カテゴリー: 深堀り

敷地定規を作成する

今回は、「JG_壁面後退線」 を活用して、計画初期に便利な 敷地定規 を作成してみます。

建物の配置や規模を検討する際、敷地境界線からの離隔距離が補助線として表示されていると、計画が進めやすくなります。
この補助線を、敷地境界線から敷地の中央に向かって等間隔に連続描画したものが、ここでいう 敷地定規 です。

敷地の中に方眼紙を重ねるような感覚で、建物配置や通路幅、空地の検討に活用できます。

敷地定規(JG_壁面後退線 実行画面)

🔵 連続描画機能を利用する

「JG_壁面後退線」には、一定の間隔で後退線を作成する 連続描画機能 があります。

敷地定規は、この連続描画機能を利用して作成します。
後退距離、つまり線と線の間隔に、任意のモジュールを入力します。

例えば、次のような間隔を設定できます。

  • 1m間隔
  • 2m間隔
  • 910mmや1,820mmなどの設計モジュール
  • 通路幅や空地幅の検討に合わせた任意寸法

これにより、敷地境界線から内側へ、一定間隔の後退線を連続して描画できます。

敷地定規は、作図用のレイヤーとは別のレイヤーに、補助線色や補助線種で作成しておくと便利です。

JG_壁面後退線 不整型地の敷地定規とその活用

🎯 不整形敷地で特に有効

敷地が整形であれば、建物配置や離隔距離の把握は比較的簡単です。
しかし、不整形な敷地では、境界線からの距離感や有効に使える範囲が分かりにくくなります。

特に、次のような検討では、敷地定規があると便利です。

  • 斜線制限を考慮した建物後退の検討
  • 窓先空地の確保
  • 避難通路や有効幅員の確認
  • 建物ボリュームの大まかな配置検討
  • 緑地や空地の配置バランスの確認

計画の初期段階で敷地定規を表示しておくことで、敷地条件を視覚的に把握しやすくなり、配置計画をスムーズに進めることができます。。

📌 通常のオフセットとの違い

Jw_CADには、線を指定距離だけ移動するオフセット機能があります。
ただし、敷地のように閉じた領域を内側へ連続してオフセットしていくと、敷地形状によっては、途中で線がねじれたり、反転した領域が発生することがあります。

特に、凹凸のある敷地や不整形な敷地では、このような反転部分が生じやすくなります。

図1 は、通常のオフセット処理によって、線がねじれて反転した例です。

一方、「JG_壁面後退線」では、プログラム側でこのような反転部分を自動的に整理・削除します。
そのため、内側へ連続して後退線を作成しても、不要な交差や反転の少ない、整然とした敷地定規を作成することができます。

図2 は、「JG_壁面後退線」によって作成した敷地定規の例です。

Jw_CADのオフセットコマンドを使用した例(図1)

JG_壁面後退線のオフセットによる敷地定規(図2)

後退率を指定した範囲表示

「JG_壁面後退線」には、距離を指定して後退線を描画する機能のほかに、後退率を指定して後退範囲を描画する機能 もあります。

後退率とは、敷地面積に対して、外周から後退する部分がどの程度の割合になるかを示すものです。

例えば、後退率を20%に設定すると、敷地面積のうち外周側の20%に相当する範囲を後退部分として表示できます。

図3 は、後退率20%の範囲を赤線で描画した例です。

この機能を利用すると、例えば緑地率20%に合わせて後退範囲を表示し、緑地として必要なボリュームを大まかに把握することができます。

JG_壁面後退線 敷地定規に後退率20%を重ねたもの(図3)

敷地条件や規制ラインとの組み合わせ

敷地定規は、単独で使うだけでなく、他の条件や規制ラインと重ねて表示することで、さらに効果的に活用できます。

例えば、次のような情報と組み合わせることができます。

  • 壁面後退線
  • 道路斜線や隣地斜線を考慮した後退ライン
  • 窓先空地
  • 避難通路
  • 緑地範囲
  • 建蔽率に応じた建築可能面積の目安
  • 駐車場やアプローチ計画

