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採光補正係数目盛の作成

JG_採光補正 実行画面

狭小地や隣棟間隔が狭い場合に問題になりやすいものの一つに採光の確保がありますが、採光斜線を断面図に記載することで、初期の計画段階で、採光が取れるかどうかを概略的に把握できるようになります。斜線と聞くと道路斜線や高度斜線のように敷地境界側から建物に引いた「規制ライン」を思い浮かべることが多いと思いますが、採光斜線は、逆に建物側から境界線側に引いて作成し、どちらかと言えば「有効ライン」を明示します。用途地域が分かれば勾配が決まってくるので、この点では道路斜線と似ています。

採光斜線と採光補正係数(目盛)

一方で、採光補正係数目盛というものをご存じでしょうか。2000年の建築基準法の法改正で採光補正係数が導入され、それ以前の採光斜線の開口部の高さを1として、それより高い位置にある場合は割増率を、低い位置にある場合は割引率を加えられるようになり、それまで0か1かであった有効性が0~3の間で細かく設定されるようになりました。採光補正係数目というのは、その有効度合いを補正目盛という指標で表したもので、言ってみれば、採光の確保できる可能性を見える化した定規のようなものです。

「JG_採光補正」は、断面図に採光補正係数目盛りを記載できるJw_cadの 外部変形です。通常は、窓の直上にある部分と窓の高さの中心から採光補正係数を算出し、参考値として補正係数目盛りを記載します。

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JG_採光補正 水平距離によって異なる採光補正係数目盛

補正係数目盛りは、建物から隣地境界線または敷地内の他の建物との水平距離と、用途地域によって定まりますので、採光斜線と同様に、開口部の大きさを検討する目安とすることができます。

JG_採光補正 用途地域によって異なる採光補正係数目盛

また、窓の直上の部分が複数ある場合は採光補正係数の小さい方(不利側)を採用する必要があります。次のように、採光が厳しくなると採光勾配(h/d)が立ってくるので、不利側を視覚的に判断しやすくなります。

JG_採光補正 採光勾配(h/d)の比較

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_採光補正」フォルダ内の採光補正.BATをクリックします。

【4】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎窓上部のポイントを指示」と表示されるので、窓の上部にあるパラペット天端や軒先などの建築物の部位をクリック(左クリック (L)で任意点、右クリック (R)で読取点)します。

【5】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎窓中心(高さ)を指示 」と表示されるので、窓の中心点をクリック(左クリック (L)で任意点、右クリック (R)で読取点)します。

 補足:高さのみを読み取るので、水平方向は任意の点で構いません。

JG_採光補正 設定入力フォーム

【6】設定入力フォームが立ち上がるので、水平距離(ミリ単位)と、用途地域(住居系地域、工業系地域、商業系地域から選択)、描画する側(指示点の右側か左側)を選択します。道路に面する場合は「道に面する場合」にチェックを入れます。次に、採光補正係数目盛り(0~3の間の10目盛り、又は1~3までの間の5目盛り)を表示しない場合は「目盛を表示しない」にチェックを入れます。次に、採光補正係数を算定しない場合(目盛りのみ表示したい場合)は、「係数を算定しない」にチェックを入れます。次に記載仕様として、使用する文字種(1から10まで)と線(色)番号(1から9及びSXF色の101~356まで)を入力する。次にレイヤグループとして、描画するグループ(0からFまで)と④描画するレイヤ(0からFまで)を入力します。

 補足:文字種及び線(色)番号は、上記の番号以外を入力すると現在設定で描画されます。レイヤグループは0~F以外の番号(又は記号)を入力すると現在のレイヤグループに描画されます。      
【6】「決定」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に採光勾配(d/h)、採光補正係数(算定式)、採光補正係数目盛り等が描出されます。

JG_採光補正 採光補正係数、採光勾配(h/d)、補正係数目盛の描画

平均地盤面算定図の作成

JG_地盤面算定 地盤面確認用アイソメ

地盤面算定は、建物が周囲の地盤と接する平均の高さを求めるものですが、日影計算用に使用するものと、建物の高さを求めるためのものでは算出方法が異なります。日影計算に用いる場合は「平均地盤面」と呼ばれ、高低差の大小に関わらず一つの建物につき一つの平均地盤面を求めます。一方で建物高さの基準に使用する場合は、単に「地盤面」と呼ばれ、高低差3mごとに複数の地盤面を求めます。そもそも高低差が3m未満の場合はあえて区別する必要もないため、一律に「平均地盤面」と呼ばれる場合もあります。

「JG_地盤面算定」は、この「平均地盤面」と「地盤面」をそれぞれ自動算出するJw_CADの外部変形です。

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JG_地盤面算定 実行画面 「地盤面」算定用平面図
JG_地盤面算定 実行画面 「地盤面」算定用展開図

JG_地盤面算定 実行画面 「地盤面」算定表

地盤面は、高低差が3mを超える場合は3m以内ごとに求める必要がありますが、分け方は大きく3種類あり、一つは最低点から上方へ3mごとに設定する方法(最も一般的)、もう一つは最高点から下方へ3mごとに設定する方法、さらに、任意の高さから始めて上方または下方へ3mごとに設定する方法です。建築基準法の条文では3m以内となっているのでジャスト3mに設定しなくてもよいのですが、防火避難規定の解説によると、3m以外が認められる場合は宅地造成を行った場合等の特殊事情に限られるとされているので、本ツールにおいても3mで規定しています。

JG_地盤面算定 最低点を起点にした領域分割(A図)

JG_地盤面算定 最高点を起点にした領域分割(B図)

A図は最低点を起点に算出した地盤面で、B図は最高点を起点にした地盤面です。この敷地に10mの高さ制限があった場合にどちらの建物ボリュームが大きくなるか比べてみると、この図の場合は最低点から算出した場合のほうが有利であることが推察できると思います(高さは地盤面から測定するため)。実際には、道路斜線や高度斜線の影響、地下階の有無など諸条件によって得失は変わってきますが、物理的には領域の大きい側の地盤面が高くなるように設定する方が得策です。地面の高低差が3mを超える場合は、両方で地盤面を作成して比較してみてください。ただし道路斜線がシビアな場合は、道路レベルに近い側の起点から算出するのが結果的によい場合があります(行政や審査機関が推奨している方法も道路を起点としています)。

JG_地盤面算定 複数棟の平均地盤面1(棟ごとの算定表を選択)

日影図算定用の平均地盤面は、敷地内に棟が複数ある場合(用途上不可分の場合)にあたっては、すべての棟の地盤面を平均する必要があります。その場合、敷地にマスターとなる設計GLを設定し、全ての棟はその設計GLからレベルを算出しておくことが前提となるので注意してください。本ツールでは、入力済みの算定表(この場合は地盤面として作成したもの)を選択することで、敷地全体の平均地盤面を算出します。

