対側道路境界線①
  • みなし道路境界線(反対側道路境界線)②
  • 反対側道路境界線③

✅ L型道路に接する場合の延焼線

L型道路に接する場合も、B図と同様に、みなし道路境界線 の入力が必要になります。

これはC図に該当するケースです。

L型道路では、道路が直角方向に折れるため、通常の反対側道路境界線だけでは延焼線を正しく作成できません。

「JG_敷地延焼線」を利用する際は、あらかじめJw_CADで円弧を描き幅員と同じ距離の位置に下線としてみなし道路境界線を記載しておく必要があります。また入力画面では反対側の道路境界線を3カ所入力する必要があります。

JG_敷地延焼線 L型道路の解法(C図)

ここで注意することが一つあります。みなし境界線を想定する以上は、冒頭に述べた隣地境界線と道路中心線の結合についても、②「道路に直角なライン(=みなし境界線)を介して結合する」方法をとらないとD図のようにNGになります。

JG_敷地延焼線 L型道路の解法 結合方法①(隣地境界線を道路中心線まで延長)を選択した場合(D図)

✅ 行き止まり道路が直交する場合の延焼線

次に、行き止まり道路が敷地に対して直交する場合です。

このケースでも、みなし道路境界線の入力が必要になる場合があります。

E図のように、行き止まり道路が直交している場合には、円弧どうしが連結した特徴的な延焼線が現れます。

✅ 行き止まり道路が直交する場合の入力方法

このケースでは、反対側道路境界線の入力は1カ所のみになります。

ただしこの場合も結合方法は②「道路に直角なライン(=みなし境界線)を介して結合する」を採用する必要があります。

この方法を選択することで、行き止まり道路特有の円弧が連続する延焼線を作成できます。

JG_敷地延焼線 敷地に直交する行き止まり道路の解法(E図)

✅ 行き止まり道路が敷地に入り込む場合

次は、行き止まり道路が敷地に入り込んでいる場合です。

これはF図に該当するケースです。

このような形状では、多くの場合、2階以上の延焼ライン が半円を伴って現れます。

道路が敷地内へ入り込むことで、通常の道路境界線だけでは延焼線の形状を整理しにくくなるため、みなし道路境界線を含めた入力が必要になります。

✅ 行き止まり道路が敷地に入り込む場合の入力方法

このケースでは、反対側道路境界線を、みなし道路境界線を含めて3カ所入力する必要があります。

具体的には、以下の順で入力が必要です。(順序は重要です。)

  • みなし道路境界線
  • 対岸の敷地境界線に一致する道路境界線
  • もう一方の対岸の敷地境界線に一致する道路境界線
    因みに、みなし道路境界線以外の道路境界線は、対岸の敷地境界線と一致します。

JG_敷地延焼線 敷地に入り込んだ行き止まり道路の解法(F図)

✅ 敷地に平行な行き止まり道路に接する場合

最後に、敷地に平行な行き止まり道路に接する場合です。

これはG図に該当します。

この場合、反対側道路境界線の入力は1カ所のみです。

延焼線の円弧の中心は、道路中心線の端部ではなく、隣地境界線と道路中心線をつなぐ「みなし境界線」と隣地境界線の交点になります。

JG_敷地延焼線 敷地に平行な行き止まり道路の解法(G図)

ケース別の整理 📚

特殊な道路に接する場合の入力と注意点を整理すると、次のようになります。

ケース主な特徴反対側道路境界線の入力注意点
異幅道路 A図反対側道路境界線が「かぎ型」3カ所ズレ部分の直交線分入力が必要
異幅道路 B図敷地境界線側が「かぎ型」3カ所みなし道路境界線が必要
L型道路 C図道路がL型に折れる3カ所事前に円弧や下線の補助作図が必要
D図(NGとなる場合)結合方法②を選択する
行き止まり道路 E図道路が敷地に直交1カ所結合方法②を選択する
行き止まり道路 F図道路が敷地に入り込む3カ所入力順序が特に重要
行き止まり道路 G図敷地に平行1カ所特に無し