このように、「JG_壁面後退線」で作成した敷地定規に、敷地の諸条件や規制ラインを重ねることで、計画初期の検討をより分かりやすく進めることができます。

延焼線の告示緩和を紐解く

🏠 2019年の延焼ライン法改正と「JG_延焼線緩和」

今回は「JG_延焼線緩和」に関連して、2019年の延焼ラインに関する法改正について整理します。

この法改正により、建物が隣地境界線や隣棟間の中心線に正対していない場合、その傾きの度合いに応じて延焼範囲を計算で設定できるようになりました。

また、これまで高さ方向には無制限に延焼範囲がかかっていましたが、改正後は、計算によって求めた高さまでに抑えられるようになりました。

つまり、火災時の熱的な影響を考慮しながら、延焼線をより合理的に算出できるようになったということです。

1. 緩和効果の特徴

実際に緩和計算を使ってシミュレーションしてみると、次のような傾向があります。

  • 水平方向の緩和効果は、比較的小さい
  • 高さ方向の緩和効果は、建物が高層になるほど大きい

告示の算定式を見ると、高さ方向の延焼範囲は、低い側の建物高さに対して、上方に概ね10m程度(下図の*1)で延焼範囲がカットされます

そのため、高低差が大きければ大きいほど緩和効果が得られます。

*1:固定値の5m(低い建物が5m以上の場合は10m)に離隔距離によって変動する5m前後を足した値。

緩和前と緩和後の延焼範囲のイメージ

2. 告示1号と告示2号

今回の緩和は、大きく次の2つに分かれます。

告示1号

敷地内にある建築物相互の外壁間に生じる延焼ラインの緩和

告示2号

隣地境界線や道路中心線に生じる延焼ラインの緩和

JG_延焼線緩和 告示1号(建築物相互間の延焼線)緩和 実行画面

JG_延焼線緩和 告示2号(隣地境界線等に生じる延焼線)緩和 実行画面

3. 水平方向の緩和算定式

水平方向の緩和算定式は、告示1号・告示2号ともに同じです。

1階の場合

d = max{2.5,3 ×(1 − 0.000068 × Θ²)} ・・・式1

2階以上の場合

d = max{4,5 ×(1 − 0.000068 × Θ²)}  ・・・式2

ここで、max(値1,値2,・・・) は、括弧内の値のうち最も大きい値を採用するという意味です。

つまり、

  • 1階は 2.5m
  • 2階以上は 4m

を下限値とし、それを下回らないようになっています。

4. 告示1号における緩和の考え方

告示1号では、二つの建物がいずれも準耐火構造以上であれば、両方の建物に緩和を適用できます。

告示の解説書などでは、片方の建物を緩和対象の建物、もう片方を「他の建築物」として説明していることが多いです。

ただし、実際には、両方の建物について同時に一つの算定図で表現することも可能です。

しかし、建物形状が複雑になると算定用の下線が増え、図面が煩雑になります。
そのため、確認申請では、建物ごとに分けて算定したほうが見やすく、説明もしやすくなります。

JG_延焼線緩和 建物形状が複雑な場合(片側のみ算定した場合)(A図)

5. 建物形状が複雑な場合の算定図

A図は、片側の建物形状に凹凸がある場合の例です。

外壁にわずかな凹凸があるだけでも、外壁間中心線の折れ点は大きく増えます。
それに伴い、中心線を構成する線分の数も増加します。

この程度の建物形状であっても、算定図は見づらくなりやすいため、建物ごとに分けて作成したほうが、分かりやすい図面になります。

なお、「JG_延焼線緩和」では、緩和算定は片側ずつ行います。
ただし、延焼線は両方の建物について描画されます。(A図では「他の建築物」側の延焼線を消去して表示しています。)

また、高さ方向の緩和算定は、高い側の建物にのみ適用されます

JG_延焼線緩和 水平方向緩和計算 最小の角度を選択(B図)

6. 算定図に表示される角度Θについて

「JG_延焼線緩和」の算定図について、少し補足します。

隣地境界線等、または外壁間中心線と建物外壁ラインが交わる点は、複数発生する場合があります。

このとき、式1・式2で使用する角度 Θ は、隣地境界線等と建物外壁ラインがなす角度のうち、最小の角度を採用します。

例えばB図の場合、角度が図のように複数(27.5°と62.5°)発生しています。

B図の場合は27.5°(27.5°<62.5°)が最小となり、この最小角度の近傍に計算式を2段(上が1階、下が2階以上)で記載しています。もうひとつの中心線の場合も同様に最小となる17.5°(17.5°<72.5°)の近傍に2段で算定式を記載しています。

7. 高さ方向の緩和算定式

高さ方向の緩和を行う場合、算定式は次のようになります。

h(B) が5m未満の場合

h = h(B) + 5 + 5√{1 −(S / dfloor)²} ・・・式3

h(B) が5m以上の場合

h = h(B) + 10 + 5√{1 −(S / dfloor)²} ・・・式4

これらの式は、水平方向の算定式の下に表示されます。
ただし、表示されるのは高さ方向の緩和を行う建物のみです。

8. 高さ方向の算定式で使う値

高さ方向の算定式で使用する主な値は、次のとおりです。

h(B):

低い側の建物高さを指します。

S:

各中心線から建物までの最小距離です。

B図の場合は、例えば次の値が該当します。

S3、S2 = 4.371

dfloor:

式2で求めた、2階以上の延焼距離です。

B図の場合は、例えば次の値が該当します。

d3 = 4.743 d2 = 4.896

9. 水平方向の緩和効果が小さい理由

冒頭で、高さ方向の緩和に比べて、水平方向の緩和効果は小さいと述べました。

ここでは、その理由を少し掘り下げます。

1階の算定式は次のとおりです。

d = max{2.5,3 ×(1 − 0.000068 × Θ²)}

この式では、下限値である 2.5 と、計算値である

3 ×(1 − 0.000068 × Θ²)

のうち、大きいほうを採用します。

では、角度 Θ がいくつになれば、下限値の 2.5 が採用されるのでしょうか。

次の式を Θ について解きます。

3 ×(1 − 0.000068 × Θ²)= 2.5

計算すると、

Θ = 約49.5°

となります。

しかし、ここで問題になるのは、実際にこのような角度が発生するかどうかです。

水平方向の算定式に使用する角度Θの推移(C図)