JG_地盤面算定 複数棟の平均地盤面2(敷地全体の平均地盤面)

JG_地盤面算定 チュートリアル ~操作の流れ~

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管する。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択する。

≪平均地盤面を単体で作成する場合(通常)≫

JG_地盤面算定 外部変形メニュの選択(地盤面算定)

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_地盤面算定」フォルダ内の地盤面算定.BATをクリックする。

【4】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎高さ入力ポイントを選択」と表示されるので、高さを入力する建物のポイントを時計回りで順にクリック(左クリック (L)で任意点、右クリック (R)で読取点)し、最後に「点指示終了」ボタンを押す。

【5】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎描画基準点(左上)を指示」と表示されるので、算定用展開図と算定表を出力する基準点をクリックする。

 補足:算定用展開図の左上(設計GL基準線の左端)を基準にレイアウトします。

【6】「地面と接する高さ入力」フォームが立ち上がるので、ポイントリストから番号を選択し、高さ①に地面と接する高さを記載し「入力」ボタンを押す。擁壁等で同位置に高さが2以上ある場合は、高さ①と高さ②にそれぞれ記載し「入力」ボタンを押す。前回値を再現する場合は、「前回値を再現」ボタンを押す。入力した地面の形状や平均地盤面をアイソメ図で確認する場合は、「アイソメで確認する」チェックボックスにチェックを入れる。終了した際は、「完了(次へ)」ボタンを押す。

 <高低差が3mを超える場合>

JG_地盤面算定 作業選択フォームと領域設定方法フォーム

【A】作業選択フォームが立ち上がるので、建物高さ算定の基準となる高低差3m以内ごとの地盤面算定を行う場合は、「地盤面(3m以内毎)算定」を選択する。日影規制用の建物高さ算定の基準となる平均地盤面算定を行う場合は、「日影用の平均地盤面算定」を選択する。選択後「OK」ボタンを押す。
       
【B】【A】で「地盤面(3m以内毎)算定」を選択した場合は、「領域設定方法」フォームち上がるので、高低差3mの分割を、最も低い位置から測定する場合は「最低点から」を選択し、最も高い位置から測定する場合は「最高点から」を選択し、任意の高さを設定する場合は、「任意の高さ」を選択しテキストボックスに高さをm単位で入力する。

「OK」ボタンを押すと、【7】記載設定フォームが立ち上がる。

【A】で「日影用の平均地盤面算定」を選択すると、「領域設定方法」フォームが表示されることなく【7】記載設定フォームが立ち上がる。

 

 注意①:「任意の高さ」を設定した場合は、高低差3m以内で自動的に分割されます。高低差を任意に設定することはできません。  

 注意②:高低差が9mを超える場合は算定できません。 

 

JG_地盤面算定 形状確認フォーム

 補足:【6】で「アイソメで確認する」チェックボックスにチェックを入れた場合は、「形状確認(アイソメ)」フォームが立ち上がります。入力した地面の形状や分割位置、地盤面のレベル(赤線表示)を確認することができます。形状は回転ボタンで上下左右に回転することができます。また、高低差が小さく見づらい場合は、縦倍率ボタンで高さ方向の倍率を増減できます。「地面と接する高さ入力」フォームに戻る際は、「高さ入力に戻る」ボタンを押します。戻った際は、「前回値を再現」ボタンを押すことで入力値を再現した上で変更が行えます。形状確認後、「確認(次へ)」ボタンを押します。

 <高低差が3m未満の場合>

【7】記載設定フォームが立ち上がる。(「作業選択フォーム」と「領域設定方法」フォームは表示されません。) 

 補足:【6】で「アイソメで確認する」チェックボックスにチェックを入れた場合は、記載設定フォームの前に「形状確認(アイソメ)」フォームが立ち上がります。入力した地面の形状や平均地盤面のレベルを確認することができます。

JG_地盤面算定 記載設定フォーム

 【7】記載設定フォームが立ち上がるので、展開図仕様から、距離(X方向)に対する高さ(Y方向)の倍率を1から10倍の範囲で入力する。次に、面積算定領域の塗りつぶし色の濃度(グレーのみ)を最も濃い色を1、薄い色を10とした10段階で入力する。次に記載仕様から、線(色)番号(1から9まで)と文字種(1から10まで)を入力する。次にレイヤグループから、描画グループ(0からFまで)と描画レイヤ(0からFまで)を入力する。次に、「日影用の平均地盤面算定」を選択した場合で棟番号を記載する時は、「棟番号を記載する」チェックボックスにチェックを入れ、テキストボックスに番号を記載する(地盤面算定の場合は非表示になります)。作成した算定表をExcelに出力する場合は「計算結果をEXCELに書き出す」チェックボックスにチェックを入れる。

 補足:線(色)番号及び文字種は1~9(10)以外の番号を入力すると現在設定で描画されます。レイヤグループは0~F以外の番号(又は記号)を入力すると現在のレイヤグループに描画されます。

【8】「OK」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に算定用平面図(ポイント間の距離とポイント番号及びその高さ、また地盤面算定の場合は分割線)と算定用展開図、算定表が描画される。

JG_地盤面算定 算定表の端数処理

 補足:最終的な平均地盤面の値はm単位で、小数点以下4桁を切り捨て、小数点以下3桁で算出します。地盤が低い側つまり安全側で算出するため、負の値の場合は0から遠ざかる値となります(絶対値の値が一つ繰り上がります)。     

 ≪敷地全体の平均地盤面を算定する場合≫

JG_地盤面算定 外部変形メニュの選択(棟の平均)

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_地盤面算定」フォルダ内の「棟の平均.BAT」をクリックする。

【4】Jw_cadのトップメニュー下に、「平均する地盤面算定表を全て選択」と表示されるので、地盤面算定表を全て選択し、「選択確定」ボタンを押す。次に、「◎算定表の配置基準点を指示」と表示されるので、算定表を配置する基準点(表の左上)となる任意の点をクリックする。Jw_cadの画面に集計表が描画される。

JG_地盤面算定 敷地全体の平均地盤面算定表

 重要:集計できる地盤面算定表は、本ソフトで作成した地盤面算定表のみです。また、算定表の文字や数値の位置を変更する等の編集を行うと、正しく算定できない場合があります。

 補足:最終的な平均地盤面の値はm単位で、小数点以下4桁を切り捨て、小数点以下3桁で算出します(地盤が低い側つまり安全側で算出します)。そのため、負の値の場合は、0から遠ざかる値となります(絶対値の値が一つ繰り上がります)。

敷地定規を作成する

今回は「JG_壁面後退線」を活用して敷地定規を作成してみたい思います。

敷地定規(JG_壁面後退線 実行画面)