操作上のポイント 📌

「JG_敷地延焼線」で特殊な道路形状を扱う場合は、次の点を意識すると整理しやすくなります。

  • 道路中心線がどこに設定されるかを確認する
  • みなし道路境界線が必要かどうかを判断する
  • みなし境界線を使う場合は、結合方法②を選択する
  • 反対側道路境界線の入力数をケースごとに確認する
  • 異幅道路やL型道路では、必要に応じて補助線や円弧を事前に作図する
  • 行き止まり道路では、円弧の中心位置を誤解しないようにする

🌟 まとめ

敷地の延焼線は、通常の直線道路に接する場合であれば比較的単純に作成できます

しかし、異幅道路、L型道路、行き止まり道路などに接する場合は、道路中心線やみなし境界線の考え方によって、延焼ラインの形状が変わります

特に重要なのは、次の点です。

  • 隣地境界線と道路中心線の結合方法には2通りある
  • みなし道路境界線を使う場合は、結合方法もみなし境界線を介する方法にする
  • 特殊な道路形状では、反対側道路境界線の入力数や入力位置に注意する
  • 行き止まり道路では、延焼線の円弧中心が道路中心線端部とは限らない

「JG_敷地延焼線」 を使用する際は、道路形状ごとの特徴を確認しながら、必要に応じてみなし境界線や補助作図を行うことで、より適切な延焼ラインを作成できます。

注意:特定行政庁や確認審査機関への照会は必ず行って下さい。

敷地と道路形状から延焼ラインを作図

JG_敷地延焼線とは

「JG_敷地延焼線」 は、敷地形状と道路形状をもとに、敷地の延焼ラインを作成する外部変形です。

配置図を作成する際、道路情報の入力と同時に延焼ラインを描画できるため、作図作業の手間を軽減できます。

✅ 主な機能

本ツールでは、以下の情報を入力することで、延焼のおそれのある部分を自動的に描画します。

  • 敷地境界線
  • 道路の反対側の境界線

入力された敷地および道路条件から、延焼ラインを作成し、あわせて関連する注釈も自動的に描画します。

✅ 作図できる内容

「JG_敷地延焼線」では、敷地と道路の関係に基づいて、以下の内容を作図できます。

  • 延焼のおそれのある部分のライン
  • 道路条件に応じた延焼ライン
  • 延焼ラインに関する注釈
  • 配置検討時に必要となる基準線

配置図の作成初期段階で、道路条件を整理しながら延焼ラインを確認できるため、建物配置の検討にも活用できます。

JG_敷地延焼線 実行画面

✅ 2019年法改正との関係について

2019年の法改正により、一定の条件を満たす場合には、延焼範囲を緩和できるようになりました。

ただし、本ツールは、従来どおり 敷地条件と道路条件のみ をもとに延焼ラインを作成します。

告示による延焼範囲の緩和を利用する場合は、別ツールの 「JG_延焼線緩和」 を使用してください。

✅ 延焼範囲の緩和を使う場合の注意点

延焼範囲の緩和は、建物の配置や形状が決定した後でなければ確定できません。

そのため、計画前の与条件として、最初から緩和後の延焼範囲を設定することはできません

配置検討の初期段階では、まず従来どおりの延焼ラインを描画し、その上で建物配置を検討することになります。

✅ 使い分けの目安

「JG_敷地延焼線」を使用する場合
  • 敷地と道路条件から延焼ラインを作成したい場合
  • 配置図作成時に、従来の延焼ラインを入れておきたい場合
  • 建物配置検討前の与条件として延焼ラインを確認したい場合
「JG_延焼線緩和」を使用する場合
  • 2019年法改正による告示緩和を検討する場合
  • 建物配置が決定した後に、延焼範囲の緩和を反映したい場合
  • 建物形状や開口条件等を踏まえて延焼範囲を確認したい場合

この「JG_敷地延焼線」の機能について深掘りしたい方は次の投稿もご覧ください。

▶️ 操作方法

【1】zipファイルを解凍し、JWWフォルダー内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニューから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にあるJG_延焼線緩和フォルダー内の延焼線緩和.BATをクリックします。

【4】Jw_cadの左上に表示されるメニューから、「敷地延焼線」「注釈記載」のどちらかを選択します。

JG_敷地延焼線 Jw_CAD初期画面(図面を全て選択)

JG_敷地延焼線 チュートリアル ~操作の流れ~


    
 ≪ A 敷地延焼線 ≫

【5】敷地境界線と道路を示す図形を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

【6】敷地境界線入力フォームに選択した敷地地境界線と道路が表示されるので、敷地境界点を時計回りで順にクリックし、全ての境界点のクリックが終了した際は「入力(次へ)」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。