10. 矩形建物では45°を超えない

角度 Θ は、隣地境界線等と建物外壁ラインがなす角度のうち、最小の角度です。

C図で示すように、一般的な矩形建物を計画している限り、この角度が45°を超えることは原理的にありません。

45°を式1に代入すると、結果は次のようになります。

d = 約2.589m

一般的な矩形建物の場合、1階の緩和値は下限値の2.5mまでは下がらず、2.6m程度で頭打ちになります。

11. 高さ方向の緩和で注意すべき点

高さ方向の緩和では、もう一つ注意点があります。

B図を見ると、高さ方向の緩和計算式として、次の2種類が表示されています。

h2 = 10.441m

h3 = 10.753m

この入力値が異なるため、結果の高さも異なります。

ここで分かることは、高さ方向の緩和値は、中心線を構成する線分の数だけ存在するという点です。

つまり、外壁間中心線が複数の折れ線で構成されている場合、それぞれの線分ごとに高さ方向の緩和値が発生します。

中心線によって異なる延焼範囲とその合成(D図)

12. 立面図に投影する場合の考え方

高さ方向の緩和効果を立体的に表現すると、D図のようになります。

延焼範囲の上端位置に着目すると、線分ごとに高さが異なり、範囲が少しずつずれていることが分かります。

実務では、これを立面図に投影して表現することになると考えられます。

しかし、A図のように中心線の線分数が多くなると、すべてを正確に反映する作業は非常に煩雑になります。

そのような場合は、複数ある h の値のうち、最大となる値で安全側に統一するという方法もあるかと思います。

13. まとめ

2019年の法改正により、延焼ラインは建物の傾きや高さ関係を考慮して、より合理的に設定できるようになりました。

特に高さ方向の緩和は、高層建物ほど効果が大きくなります。

一方で、水平方向の緩和効果は、高さ方向に比べると限定的です。

また、外壁間中心線が複雑になると、高さ方向の緩和値も線分ごとに複数発生するため、そのつど立面図等で延焼範囲を図示する必要があります。

「JG_延焼線緩和」では、これらの算定式や延焼線を自動作成することで、法改正に対応した検討作業を効率化できます。

隣棟間の中心線をマニアックに解析

1. 建物間中心線の基本的な考え方

外壁間中心線の基本的な作図方法は、「防火避難安全規定の解説」に示されています。

基本的には、次のように作図します。

  • 二棟の外壁面が正対している場合
    → それぞれの外壁から等距離にある平行線を引く
  • 二棟の外壁面が正対していない場合
    → 向き合う外壁がつくる角度の二等分線を作成する
  • 作成した線同士が交わる部分で連結する
  • 最終的に、一連の折れ線として建物間中心線を作成する

一見すると単純な作業ですが、実際には建物の形状が複雑になるほど、作図は難しくなります。

JG_延焼線緩和 実行画面

2. 手作業での作図が難しくなる理由

建物の外壁が単純な形状であれば、中心線の作図は比較的容易です。

しかし、外壁に凹凸があったり、複雑な形状になったりすると、角度の二等分線が多数発生します。
その結果、どの線をどの位置で連結すべきか判断が難しくなります。

試行錯誤を重ねれば、最終的にそれらしい形にはできます。
しかし、作図の根拠を明確にしながら、安定して同じ結果を得ることは簡単ではありません。

3. プログラム化を考えたきっかけ

中心線の作図は、一見すると規則性がないように見えます。

しかし、最終的に作図できる以上、そこには何らかのメカニズムがあるはずです。
この考えが、建物間中心線の作成をプログラム化しようと思ったきっかけです。

プログラムでの基本的な考え方は、次のとおりです。

  1. 建物同士が向き合っているすべての外壁面を抽出する
  2. 各外壁面の組み合わせごとに、二等分線を作成する
    ※本ツールでは、この線を「補助線」と呼んでいます
  3. 建物間の中央付近に位置する補助線を見つける
  4. 補助線同士の交点をつなぎ、連続した中心線を作成する

この方法はいわゆる「総当たり」に近い解析です。
解析対象が多くなるという欠点はありますが、取りこぼしが少なく、作成後の検証がしやすいというメリットがあります。

JG_延焼線緩和 外壁間の中心線

4. 中心線はどのように特定されるか

A図では、複数の補助線の中から、建物間中心線として特定された線を赤太線で表示しています。

プログラムでは、建物間の中央付近を通る補助線を見つけ、それらを交点で連結していきます。

さまざまな形状でシミュレーションした結果、建物間を最後まで途切れることなく連続する中心線を、少なくとも一本は見つけ出せることが分かりました。

ただし、常に一本だけに定まるわけではありません。

建物同士が離れていて、延焼線の検討にあまり影響しないような部分では、中央の中心線とは連続しない別の中心線が現れる場合があります。

JG_延焼線緩和 中心線の候補が1つの場合(A図)

5. 外壁形状と中心線の発生パターン

A図:外壁面に凹凸がない場合

A図のように外壁面に凹凸がない場合、中心線は一組のみ発生します。

このような形状では、補助線同士の関係も単純で、中心線を比較的安定して特定できます。

B図:外壁面に凹凸がある場合

B図のように外壁面に凹凸があると、互いに平行な補助線が複数発生します。

図中のピンク色の点線が、その補助線です。
このような場合、中心線が二組発生することがあります。

B図を見ると、最も外側で発生した中心線が、内側の「外壁間中心線2」において建物間の中央から明らかに外れ、途中で途切れていることが分かります。

ただし、多くの場合、このように周縁部で発生した中心線が最後まで連続することはありません。
その意味では、延焼線作成に有効な中心線は、実質的に一本であると考えられます。