計画の際に、敷地境界線からの離隔が補助線で表示されていると建物の規模や配置を検討しやすいと思いますが、この補助線を等間隔で敷地中央に向かって連続描画したものが敷地定規です。作図用のレイヤーと分け、補助線色と補助線種で作成しておくことで、一種の方眼紙のように活用できます。

「JG_壁面後退線」には、一定の間隔で後退線を作成する連続描画機能があります。敷地定規は、この連続描画機能を利用し、後退距離(間隔)に任意のモジュール(1m又は2mなど)を入力して作成します。

JG_壁面後退線 不整型地の敷地定規とその活用

特に敷地が不整形な場合には、斜線後退による影響や窓先空地、避難通路を把握しづらいため、計画の初期段階で敷地定規を表示しておくと計画がスムーズに行えます。

Jw_CADのコマンドに線のオフセット機能がありますが、囲まれた領域を一括で内側にオフセットしていくと、途中で線が捻じれて反転した領域が発生します(図1)。「JG_壁面後退線」のプログラムは、この反転した部分を自動的に削除するので、整然とした敷地定規を作成することができます(図2)。

Jw_CADのオフセットコマンドを使用した例(図1)

JG_壁面後退線のオフセットによる敷地定規(図2)

図3は、JG_壁面後退線のもう一つの機能である後退率を指定した後退範囲の描画を用いて、後退率20%の領域(赤線部分)を描画したものです。この後退率というのは後退部分の敷地面積に対する割合です。例えば緑地率20%に合わせて描画すると、緑地のボリュームを大まかにつかむことができます。このように、敷地定規に敷地の諸条件や規制ラインを重ねる使用することも有用です。

JG_壁面後退線 敷地定規に後退率20%を重ねたもの(図3)

後退位置を連続描画する壁面後退線

JG_壁面後退線 実行画面(連続描画機能)

「JG_壁面後退線」は、「JG_近隣範囲図」とは逆に敷地の内側の領域をセットバックして描画するJw_CADの外部変形です。このツールには、後退距離を指定して後退範囲を描画する機能の他に、一定の間隔で後退線を作成する連続描画機能があります。この機能を活用すると、壁面後退だけではなく斜線の影響や窓先空地などを、計画の初期段階から視野に入れやすくなります。

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また、後退距離を後退率(敷地面積に対するパーセンテージ)で設定することができます。

次の図は、後退率を40%にして後退した領域です。この図の場合、残った後退後の面積(赤線部分の内側)は60%で敷地の建蔽率に一致しています。このように後退後の割合を建蔽率に合わせると、建築可能な面積を目安として表示することができます。

JG_壁面後退線 30%後退線(図4)

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にあるJG_壁面後退線フォルダ内の壁面後退線.BATをクリックします。

【4】敷地境界線を示す図形を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

 注意:閉じた敷地境界線がある場合は右クリックで一括選択しても構いません。

【5】敷地境界線入力フォームに選択した敷地境界線が表示されるので、敷地境界点を時計回りで順にクリックし、全ての境界点のクリックが終了した際は「入力(次へ)」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。エクセルから取得する場合は、「Excelから取得」ボタンを押します。 
 補足:閉じた敷地境界線を入力した場合は、「閉じた領域が見つかりました(省略)」のメッセージが表示されるので、確認し「入力(次へ)」ボタンを押します。変更する際は、「取消」ボタンを押し、このフォームで境界点をクリックして入力し、「入力(次へ)」ボタンを押します。

【6】敷地形状確認フォームが表示されるので、「確認(次へ)」ボタンを押します。形状が異なる場合は「戻る」を押します。エクセルに書き出す際は「Excel書出し」ボタンを押します。

 注意:閉じた敷地境界線を入力した場合、【6】の行程は省略になります。

JG_壁面後退線 壁面後退線 描画設定フォーム

【7】後退方法を選択フォームが立ち上がるので、距離で後退する際は「距離で後退」ボタンを押します。割合(後退率)で後退する場合は「割合で後退」ボタンを押します。

 <「距離で後退」を選択した場合>

【8】描画設定フォームが立ち上がるので、後退距離をm単位で入力します。連続後退を行う場合は、「連続後退」チェックボックスにチェックを入れます。次にレイヤグループから、描画グループ(0からFまで)と描画レイヤ(0からFまで)を入力します。次に記載仕様から、線(色)番号(1から9及びSXF色の101~356まで)と線種番号(1から9まで)、文字種(1から10まで)を入力します。
次に、後退寸法を記載する場合は、「後退寸法を記載」チェックボックスにチェックを入れます。次に、後退線に名称を記載する場合は、「後退線に名称を記載」チェックボックスにチェックを入れます。

 注意:連続後退を行う場合、後退寸法は記載されません。(後退線の名称として記載されます。)

 補足:線(色)番号、線種番号及び文字種は、上記の番号以外を入力すると現在設定で描画されます。レイヤグループは0~F以外の番号(又は記号)を入力すると現在のレイヤグループに描画されます。

【9】「完了」ボタンを押すと、後退後の面積が表示されます。「OK」ボタンを押すとJw_cadの画面に壁面後退線が出力されます。

 注意:連続後退を行う場合、後退後の面積は表示されません。

 <「割合で後退」を選択した場合>

【8】描画設定フォームが立ち上がるので、後退率を%単位で入力します。次にレイヤグループから、描画グループ(0からFまで)と描画レイヤ(0からFまで)を入力します。次に記載仕様から、線(色)番号(1から9及びSXF色の101~356まで)と線種番号(1から9まで)、文字種(1から10まで)を入力します。
 次に、後退寸法を記載する場合は、「後退寸法を記載」チェックボックスにチェックを入れます。

 注意:後退率は0より大きい90以下の数字を入力して下さい。

 補足:線(色)番号、線種番号及び文字種は、上記の番号以外を入力すると現在設定で描画されます。レイヤグループは0~F以外の番号(又は記号)を入力すると現在のレイヤグループに描画されます。

JG_壁面後退線 割合で後退した場合の後退距離の表示

【9】「完了」ボタンを押すと、後退前の面積と、後退後の面積が目標値とが実行値で表示され、続いて、後退距離が表示されます。「OK」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に壁面後退線と後退距離が出力されます。

 注意:後退後の面積が目標値と実行値で異なるのは、目標値は後退前の面積から計算で求めたものであるのに対し、実行値は後退ピッチ10mmで計算した近似値であるためです。

この「JG_壁面後退線」の機能について深掘りしたい方は次のスレッドもご覧ください。

円の軌跡が描く近隣範囲図

JG_近隣範囲図 実行画面

近隣範囲図というのは、建物高さ(1Hまたは2Hなど)に応じて近隣説明の範囲を境界線として描画したものですが、この境界線は単なるオフセットラインではなく、基準線から一定の距離外側にある点の集合です。多くの場合丸みを帯びた領域となり、事前には想像しづらい形となって現れます。