 補足:閉じた敷地境界線を入力した場合は、「閉じた領域が見つかりました(省略)」のメッセージが表示されるので、確認し「入力(次へ)」ボタンを押します(境界点の入力は省略できます)。変更する際は、「取消」ボタンを押し、このフォームで境界点をクリックして入力し、「入力(次へ)」ボタンを押します。

JG_敷地延焼線 敷地境界点の入力(閉じた敷地境界線を入力した場合は省略できます)

 

【7】「境界種別を選択します(以下省略)」というメッセージが現れ、境界種別入力フォームが立ち上がります。右上の境界線リストから境界線番号を選択(複数選択可)し、リスト下の境界種別「道路境界線」、「隅切」、「隣地境界線」の3つから1つを選択し「決定」ボタンを押します。未入力の場合は隣地境界線となるので、隣地境界線の入力は省略できます。変更する場合は、リストを選択し、変更する境界種別を選び、「決定」ボタンを押します。道路と隅切を全て入力した際は「次へ」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。 

JG_敷地延焼線 境界種別の入力

【8】「リストから道路境界線を選択し(以下省略)」というメッセージが現れ、反対側の道路境界線入力フォームが立ち上がります。右上の境界線リストから該当する道路境界線番号を選択し、反対側の敷地境界線を時計回りで2点クリックし「入力」ボタンを押します。入力するとライン上に境界線番号が表示されます。異なった番号が入った場合は「削除」ボタンを押し再度入力します。また、【7】で隣地境界線を選択した場合でもこのフォームで道路境界線に変更できます。全ての道路境界線の入力が終了した際は「入力完了」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は「直前を再現」ボタンを押します。 

JG_敷地延焼線 反対側の道路境界線の入力

 捕捉:行き止まり道路が敷地に対し直角になる場合は、道路幅員と同じ距離の位置を道路境界線とみなして入力して下さい(事前にJw_cadでラインを作成する必要があります)。また、その道路が敷地に入り込む際に敷地の一辺が反対側の道路境界線となることがありますが、その場合でも入力が必要です。 

【9】描画設定入力フォームが立ち上がります。道路情報の記載設定から、「道路中心線を記載」、「道路幅員を記載」、「遠隔距離を記載」、を行うか選択します。次に、レイヤグループ、レイヤ、線(色)番号、使用する文字種を入力します。次に、隣地境界線と道路中心線の結合方法を「隣地境界線を延長して結合する」か、「道路に直角なラインを介して結合する」か選択します。 

JG_敷地延焼線 延焼線描画設定

【10】「設定完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に延焼線その他が出力されます。

JG_敷地延焼線 Jw_CADへの出力結果

 ≪ B 各種注釈 ≫

【5】~【8】 ≪ A ≫ の行程に同じ。

【9】描画設定入力フォームが立ち上がります。道路情報の記載設定から、「境界線延長を記載」、「道路中心線を記載」、「道路幅員を記載」、「敷地面積を記載」、「敷地境界点を記載」を行うか選択します。また、レイヤグループ、レイヤ、線(色)番号、使用する文字種を入力します。

【10】「設定完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に各種注釈が出力されます。

 補足: ≪ A ≫ と ≪ B ≫ の行程は共に同じ敷地情報を使用します。どちらかで入力したデータは本ソフト内に記録されるので、「直前を再現」ボタンを使用することで、二度入力する手間を省くことが出来ます。また、【8】の入力の最後に「Excel書出し」ボタンを使用すると、任意のエクセルシートにデータを保存することができ、他の外部変形ソフト(「JG_測定線作成」「JG_近隣範囲図」「JG_壁面線後退」「JG_斜線等高線(開発中)」)に使用できます。これらのソフトは敷地や道路の位置データを相互に利活用することができ、それぞれのツールに付随しているEXCEL書き出し機能を使用することで、一度入力したデータを再利用できます。

これらのツールをメニュー化してひとつのパッケージにし「Jw作図」という外部変形ソフトにまとめました。敷地・道路データをソフト内に記憶させることができるので、Excelに書き出す手間が省け操作性が向上します。ご希望の方は問い合せ先までご連絡ください。