JG_延焼線緩和 中心線の候補が2つの場合(B図)

6. 複雑な建物形状への対応

建物形状がさらに複雑になった場合でも、必ずしも中心線が不安定になるわけではありません。

C図の場合

C図では、外壁面の数が増え、それに伴って補助線の数も増えています。
それでも、建物間の中央を通り、両端に向かって連続する中心線が一意に定まっています。

JG_延焼線緩和 補助線が複雑な場合1(C図)

D図の場合

D図では、補助線が網目状に発生し、より複雑な状態になっています。
それでも、この場合も中心線は一意に定まっています。

JG_延焼線緩和 補助線が複雑な場合2(D図)

E図の場合

E図は、あえて壁面形状を複雑にしてプログラムを実行した例です。

補助線の総数は、二棟間で向き合う外壁面の数の掛け算になります。

例えば、向き合う外壁面がそれぞれ3面ずつある場合は、

  • 3面 × 3面 = 9本

の補助線が発生します。

外壁面が多くなるほど補助線の数は急激に増えていきますが、この例でも連続する中心線を作成できています。


JG_延焼線緩和 中心線作成シミュレーション1(E図)

7. プログラム解析の限界

一方で、すべての形状に対して常に安定した中心線が得られるわけではありません。

F図の例を見てください。

F図は、E図ほど建物形状が複雑ではありません。
しかし、中心線が途中で途切れています。

その理由は、外壁面に凹部があることで、補助線のルートが円環状になりやすくなるためです。
さらに、同じ点に繰り返し戻ってくることで、無限ループに近い状態が発生する場合があります。

このような現象は、比較的整った凹部がある場合に偶発的に発生します。

総当たりの解析順序を逆にすることで解消する場合もありますが、それだけでは解決できないケースもあります。

JG_延焼線緩和 中心線作成シミュレーション2(F図)

8. 複雑形状に対応するためのパラメーター

単一の処理方法だけでは袋小路に入ってしまう場合、パラメーターを使って解析方法を切り替えることが有効です。

「JG_延焼線緩和」では、形状が複雑な場合に使用するパラメーターを設けています。
これにより、補助線が複雑に絡み合う状況にも対応しやすくしています。

改善が見られた主なパラメーターは、次の2つです。

JG_延焼線緩和 パラメーター①がオフの例(G図)

JG_延焼線緩和 パラメーター①「中心線の交点回りを詳細に解析する」がオンの例(H図)

9. パラメーター①

中心線(補助線)の交点回りを詳細に解析する

補助線同士の交点をつなげていく際、プログラムでは、交点から一定範囲内にある補助線について、一度選択したものを次に選択できないようにしています。

パラメーター①は、この判定範囲を狭めるための設定です。

H図は、パラメーター①「中心線の交点回りを詳細に解析する」を実行した例です。

オフの状態であるG図と比較すると、青丸部分の中心線のルートが異なっています。
H図の中心線の方が、より建物間の中央に近い位置を通っていることが分かります。

ただし、このパラメーターは通常はオフで使用します。

判定範囲を狭めすぎると、F図のように中心線が途中で途切れるリスクが高くなるためです。

10. パラメーター②

互いに連続しない中心線の候補を複数描画する

プログラムでは、建物間の中央位置を、二棟間の最短線分の中点として定義しています。

ただし、この中点を補助線が正確に通ることは多くありません。
そのため、通常は中点に最も近い補助線を採用します。

パラメーター②は、最も近い補助線に加えて、次に近い補助線も採用する設定です。
その結果、中心線の候補が2本描画されます。

JG_延焼線緩和 パラメーター②がオフの例(J図)

J図は、パラメーター②をオフにして実行した例です。

青丸部分を拡大したK図を見ると、点線のラインよりも太い実線ラインの方が、わずかに中点に近いため、中心線として特定されています。

JG_延焼線緩和 J図の青丸印部分を拡大したもの(K図)

パラメーター②をオンにすると、この点線のラインも候補として含めます。

L図は、パラメーター②「互いに連続しない中心線を複数描画する」をオンにして実行した例です。

最短線分の中点に近い中心線に加えて、次に近い中心線が代替案として描画されています。
この2本のうち1本は誤った中心線ですが、もう1本は正確に描画できています。

このうちのどちらを選択するかは直感的に明らかです。
ただしプログラムで特定することは未だできていません。

JG_延焼線緩和 パラメーター②「互いに連続しない中心線を複数描画する」がオンの例(L図)

11. まとめ

建物間中心線の作図は、基本的なルール自体は単純です。

しかし、建物形状が複雑になると、補助線が多数発生し、どの線を連結すべきかの判断が難しくなります。

「JG_延焼線緩和」では、総当たりによる補助線解析を基本としながら、複雑な形状に対応するためのパラメーターを用意しています。

これにより、多くのケースで中心線を自動作成できますが、形状によっては複数の候補が発生したり、中心線が途中で途切れたりする場合があります。

そのため、プログラムによる自動解析は有効な手段である一方、最終的には図面上で結果を確認し、必要に応じて調整することが重要です。

敷地延焼線を深掘りする

🏠 敷地延焼線を深掘りする

今回は、「JG_敷地延焼線」 に関連して、敷地の延焼線、つまり 延焼のおそれのある部分 について詳しく整理します。

主なテーマは、敷地が次のような特殊な道路に接する場合、延焼ラインがどのような形状になるかです。

  • 異幅道路に接する場合
  • L型道路に接する場合
  • 行き止まり道路に接する場合
  • 行き止まり道路が敷地に入り込む場合
  • 敷地に平行な行き止まり道路に接する場合