「JG_近隣範囲図」は、近隣範囲となる境界線を描画するJw_CADの外部変形です。敷地境界線または建物外壁ラインなどの基準線から一定の距離外側にある境界線(線分または円弧)を自動的に描画します。バージョン2.0からは領域内を任意色で塗り潰すことが可能になりました。

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近隣範囲の境界線は建物やに沿って1H又は2Hの直径の円を転がした軌跡になります。

直径1Hの円の軌跡

近隣範囲の描画が日影測定線のそれと様相を異にするのは、円の直径が相対的に大きくなると、敷地境界線や建物外周部の凹部分を細かく辿ることができず、結果的に描画される近隣範囲図(線)が泡袋のように円弧が主体の形態になることです。そしてこれは、円の直径(1Hや2H)が大きくなればなるほど顕著になります。

JG_近隣範囲図 円の直径が大きくなると軌跡が正円に近づいていく

次の図のように、敷地の起伏が極端に大きい場合でもある程度距離が長くなると、ほとんどの角が取れて円に近づいていきます。

JG_近隣範囲図 距離が長くなる(円が大きくなる)と形状が引き継がれない

操作方法は、以下の通りです(操作方法はJG_日影測定線、JG_敷地延焼線どほぼ同じです)。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にあるJG_近隣範囲図フォルダ内の近隣範囲図.BATをクリックします。

【4】敷地境界線または建物外周を示す図形を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

【5】敷地境界線入力フォームに選択した図形が表示されるので、敷地境界線または建物外壁ラインを時計回りで順にクリックし、全ての境界点のクリックが終了した際は「入力(次へ)」ボタンを押します。(反時計回りで入力するとエラーとなるので、その際は、「取消」ボタンを押し再度入力します。)直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。  

【6】敷地形状確認のメッセージが現れるので、「確認」ボタンを押します。形状が異なる場合は「戻る」を押します。

JG_近隣範囲図 描画設定フォーム

【7】描画設定入力フォームが立ち上がるので、距離をm単位で入力します。この離隔距離を記載する場合はチェックボックスにチェックを入れます。また、レイヤグループ、レイヤ、線(色)番号、使用する文字種を入力します。領域を指定色で塗りつぶす場合はチェックボックスにチェックを入れます。

JG_近隣範囲図 色の設定(カラーダイアログ)

追記:「領域を指定色で塗りつぶす」にチェック入れた場合は、描画設定フォームが立ち上がるので、ピクチャーボックスの色を利用するか、「色を取得」ボタンを押し、カラーダイアログから任意に色を取得します。

【8】「設定完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に近隣範囲図(ライン)が出力されます。

JG_近隣範囲図 JW_CAD出力(領域の塗りつぶし)

本ツールの一部を抜き出したものですが、多角形の中抜きができる外部変形です。以下よりダウンロードしてご利用ください(本ツールのように円弧を含む領域には使用できません)。

延焼線の告示緩和を紐解く

今回は「JG_延焼線緩和」に関連して、2019年の延焼ラインの法改正を紐解いてみたいと思います。

この法改正で、建物が隣地境界線や隣棟間の中心線に正対していない場合には、その傾き度合いに応じて延焼範囲を計算によって設定できるようになりました。また、これまで無制限にかかっていた高さ方向の延焼範囲も、計算で求めた高さに抑えられるようになりました。つまり、火災の際の熱的な影響を勘案して延焼線の設定を合理的に算出できるようになったわけです。

実際にこの緩和計算を使ってシミュレーションしてみると、平面的な緩和効果はさほど大きくないものの、高さ方向の緩和については、建物が高層になればなるほど効果が大きくなることが分かります。告示の算定式をよくみると分かりますが、高さが低い側の建物高さに対して、概ね10m程度(*1)を上乗せした高さで延焼範囲がカットされます。低い側の建物が平屋建てであれば、4~5階以上で緩和の効果が得られます。

*1:固定値の5m(低い建物が5m以上の場合は10m)に離隔距離によって変動する5m前後を足した値。

緩和前と緩和後の延焼範囲のイメージ

今回の緩和は、大きく告示1号と告示2号に分かれます。
告示1号は、敷地内の建築物相互の外壁間に生じる延焼ラインの緩和、告示2号は、隣地境界線、道路中心線に生じる延焼ラインの緩和です。

JG_延焼線緩和 告示1号(建築物相互間の延焼線)緩和 実行画面

JG_延焼線緩和 告示2号(隣地境界線等に生じる延焼線)緩和 実行画面

水平方向の緩和の算定式は、

1  階(d):max{2.5,3*(1ー0.000068*Θ ²)}・・・式1

2階以上(d):max{ 4 ,3*(1ー0.000068*Θ ²)}・・・式2

で表わされ、告示1も告示2も同様です。max(値1,値2,・・・)の数式の意味は、( )内で最大となる値を採用するという意味です。このことは、1階は2.5m、2階以上は4mが基準値でその値を下回らないことを表しています。

告示1号で、二つの建物が共に準耐火構造以上であれば、両方の建物に緩和を適用できます。告示の解説書などを見るとどちらかの建物を緩和対象の建物にし、どちらかを「他の建築物」として説明していますが、同時に一つの算定図で表現することも可能です。ただし、形状が複雑になると算定図が増え煩雑になるので、確認申請の際は別々に算定したほうが無難です。

JG_延焼線緩和 建物形状が複雑な場合(片側のみ算定した場合)(A図)

A図は、片側の建物形状に凹凸がある場合です。若干の凹凸でも外壁間中心線の折れ点は倍近くになり中心線の線分の数も増えます。この程度の建物形状であっても算定図が見づらくなってしまうため、建物ごとに作成したほうが見やすい算定図になります。因みに本「JG_延焼線緩和」では、緩和算定は片側ずつ行えますが、延焼線は両方が描かれるため、A図は「他の建築物」の延焼線を消去して表示しています。また念のために言いますと、高さ方向の緩和算定は高い側の建物のみが適用になります。

JG_延焼線緩和 水平方向緩和計算 最小の角度を選択(B図)

「JG_延焼線緩和」の算定図について少し補足します。隣地境界線等(外壁間中心線を含む)と建物外壁ラインとの交点は複数発生する場合が多いと思いますが、式1の角度Θは、隣地境界線等と建物外壁ラインのなす角度のうち最小のものが適用されます。B図の場合は27.5°(27.5°<62.5°)が最小となり、この最小角度の近傍に計算式を2段(上が1階、下が2階以上)で記載しています。もうひとつの中心線の場合も同様に最小となる17.5°(17.5°<72.5°)の近傍に2段で算定式を記載しています。

また、高さ方向の緩和を行う場合、算定式は、

h(B)が5m未満(h):h(B)+ 5+5√{1-(S/dfloor)² }・・・式3

h(B)が5m以上(h):h(B)+10+5√{1-(S/dfloor)² }・・・式4

で表わされ、水平方向の算定式の下に表示されます。ただし記載されるのは高さ緩和を行う建物のみです。ここでh(B)は低い側の建物高さを指し、Sは各中心線から建物までの最小距離(B図の場合は(S3)(S2)の4.371)、dfloorは式2で求めた2階以上の延焼距離(B図の場合は(d3)の4.743、(d2)の4.896)を指します。

さて冒頭で、高さ方向の緩和に比べて水平方向の緩和が少ないと述べましたが、このことについて少し掘り下げたいと思います。

式1の算定式:max{2.5,3*(1ー0.000068*Θ ²)}は、下限値の”2.5” と ”3*(1ー0.000068*Θ ²)” の計算結果のどちらか大きい値を採用しますので、角度がいくつになると下限値の”2.5” が採用になるか調べるために、3*(1ー0.000068*Θ ²)=2.5の式をΘに対して解いてみます。結果は、Θ=49.5°です。しかし、角度が49.5°になることが果たしてあるでしょうか?

水平方向の算定式に使用する角度Θの推移(C図)

角度Θは前述した通り、隣地境界線等と建物の外壁のなす角度の最小のものです。しかし、平面形が長方形の建物を計画している限り最大の角度が45°を超えることはありません(C図)。45°を算定式に代入すると2.589です。言い換えると、建物が一般的な矩形の場合、緩和値は下限値の2.5までは下がらず2.6程度で頭打ちになります。ちょっと残念な結果ですね。

また高さ方向の緩和で気をつけることがあります。B図を見るとわかりますが、高さ方向の緩和計算式にh2とh3の2種類があり、値も10.441(m)と10.753(m)と2つの値があります。入力値が異なるので当然ですが、実は高さ方向の緩和値は中心線の線分(折れ線)の数だけ存在します。

冒頭で高さ方向の緩和による効果を表現した図を掲載しましたが、正確に表すと次のD図のようになります。

中心線によって異なる延焼範囲とその合成(D図)

延焼範囲の上端の位置に着目すると、範囲がずれていることが分かります。

実務に応用する場合、立面図に延焼範囲を投影して表現することになろうかと思いますが、A図のように中心線の線分数が多くなると作業がとても煩雑になります。その場合は、最大となる(h)の値で安全側で統一するというのも一つの方策かと思います。

隣棟間の中心線をマニアックに解析

今回は、「JG_延焼線緩和」に関連して、建物間中心線の描画をプログラムで解析することになった経緯と、この隣棟間の延焼線の基準となる外壁間中心線については掘り下げていくと実は奥が深く、パンドラの箱を開けかねない状況に陥ったというお話をしたいと思います。

JG_延焼線緩和 実行画面

さて、外壁間中心線の基本的な作図方法は、「防火避難安全規定の解説」に示されています。二棟の外壁面が正対している場合は、それぞれの外壁から等距離にある平行線を引き、正対していない場合は、向き合う外壁がつくる角度の二等分線をつくり、さらにそれらが交わるところで連結し、一連の折れ線にすると完成ということになっています。しかし実際にはそう簡単ではありません。基本的な手順を理解していても、建物の形状が複雑になり二等分線が錯綜しだすと、どの線をどの位置で連結すべきか途方に暮れることになります。あれこれ思考錯誤していくうちに何とか形にはなりますが、この中心線作成をプログラム化しようと思ったきっかけは、一見規則性がないように見えるものの結果的に作図できるからには、そこに何らかのメカニズムがあるのではないかと思ったからです。

JG_延焼線緩和 外壁間の中心線

まず考えた基本的な仕組みは単純で、建物どうしが向き合っている全ての面で二等分線(このツールでは補助線といっています)を作成し、建物間の中央に位置する補助線どうしを見つけて繋いでいくという方法です。これは「総当たり」といって、解析する対象が膨大な場合は賢い方法ではありませんが、延焼線の作成であればデータ量は限定的で計算に時間がかかることはありません。一方で、取りこぼしがなく、全ての補助線を作成するため作成後に検証しやすいというメリットがあります。

JG_延焼線緩和 中心線の候補が1つの場合(A図)

A図は、補助線のなかから特定した中心線を赤の太線で表現したものです。複数の補助線の中から建物間の中央付近を通る部分を見つけ交点で繋いでいるのが分かると思います。これまでいろいろとシミュレーションしてみた結果、最後まで途切れることなく連続する中心線を最低一本以上は見つけ出すことができます。ただ一本のみかというとそうではなく、建物どうしが離れている(延焼線の検討にはあまり影響がない)ところでは、中央の中心線とは連続しない別の中心線が現れる場合があります(B図)。

A図のように外壁面に凹凸がない場合は、互いに平行な補助線(図のピンク色の点線)が現れず中心線は一組のみですが、B図のように外壁面に凹凸があると、互いに平行な補助線が複数現れ、このことから中心線が二組生まれてきます。

JG_延焼線緩和 中心線の候補が2つの場合(B図)

B図をみると、建物が離れているところで発生した中心線が、2番目の折れ線で建物の中央から明らかに逸脱し、途中で途切れていることが分かります。このように、周縁部で発生した中心線が最後まで連続することはほぼありません。その点では、延焼線作成に有効な中心線は一本のみであると言えます。

JG_延焼線緩和 補助線が複雑な場合1(C図)

C図においてはさらに外壁の面が増え補助線の数も増えてきていますが、建物間の中央を通り両端にかけて連続する中心線が一意に定まっています。次のD図においても、補助線が網目のように出現しかなり複雑な状況を呈していますが、この場合でも中心線が一意に定まっています。この数多い補助線群の中から建物間の中央を通る補助線をどのように見つけ出してているかについては後述しますが、補助線の総数は、二棟間で向き合う外壁面の数の掛け算(例:向き合う外壁面が3面ずつの場合3×3=9本)になるので、外壁面が多くなるとそれに輪をかけて補助線が増えていきます。

JG_延焼線緩和 補助線が複雑な場合2(D図)

E図は、あえて壁面を複雑にして本プログラムを実行した例です。これをみると、いかに複雑な状況であっても中心線を見つけ出せそうです。しかしながら、F図においては、途中で切れています。理由は外壁面に凹部があるとルートが円環になりやすいうえに、同一点に戻ってきて無限ループのような状態になるからです。これは比較的整形な凹部がある場合に偶発的に発生します。