いずれも、一般的な道路条件とは異なるため、ややイレギュラーなケースになります。

📐 隣地境界線と道路中心線の結合方法について

延焼線を作成する際には、隣地境界線と道路中心線をどのように結合するかが重要になります。

これは、以前 「JG_日影測定線」 の説明で取り上げた、隣地境界線と道路中心線の結合方法と同様です。

主な結合方法は、次の2通りです。

① 隣地境界線を道路中心線まで延長して結合する方法

下記 のイ図 の方法です。

隣地境界線をそのまま道路中心線まで延長し、道路中心線と直接結合します。

この場合、延焼線は直線的に結合されます。

②道路に直角な「みなし境界線」を介して結合する方法

下記 の ロ図 の方法です。

隣地境界線と道路中心線を直接結合するのではなく、道路に直角なライン、つまり みなし境界線 を介して結合します。

JG_敷地延焼線 ①隣地境界線を道路中心線まで延長して結合する方法(イ図)
JG_敷地延焼線 ②道路に直角な「みなし境界線」を介して結合する方法(ロ図)

⚠️ 結合方法による違い

2つの結合方法では、延焼線の出力結果が異なります。

① 隣地境界線を延長して結合する方法

  • 延焼線は直線で結合される
  • 安全側の結果になりやすい

② みなし境界線を介して結合する方法

  • 延焼線は出隅を中心とした円弧で結合される
  • 道路形状に応じた処理が必要になる

なお、「JG_敷地延焼線」 では、どちらの方法でも描画できます。

ただし、安全側で考える場合は、①の方法を選択して下さい。

結合方法1 青印部分の拡大図(ハ図)

結合方法2 青印部分の拡大図(ニ図)

🛣️ 異幅道路に接する場合の延焼線

次に、敷地が異幅道路に接する場合の延焼線について整理します。

異幅道路では、道路幅員が途中で変わるため、道路中心線の位置や延焼線の円弧位置が、道路形状によって変わります

ここでは、次の2つのケースがあります。

A図:敷地の反対側道路境界線が「かぎ型」になっている場合

B図:敷地境界線側が「かぎ型」になっている場合

A図:反対側道路境界線が「かぎ型」の場合

A図では、敷地の反対側にある道路境界線が、途中で折れた かぎ型 になっています。

この場合、道路中心線は、反対側の道路境界線がズレた位置に合わせて設定されます。

そのため、延焼線の円弧位置も、その道路中心線の位置に応じて決まります。

JG_敷地延焼線 異幅道路の解法1(A図)
✍️ A図での入力上の注意点

「JG_敷地延焼線」 でA図のような道路を入力する場合は、反対側道路境界線の入力方法に注意が必要です。

特に、反対側の道路境界線がズレている部分については、直交する線分の入力が必要になります。

具体的には、以下の順で入力が必要です。

  • 反対側道路境界線①
  • ズレた部分の直交線分②
  • 反対側道路境界線③

B図:敷地境界線側が「かぎ型」の場合

B図では、敷地境界線側が かぎ型 になっています。

この場合、道路中心線は、実際の道路反対側境界線との中心ではなく、みなし境界線、つまりみなし道路との中心線 として扱われます。

その結果、A図とは延焼線の円弧位置が異なります。

JG_敷地延焼線 異幅道路の解法2(B図)

✍️ B図での入力上の注意点

B図の場合は、みなし道路境界線 を設定する必要があります。

「JG_敷地延焼線」で入力する際には、このみなし道路境界線を含めて反対側の道路境界線を3カ所入力します。

具体的には、以下の順で入力が必要です。

  • 反対側道路境界線①
  • みなし道路境界線(反対側道路境界線)②
  • 反対側道路境界線③

🔄 L型道路に接する場合の延焼線

L型道路に接する場合も、B図と同様に、みなし道路境界線 の入力が必要になります。

これはC図に該当するケースです。

L型道路では、道路が直角方向に折れるため、通常の反対側道路境界線だけでは延焼線を正しく作成できません。

「JG_敷地延焼線」を利用する際は、あらかじめJw_CADで円弧を描き幅員と同じ距離の位置に下線としてみなし道路境界線を記載しておく必要があります。また入力画面では反対側の道路境界線を3カ所入力する必要があります。

JG_敷地延焼線 L型道路の解法(C図)

ここで注意することが一つあります。みなし境界線を想定する以上は、冒頭に述べた隣地境界線と道路中心線の結合についても、②「道路に直角なライン(=みなし境界線)を介して結合する」方法をとらないとD図のようにNGになります。

JG_敷地延焼線 L型道路の解法 結合方法①(隣地境界線を道路中心線まで延長)を選択した場合(D図)