JG_延焼線緩和 中心線作成シミュレーション1(E図)

F図のような不具合は大方の場合、建物の入力順を逆にすることで解消します。ただし、このように建物の凹凸が多かったり形状が複雑になってくると、それだけでは解けない場合がでてきます。つまり、固定的なプログラムではなく、パラメーターを用いた動的なプログラムが必要になってくるということです。

JG_延焼線緩和 中心線作成シミュレーション2(F図)

「JG_延焼線緩和」では、形状が複雑な場合に使用するパラメーターを設けて、補助線が複雑に絡み合う状況に対応できるようにしています。この「形状が複雑な場合に使用するパラメーター」は以下の二つのパラメーターから選択できます(共に選択することも可能です)。

①中心線(補助線)の交点回りを詳細に解析する

②互いに連続しない中心線(の候補)を複数描画する

①と②のパラメーターはそれぞれ目的と効果が異なります。

パラメーター①は出力結果の確認または中心線及び延焼線の別案作成に用い、パラメーター②は中心線の特定が困難な場合にその代替案の作成に使用します。

<パラメーター①の概要>

補助線どうしの交点を繋げていく際に、全ての交点において、交差する補助線の全てを検証してどの補助線と連結するかを決めますが、交点から一定の範囲にある補助線については、一度取捨選択したものを無効にします。パラメーター①は、その際の閾地を決めるパラメーターで、ONにすると範囲が縮まります。

JG_延焼線緩和 パラメーター①がオフの例(G図)

JG_延焼線緩和 パラメーター①「中心線の交点回りを詳細に解析する」がオンの例(H図)

H図は、パラメーター①「中心線の交点回りを詳細に解析する」をオンで実行した例です。オフの状態のG図と比較すると青丸部分の中心線のルートが異なっていて、H図の中心線のほうがより建物間の中央に近いことが分かります。

ただし通常はオフにして使用します。このパラメーターの閾値が小さいとF図のように途中で途切れるリスクが増えるためです。

<パラメーター②の概要>

パラメーター②は、建物間の中央部を通る複数の補助線が近接する際に使用するパラメーターです。プログラム的に建物間の中央の位置をどのように規定しているかというと、二棟間の最短距離となる線分(最短線分)を求め、その中点付近としています。ほとんどの場合は「付近」というようにアバウトに設定しても問題は起きませんが、レアケースとして二本の補助線が極端に近接することがあります。その際は相対的に近い側の補助線を採用することになりますが、これに数学的な根拠はありません。極めて稀に、不適切は補助線のほうがその中点に近い場合があります。

JG_延焼線緩和 パラメーター②がオフの例(J図)

J図はパラメーター②をオフで実行した例です。一見大丈夫そうに見えますが、正しいのはその下の点線のラインです。青丸部分を拡大したK図をみると、点線のラインよりも太い実線ラインがほうが僅かに中点に近いため特定されたこと分かります。

JG_延焼線緩和 J図の青丸印部分を拡大したもの(K図)

L図は、パラメーター②「互いに連続しない中心線を複数描画する」をオンで実行した例です。最短線分の中点に近い中心線と、次に近い中心線が代替案として描画されています。

JG_延焼線緩和 パラメーター②「互いに連続しない中心線を複数描画する」がオンの例(L図)

さてこのように、感覚的には明らかに判断できる場合であっても、プログラムで解こうとすると容易ではないことが分かると思います。いずれ機会があればさらに掘り下げてみるつもりです。

告示緩和を用いた延焼線の作成

2019年の延焼ラインの法改正で、建物が隣地境界線や隣棟間の中心線に正対していない場合には、その傾き度合いに応じて延焼線が緩和されるようになりました。また、これまで無制限にかかっていた高さ方向の延焼も、計算で求めた高さまでが適用範囲となりました。

「JG_延焼線緩和」は、隣棟間の延焼線を自動作成する「JG_建物延焼線」に、法改正による告示緩和機能を追加したもので、緩和後の延焼線や確認申請に使用する算定式を自動的に作成します。バージョン2.0からは高さ方向の緩和計算も自動化されました。

ソフトウェアサイトVectorからダウンロードする場合はこちら

今回の緩和は、告示1号と告示2号に分かれます。
告示1号:敷地内の建築物相互の外壁間に生じる延焼ラインの緩和

告示2号:隣地境界線、道路中心線に生じる延焼ラインの緩和

本ツールではメニューの「建物間延焼」「隣地等延焼」のうち、「建物間延焼」が告示1号に、「隣地等延焼」が告示2号に対応しています。

JG_延焼線緩和 告示1号(建築物相互間の延焼線)緩和 実行画面

JG_延焼線緩和 告示2号(隣地境界線等に生じる延焼線)緩和 実行画面

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_延焼線緩和」フォルダ内の延焼線緩和.BAT をクリックします。

【4】Jw_cadの左上に表示されるメニューから、「建物間延焼」「隣地等延焼」のどちらかを選択します。
     

≪ A 建物間延焼 ≫

JG_延焼線緩和 Jw_cad操作画面

【5】2棟の建物の外壁ラインを全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

 補足:建物の全データを選択しても構いませんが、属性選択から壁芯のみの選択にすると、次のフォームでの入力が容易になります。

Jw_cad 属性選択コマンドによる壁芯のみの選択

【6】「2棟の建物を入力」フォームが立ち上がるので、建物1の外壁ラインの端部を時計回りで順にクリックし、全ての端部の入力が終了した際は「入力」ボタンを押します。直前のデータを再現したい場合は、「直前を再現」ボタンを押します。  

【7】同様に建物2を入力します。

JG_延焼線緩和 「2棟の建物を入力」フォーム Bldg2(建物2)を裏面を省略して入力している状態

 注意:図形は自動で閉じるので、最初の点を最後にクリックする必要はありません。ただし4点以上クリックしないとエラーとなります(三角形は入力できません)。明らかに正対しない面については省略して構いません。

JG_延焼線緩和 描画設定フォーム

【8】描画設定入力フォームが立ち上がるので、各注釈の記載設定として、「補助線を記載」、「中心線角度を記載」、「離隔距離を記載」、「緩和計算式を記載」にチェックを入れます。その他、出隅部の形状設定(出隅部を円弧にするか)、描画するレイヤグループの設定、線種及び文字種の記載仕様、告示緩和適用建物の選択(両方も可能)、「形状が複雑な場合に使用するパラメーター」の選択(通常はチェックを入れない)を行い、「完了」ボタンを押します。

 ~ワンポイント~
形状が複雑な場合は、中心線の位置を適切に描画できない場合があります。その場合、建物1と2の割り当てを入れ替えると改善する場合があります。同様に、「形状が複雑な場合に使用するパラメーター」の項目にチェックを入れると描画できる場合があります。
 補足:「補助線を記載」と「中心線角度を記載」及び「離隔距離を記載」にチェックを入れなかった場合でも、告示緩和適用建物の選択し「緩和計算式を記載」にチェックを行った場合には、緩和計算に必要な補助線と中心線角度が記載されます。