🚧 行き止まり道路が直交する場合の延焼線

次に、行き止まり道路が敷地に対して直交する場合です。

このケースでも、みなし道路境界線の入力が必要になる場合があります。

E図のように、行き止まり道路が直交している場合には、円弧どうしが連結した特徴的な延焼線が現れます。

✍️ 行き止まり道路が直交する場合の入力方法

このケースでは、反対側道路境界線の入力は1カ所のみになります。

ただしこの場合も結合方法は②「道路に直角なライン(=みなし境界線)を介して結合する」を採用する必要があります。

この方法を選択することで、行き止まり道路特有の円弧が連続する延焼線を作成できます。

JG_敷地延焼線 敷地に直交する行き止まり道路の解法(E図)

🏘️ 行き止まり道路が敷地に入り込む場合

次は、行き止まり道路が敷地に入り込んでいる場合です。

これはF図に該当するケースです。

このような形状では、多くの場合、2階以上の延焼ライン が半円を伴って現れます。

道路が敷地内へ入り込むことで、通常の道路境界線だけでは延焼線の形状を整理しにくくなるため、みなし道路境界線を含めた入力が必要になります。

📐 行き止まり道路が敷地に入り込む場合の入力方法

このケースでは、反対側道路境界線を、みなし道路境界線を含めて3カ所入力する必要があります。

具体的には、以下の順で入力が必要です。(順序は重要です。)

  • みなし道路境界線
  • 対岸の敷地境界線に一致する道路境界線
  • もう一方の対岸の敷地境界線に一致する道路境界線
    因みに、みなし道路境界線以外の道路境界線は、対岸の敷地境界線と一致します。

JG_敷地延焼線 敷地に入り込んだ行き止まり道路の解法(F図)

↔️ 敷地に平行な行き止まり道路に接する場合

最後に、敷地に平行な行き止まり道路に接する場合です。

これはG図に該当します。

この場合、反対側道路境界線の入力は1カ所のみです。

延焼線の円弧の中心は、道路中心線の端部ではなく、隣地境界線と道路中心線をつなぐ「みなし境界線」と隣地境界線の交点になります。

JG_敷地延焼線 敷地に平行な行き止まり道路の解法(G図)

📚 ケース別の整理

特殊な道路に接する場合の入力と注意点を整理すると、次のようになります。

ケース主な特徴反対側道路境界線の入力注意点
異幅道路 A図反対側道路境界線が「かぎ型」3カ所ズレ部分の直交線分入力が必要
異幅道路 B図敷地境界線側が「かぎ型」3カ所みなし道路境界線が必要
L型道路 C図道路がL型に折れる3カ所事前に円弧や下線の補助作図が必要
D図(NGとなる場合)結合方法②を選択する
行き止まり道路 E図道路が敷地に直交1カ所結合方法②を選択する
行き止まり道路 F図道路が敷地に入り込む3カ所入力順序が特に重要
行き止まり道路 G図敷地に平行1カ所特に無し

✅ 操作上のポイント

「JG_敷地延焼線」で特殊な道路形状を扱う場合は、次の点を意識すると整理しやすくなります。

  • 道路中心線がどこに設定されるかを確認する
  • みなし道路境界線が必要かどうかを判断する
  • みなし境界線を使う場合は、結合方法②を選択する
  • 反対側道路境界線の入力数をケースごとに確認する
  • 異幅道路やL型道路では、必要に応じて補助線や円弧を事前に作図する
  • 行き止まり道路では、円弧の中心位置を誤解しないようにする

🌟 まとめ

敷地の延焼線は、通常の直線道路に接する場合であれば比較的単純に作成できます

しかし、異幅道路、L型道路、行き止まり道路などに接する場合は、道路中心線やみなし境界線の考え方によって、延焼ラインの形状が変わります

特に重要なのは、次の点です。

  • 隣地境界線と道路中心線の結合方法には2通りある
  • みなし道路境界線を使う場合は、結合方法もみなし境界線を介する方法にする
  • 特殊な道路形状では、反対側道路境界線の入力数や入力位置に注意する
  • 行き止まり道路では、延焼線の円弧中心が道路中心線端部とは限らない

「JG_敷地延焼線」 を使用する際は、道路形状ごとの特徴を確認しながら、必要に応じてみなし境界線や補助作図を行うことで、より適切な延焼ラインを作成できます。

注意:特定行政庁や確認審査機関への照会は必ず行って下さい。

日影測定線を掘り下げる

「JG_日影測定線」と日影図の測定線について

今回は「JG_日影測定線」に関連して、**日影図における測定線**についてわかりやすく整理します。

日影図の測定線は、閉鎖方式で作図する場合でも、敷地の形や道路の形が複雑だと、建築基準法の解釈によって結果が変わることがあります。

📏 測定線はどう作るの?

一般的に測定線は、次の考え方で設定されます。

敷地境界線に対して

  • 外側に5m または 10m 離れた点を結んだ線

ただし

🤔 境界線が曲がっているとき(凸角・凹角)

境界線が曲がっている場所(凸角・凹角)では、どこまでを測定線にすべきか迷います。

そんなときは、次のイメージが役立ちます。

境界線に沿って

  • 半径5mまたは10mの円を転がす

すると、その円の軌跡(通った跡)がまさに測定線になります。

1. 測定線は「連続した閉じた領域」になる

ここまでの考え方を基本にすると、日影図の測定線は 常に連続して閉じた領域 を作るようになります。

2. ジグザグ境界の「測定線」:大きさの違う円弧が連続する

敷地境界線がジグザク状に折れ、入隅(いりすみ)と出隅(ですみ)が交互に出てくるケースがあります。

  • この場合、5m・10mの測定線が円弧を伴って連続します。

また、

  • その円弧は 大小さまざまになります

(境界の凸凹に応じて”円を転がした軌跡”が変化するためです)

JG_日影測定線 ジグザグ状の境界線と5m及び10mの測定線

3. 円弧がクロス(交差)する場合は「内側が消える」

凹地の形によっては、円弧同士が 交差(クロス)することがあります。

このときは

  • 交差した点の内側にある軌跡は消去されます。

凹地部分の測定線1:円弧どうしがクロスする場合(イ図)

円弧と直線がクロスする場合も同様に

  • 交差した点の内側にある軌跡は消去されます。

凹地部分の測定線2:円弧と直線がクロスする場合(ロ図)

4. 道路の“みなし境界線”では解釈差が出やすい

道路側については”みなし境界線”(道路などの場合は境界線を実際の境界より外側に設定できる)となりますが、道路形状が複雑になると

  • みなし境界線の位置(道路中心線との関係)
  • みなし境界線の形状(枝分かれや延伸の扱い)

が 法令解釈・運用により変化します。
以下は、その際に特に論点となる部分です。

道路幅員の取り方

5. 道路幅員の取り方:「反対側の境界線」に垂線を引くのが合理的

  • 敷地境界線や道路中心線に対して垂線を引くよりも
  • 道路の反対側の境界線に対して垂線を引いて測る

ほうが測定線を考える場合は合理的です。

理由
  • 後で述べるようにそもそも道路中心線というものの定義があいまい
  • 測定線や道路斜線などの規制線を考える場合は反対側境界線が基準線になる

ためですが、もうひとつ測定線固有の理由があります。

道路幅員が10m未満の「みなし境界線」(A図)

道路の反対側の境界線が敷地境界線と平行ではない場合(八の字状道路の場合)を考えます。

5-1. 道路幅員が10m未満のとき

  • 法的には「みなし境界線」は道路幅員の1/2となっていますので、両端の垂線の中点を結ぶことで「みなし境界線」がつくれます(A図)。このときに、垂線が敷地境界線に垂直であっても反対側境界線に垂直であっても大きな違いはありません。
    また、角度の二等分線として設定した道路中心線とイコールにしても大差はありません。
道路幅員が10m以上の場合の「みなし境界線」(B図)

5-2. 道路幅員が10m以上になるとき

次に、道路幅員が徐々に広がっていき幅員が10m以上になるとどうでしょうか。

  • そこから敷地側に5m寄ったラインが「みなし境界線」になります。

みなし境界線は、幅員が10m未満までは道路中心線に重なり、10m以上で敷地の反対側に枝分かれしていきます。

5-3. ポイント(B図の◎部分)

B図の◎の位置に着目すると

  • 反対側の境界線から垂直に線を引き敷地境界線に下ろした線分の中点
  • みなし境界線が枝分かれする点

完全に一致します。つまり

  • 道路反対側の境界線に垂線を取ると整合しやすい

ということになり、前述の「幅員は道路の反対側の境界線に対して垂線を引いて測る」ほうがよいという考えが裏付けられます。

補足

前述したように、厳密には道路中心線=みなし境界線ではありません。
そもそも、八の字状の道路など道路幅員が一定ではない道路の中心線の引き方については明確なルールはありません
ただ一般的には角度の二等分線を複数引いて、それらを連結することで不整形道路の中心線としていることが多いように思います。

6. クランク状道路(曲がり方が複雑な道路)では特定が難しい

次に「みなし境界線」が作りにくい道路として、クランク状のものを扱います。

反対側の境界線の一部に敷地境界線に直角に近いラインがある場合(G図)

6-1. “かぎ型”に近い境界:反対側から5mが基準になる場合

道路反対側の境界線が折れてその部分の幅員が10mを超えるような場合(G図)は、

  • みなし境界線はその幅員の中心ではなく
  • 10m超えのルールから、反対側の境界線から5mの位置

になります。

ただしこのとき、

  • 5m測定線そのものは出隅の処理(円弧処理)で消えてしまい(ロ図参照)
  • 見かけ上の測定線という扱いになります。

また10m測定線でも同様に、出隅処理の影響を受けます。

(出隅を円弧にしない場合もあるかと思いますが、「JG_日影測定線」では出隅部を常に円弧とすることで処理を統一しています。)

幅員の異なる道路が雁行する場合の「みなし境界線」と測定線 解法1(H図)

6-2. “完全なかぎ型”になる場合も考え方は同様

H図のように反対側の境界が完全に垂直(かぎ型)になるケース(雁行道路と呼ばれる)でも、基本的な考え方として

  • 反対側の境界線から5mの位置をみなし境界線とする

という整理になります。

幅員の異なる道路が雁行する場合の「みなし境界線」と測定線 解法2(I図)

6-3.別解(行政の手引書にある解法)もあるが、万能ではない

雁行道路のような形では、

  • 幅員が切り替わる場所が「みなし境界線」になる
  • 出隅部は円弧処理しない

という考え方で手引書などで解説されている場合があります。

ただしこの方法は、

  • 境界が傾いている(G図のように崩れている)ケースには
  • 十分な解決にならない

という課題があります。

敷地境界線の一部が道路の反対側のラインに対して直角に近い場合(J図)