【9】告示緩和適用建物の選択で両方の建物を選択した場合、高さ方向の緩和フォームが立ち上がるので、高さ方向の緩和を行う建物を選択します。高さ緩和を行わない場合は「高さの緩和を行わない」にチェックを入れる。設定後OKボタンを押します。

JG_延焼線緩和 高さ方向の緩和設定フォーム

【8】で告示緩和適用建物の選択を行わなかった場合は、Jw_cadの画面に延焼線が出力されます。

【10】【9】で高さ方向の緩和を行う建物を選択した場合、又は【8】の告示緩和適用建物の選択で片方の建物を選択した場合は、他の建物高さ設定フォームが立ち上がるので、他の建物高さを入力します。高さ緩和を行わない場合は、「高さの緩和を行わない」にチェックを入れます。設定後OKボタンを押すと、Jw_cadの画面に延焼線が出力されます。

 参考:【8】で注釈の記載設定で「緩和計算式の記載」にチェックを入れた場合は、中心線と外壁面がなす角度のうち最小となる位置に計算式が記載されます。また、高さ方向の緩和計算に使用する最小距離(S)も自動的に描画されます。

 

≪ B 隣地等延焼 ≫

【5】1棟の建物の外壁ラインと隣地境界線等を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

【6】「1棟の建物と隣地境界線を入力」フォームが立ち上がるので、最初に、建物1の外壁ラインの端部を時計回りで順にクリックし、全ての端部の入力が終了した際は「入力」ボタンを押します。直前のデータを再現したい場合は、「直前を再現」ボタンを押します。

 注意:図形は自動で閉じるので、最初の点を最後にクリックする必要はありません。ただし4点以上クリックしないとエラーとなります(三角形は入力できません)。建物の裏側もできる限り入力して下さい。
【7】同様に、隣地境界線を時計回りでクリックし、全ての端部の入力が終了した際は「入力」ボタンを押します。

 注意:境界線の場合は、最初の点と最後の点を重ねることができます。また、二点以上で入力できます(一つの線分から入力できます)。

【8】描画設定入力フォームが立ち上がるので、各注釈の記載設定として、「離隔距離を記載」、「緩和計算式を記載」にチェックを入れます。その他、描画レイヤグループの設定、線種及び文字種の記載仕様、告示緩和適用(デフォルトではオンになっている)の選択を行います。

【9】「設定完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に延焼線が出力されます。

 参考:注釈の「緩和計算式の記載」にチェックを入れた場合は、中心線と外壁面がなす角度のうち最小となる位置に計算式が記載されます。

この「JG_延焼線緩和 」の機能について深掘りしたい方は次の中心線に関わるスレッドと告示内容に関わるスレッドもご覧ください。

敷地延焼線を深掘りする

今回は「JG_敷地延焼線」に関連して、敷地の延焼線(延焼の恐れのある部分)について深掘りしてみたいと思います。

主な内容は、敷地が異幅道路や行き止まり道路などの特殊な道路に接する場合に延焼ラインがどのような形態をとるのか。ということで、どちらかというとイレギュラーなケースを取り扱います。

さて下の図は、「JG_日影測定線」のスレッドで一度お話しした隣地境界線と道路中心線の結合方法についてです。延焼線の場合も測定線と同じように隣地境界線を道路中心線まで延長して結合する方法(イ図)と、道路に垂直な「みなし境界線」を介して結合する方法(ロ図)があり、どちらを選択するかによって出力結果が若干異なります。(「JG_敷地延焼線」では描画設定画面で設定します。)

①隣地境界線を延長して結合する(イ図)

②道路に直角なラインを介して結合する(ロ図)

JG_敷地延焼線 敷地境界線と道路中心線の結合方法①(イ図)

JG_敷地延焼線 敷地境界線と道路中心線の結合方法②(ロ図)

延焼線は、①(イ図)は直線での結合になりますが、②(ロ図)はみなし境界線と隣地境界線の交点(出隅)が中心の円弧でつながります。安全側は①です。

結合方法1 青印部分の拡大図(ハ図)

結合方法2 青印部分の拡大図(ニ図)

次の図は、敷地が異幅道路に接する場合の延焼線です。A図は敷地の反対側の道路境界線が「かぎ型」になっているのに対し、B図は敷地境界線が「かぎ型」になっています。道路中心線の位置が、A図では境界線がズレた位置にきますが、B図では設定したみなし境界線(みなし道路)の中心の位置にきます。その結果、延焼線の円弧の位置が異なっています。

なお「JG_敷地延焼線」での道路の入力方法もA図とB図では異なります。A図で注意するのは、反対側の境界線がズレている部分の直交線分の入力(反対側道路入力②)が必要になること。またB図では、みなし道路境界線を設定する必要があることです。この「みなし道路境界線」を含めて反対側の道路境界線を3カ所入力する必要があります。

JG_敷地延焼線 異幅道路の解法1(A図)

JG_敷地延焼線 異幅道路の解法2(B図)

みなし道路境界線の入力が必要なのは次のL型道路に接する場合も同じです(C図)。

(「JG_敷地延焼線」を利用する際は、あらかじめJw_CADで円弧を描き幅員と同じ距離の位置に下線を記載しておく必要があります。また入力画面では反対側の道路境界線を3カ所入力する必要があります。)

ここで注意することが一つあります。みなし境界線を想定する以上は、冒頭に述べた隣地境界線と道路中心線の結合についても、②「道路に直角なライン(=みなし境界線)を介して結合する」方法をとらないとNGになります(D図)。

JG_敷地延焼線 L型道路の解法(C図)

JG_敷地延焼線 L型道路の解法 結合方法①(隣地境界線を道路中心線まで延長)を選択した場合(D図)

もう一つ「みなし道路境界線」の入力が必要になるケースがあります。次の行き止まり道路が直交する場合です。この場合、E図のように円弧どうしが連結した特徴的な延焼線が現れます。反対側の道路入力は1カ所のみになります。ただしこの場合も結合方法は②を採用して下さい(以降同じです)。

JG_敷地延焼線 敷地に直交する行き止まり道路の解法(E図)

次のF図は行き止まり道路が敷地に入り込んだ場合です。多くの場合は2階以上の延焼ラインが半円を伴って現れます。またこの場合は反対側の道路境界線を「みなし道路境界線」を含めて3カ所入力する必要があります。みなし道路境界線以外は対岸の敷地境界線に一致するので注意してください。スレッド「JG_日影測定線」の操作方法で解説しています。