6-4.雁行している側が敷地の場合:「みなし境界線」も雁行する

雁行している側が敷地になる(J図)場合でも、本ツールでは

  • 道路の反対側の境界線の垂線の「中点」をつないで、みなし境界線を設定します。

なお、完全なかぎ型(K図)の場合

  • みなし境界線は敷地形状と同じ雁行形状となり結果がI図と同様になる

という特徴あります(ただし測定線の形は一貫して円弧になります)。

敷地境界線の一部が道路の反対側のラインに対して垂直な場合(k図)

6-5.整理

ここまでの整理から、本ツールの解法にはある程度の一貫性があると思いますが、すべての特定行政庁で受け入れられるかは、

  • ケースによって変わる可能性があるので注意が必要です。

7. 道路の“みなし境界線”と隣地境界線の結合方法には2通りある

次に残る課題として、

  • 道路の「みなし境界線」と
  • 隣地境界線

の 結合方法に関するものがあります。

こちらも実務の状況により2通りの解法が存在しています。

  • 方法①:隣地境界線を道路側の範囲まで延長して閉じる
  • 方法②:道路に垂直な“みなし境界線”を介して閉じる

隣地境界線と「みなし境界線」の結合方法①(L図)

L図は、隣地境界線を道路側の範囲まで延長して閉じる方法です。

自治体が配布している手引書に多い方法です。

隣地境界線と「みなし境界線」の結合方法②(M図)

M図は、道路に垂直なみなし境界線を介して閉じる方法です。

逆日影ソフトなどで採用していることが多い方法です。

「JG_日影測定線」(Ver.1.1以降)はどちらの方法も選択できます。
道路際が隅切状の時に結合方法①を採用した場合(N図)

7-1. 隅切り状に道路と接する場合:結合方法①だと何が起きるか ⚠️

結合方法①(L図)=「隣地境界線を道路みなし境界線まで延長して閉じる」方法で、
道路際が隅切りのように道路と斜めに取り合う状況を扱うと、みなし境界線ばかりではなく、測定線も道路に大きく入り込んできて、N図のように

  • 著しく不利な状況が発生します

8. 発散方式の解法:公の説明はあるが、複雑な道路には課題が残る

発散方式の解法については、東京都安全条例の解説に説明があります。
ただし、実務の複雑なケースに踏み込む部分が限定的で、次のような課題が残ります。

  • 屈曲道路の場合(角地など)
  • 交差点(複数道路の合流・取付)

これらについては解説が薄く、結果として解法は定まっていません

道路内に測定線を生まない発散方式の特徴(P図)

8-1.発散方式の八の字状道路への準用

発散方式で測定線を描画するとP図のようになります。先のB図と違い

  • 道路内には測定線が一切発生しません

因み東京都安全条例の解説には、発散方式は道路内を一律緩和する目的で設定されていると取れる記載があります。

屈曲道路の場合の発散測定線(Q 図)

8-2. 屈曲道路の扱い:判断が分かれる

前面道路に直交道路がある場合(Q図)では二通りの方法が考えられます。

  • 方法①:発散方式で作成した測定線を相互に交わらせる方法
  • 方法②:閉鎖方式を採用して円弧にする方法

Q図をみると分かるように、発散方式で屈曲道路を解こうとすると、測定線もみなし境界線も歪みのある形状となります。
これをきらって閉鎖方式を採用すると、道路に測定線の一部がかかり、P図でみたような一貫性が崩れてしまいます。

(注意:閉鎖方式と発散方式の併用は認められない場合があります。)

敷地境界線に直交する道路がある場合の発散測定線(R図)

8-3. 前面道路に直交する道路:こちらも判断が分かれる

R図のように前面道路に直交する道路がある場合です。

まず、この直行道路に発散方式を採用すると、敷地と直行する測定線になってしまい論外です。

だからといって道路内を全て緩和することができるでしょうか?
道路斜線制限などでは街区を整えるため「みなし道路境界線」を敷地の反対側に設定しますが、この考え方を準用すると、R 図のように測定線を直交道路で分断させずに連続させるのが正解のように思います。

道路内でも規制がかかる場合がある発散方式(S図)

8-3. (特殊な例)鈍角取り合いを道路内でも延伸扱いする運用

敷地境界線が道路に鈍角で取り合う場合(S図)に、

  • 道路内であっても敷地側の測定線を隣地境界線に直角なラインまで延伸して
  • 閉鎖方式との違いを縮める
    方策をとる行政庁があります。

これは、道路内における発散方向の無制限緩和を抑制する考え方で、閉鎖方式・発散方式の 折衷 として理解できます。

🧩結び

以上より、JG_日影測定線の作図は、円弧処理や閉領域の形成という基本原理に加えて、道路際の取扱い(結合方法・隅切り・発散方式の適用)によって結果の見え方が変わることがあります。
特に道路形状が複雑な場合(雁行・屈曲・交差点・隅切り等)には、手引・解説の原則だけでは解釈のブレが生じやすく、想定と異なる形状になる可能性も否定できません。
そのため、提出前に「どの方式をどこまで適用するか」と「判断基準(どこまでを道路側として扱うか等)」を整理し、必要に応じて行政の運用や提出実績と照らして確認することが望ましいです。