JG_敷地延焼線 敷地に入り込んだ行き止まり道路の解法(F図)

最後に敷地に平行な行き止まり道路に接する場合です(G図)。この場合、反対側の道路境界線の入力は1カ所のみです。延焼線の円弧の中心は、道路中心線の端部ではなく、隣地境界線と道路中心線を仲介する「みなし境界線」と隣地境界線の交点になります。

JG_敷地延焼線 敷地に平行な行き止まり道路の解法(G図)

敷地と道路形状から延焼ラインを作図

配置図を作成する際、敷地や道路関連の情報を入力していて、これらに付随する記載事項の多さにはいつも辟易します。境界線の名称、境界点及び境界点間の距離、道路中心線及びその名称、道路幅員、敷地面積、日影測定線及びその名称と境界線からの距離、延焼線及びその名称と境界線からの距離などです。手入力していくと小一時間かかってしまいます。しかしこれらは、敷地形状と反対側の道路境界線とその関係性から全て派生する注釈ばかりです。

「JG_敷地延焼線」は、敷地と道路形状から敷地の延焼ラインを作成するJw_CADの外部変形です。敷地境界線と道路の反対側の境界線を入力することで延焼の恐れのある部分と、関連する注釈を自動的に描画します。

ソフトウェアサイトVectorからダウンロードする場合はこちら

JG_敷地延焼線 実行画面

2019年の法改正で延焼範囲を緩和できるようになりましたが、本ツールは、従来どおり敷地と道路条件のみから延焼ラインを作成します。告示緩和を利用する際は「JG_延焼線緩和」をご使用ください。念のために言いますと、延焼範囲の緩和は建物の配置が決定した後でなければ確定しません。計画前の与条件としては初期設定できないので、いったんは従来の延焼線を入れて配置検討を行うことになります。

操作方法は、以下の通りです(操作方法は「JG_日影測定線」とほぼ同じです)。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にあるJG_延焼線緩和フォルダ内の延焼線緩和.BATをクリックします。

【4】Jw_cadの左上に表示されるメニューから、「敷地延焼線」「注釈記載」のどちらかを選択します。

JG_敷地延焼線 Jw_CAD初期画面(図面を全て選択)

JG_敷地延焼線 チュートリアル ~操作の流れ~


    
 ≪ A 敷地延焼線 ≫

【5】敷地境界線と道路を示す図形を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

【6】敷地境界線入力フォームに選択した敷地地境界線と道路が表示されるので、敷地境界点を時計回りで順にクリックし、全ての境界点のクリックが終了した際は「入力(次へ)」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。

 補足:閉じた敷地境界線を入力した場合は、「閉じた領域が見つかりました(省略)」のメッセージが表示されるので、確認し「入力(次へ)」ボタンを押します(境界点の入力は省略できます)。変更する際は、「取消」ボタンを押し、このフォームで境界点をクリックして入力し、「入力(次へ)」ボタンを押します。

JG_敷地延焼線 敷地境界点の入力(閉じた敷地境界線を入力した場合は省略できます)

 

【7】「境界種別を選択します(以下省略)」というメッセージが現れ、境界種別入力フォームが立ち上がります。右上の境界線リストから境界線番号を選択(複数選択可)し、リスト下の境界種別「道路境界線」、「隅切」、「隣地境界線」の3つから1つを選択し「決定」ボタンを押します。未入力の場合は隣地境界線となるので、隣地境界線の入力は省略できます。変更する場合は、リストを選択し、変更する境界種別を選び、「決定」ボタンを押します。道路と隅切を全て入力した際は「次へ」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。 

JG_敷地延焼線 境界種別の入力

【8】「リストから道路境界線を選択し(以下省略)」というメッセージが現れ、反対側の道路境界線入力フォームが立ち上がります。右上の境界線リストから該当する道路境界線番号を選択し、反対側の敷地境界線を時計回りで2点クリックし「入力」ボタンを押します。入力するとライン上に境界線番号が表示されます。異なった番号が入った場合は「削除」ボタンを押し再度入力します。また、【7】で隣地境界線を選択した場合でもこのフォームで道路境界線に変更できます。全ての道路境界線の入力が終了した際は「入力完了」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は「直前を再現」ボタンを押します。 

JG_敷地延焼線 反対側の道路境界線の入力

 捕捉:行き止まり道路が敷地に対し直角になる場合は、道路幅員と同じ距離の位置を道路境界線とみなして入力して下さい(事前にJw_cadでラインを作成する必要があります)。また、その道路が敷地に入り込む際に敷地の一辺が反対側の道路境界線となることがありますが、その場合でも入力が必要です。 

【9】描画設定入力フォームが立ち上がります。道路情報の記載設定から、「道路中心線を記載」、「道路幅員を記載」、「遠隔距離を記載」、を行うか選択します。次に、レイヤグループ、レイヤ、線(色)番号、使用する文字種を入力します。次に、隣地境界線と道路中心線の結合方法を「隣地境界線を延長して結合する」か、「道路に直角なラインを介して結合する」か選択します。 

JG_敷地延焼線 延焼線描画設定

【10】「設定完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に延焼線その他が出力されます。

JG_敷地延焼線 Jw_CADへの出力結果

 ≪ B 各種注釈 ≫

【5】~【8】 ≪ A ≫ の行程に同じ。

【9】描画設定入力フォームが立ち上がります。道路情報の記載設定から、「境界線延長を記載」、「道路中心線を記載」、「道路幅員を記載」、「敷地面積を記載」、「敷地境界点を記載」を行うか選択します。また、レイヤグループ、レイヤ、線(色)番号、使用する文字種を入力します。

【10】「設定完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に各種注釈が出力されます。

 補足: ≪ A ≫ と ≪ B ≫ の行程は共に同じ敷地情報を使用します。どちらかで入力したデータは本ソフト内に記録されるので、「直前を再現」ボタンを使用することで、二度入力する手間を省くことが出来ます。また、【8】の入力の最後に「Excel書出し」ボタンを使用すると、任意のエクセルシートにデータを保存することができ、他の外部変形ソフト(「JG_測定線作成」「JG_近隣範囲図」「JG_壁面線後退」「JG_斜線等高線(開発中)」)に使用できます。これらのソフトは敷地や道路の位置データを相互に利活用することができ、それぞれのツールに付随しているEXCEL書き出し機能を使用することで、一度入力したデータを再利用できます。

これらのツールをメニュー化してひとつのパッケージにし「Jw作図」という外部変形ソフトにまとめました。敷地・道路データをソフト内に記憶させることができるので、Excelに書き出す手間が省け操作性が向上します。ご希望の方は問い合せ先までご連絡ください。

この「JG_敷地延焼線」の機能について深掘りしたい方は次のスレッドもご覧ください。