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敷地定規を作成する

敷地定規(JG_壁面後退線 実行画面)

計画の際に、敷地境界線からの離隔が補助線で表示されていると建物の規模や配置を検討しやすいと思いますが、この補助線を等間隔で敷地中央に向かって連続描画したものが敷地定規です。作図用のレイヤーと分け、補助線色と補助線種で作成しておくことで、一種の方眼紙のように活用できます。

さて今回は、この敷地定規を簡単に作成できるJw_CAD外部変形「JG_壁面後退線」を紹介します。

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JG_壁面後退線 不整型地の敷地定規とその活用

「JG_壁面後退線」は、「JG_近隣範囲図」とは逆に敷地の内側の領域をセットバックして描画する外部変形(ソフト)です。このツールには、後退距離や後退率を指定して後退範囲を描画する機能の他に、一定の間隔で連続して後退線を作成する連続描画機能があります。敷地定規は、この連続描画機能を利用し、後退距離(間隔)に任意のモジュール(1m又は2mなど)を入力して作成します。

Jw_CADのオフセットコマンドを使用した例(図1)

Jw_CADのコマンドに線のオフセット機能がありますが、囲まれた領域を一括で内側にオフセットしていくと、途中で線が捻じれて反転した領域が発生します(図1)。「JG_壁面後退線」のプログラムは、この反転した部分を自動的に削除するので、整然とした敷地定規を作成することができます(図2)。

JG_壁面後退線のオフセットによる敷地定規(図2)

JG_壁面後退線 敷地定規に後退率20%を重ねたもの(図3)

図3は、JG_壁面後退線のもう一つの機能である後退率を指定した後退範囲の描画を用いて、後退率20%の領域(赤線部分)を描画したものです。この後退率というのは後退部分の敷地面積に対する割合です。例えば緑地率20%に合わせて描画すると、緑地のボリュームを大まかにつかむことができます。

図4は、後退率40%にした領域です。この図の場合、残った後退後の面積(赤線部分の内側)は60%で敷地の建蔽率に一致しています。このように、後退後の割合を建蔽率に合わせると、建築可能な面積を目安として表示することができます。

JG_壁面後退線 敷地定規と30%後退線(図4)

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にあるJG_壁面後退線フォルダ内の壁面後退線.BATをクリックします。

【4】敷地境界線を示す図形を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

 注意:閉じた敷地境界線がある場合は右クリックで一括選択しても構いません。

【5】敷地境界線入力フォームに選択した敷地境界線が表示されるので、敷地境界点を時計回りで順にクリックし、全ての境界点のクリックが終了した際は「入力(次へ)」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。エクセルから取得する場合は、「Excelから取得」ボタンを押します。 
 補足:閉じた敷地境界線を入力した場合は、「閉じた領域が見つかりました(省略)」のメッセージが表示されるので、確認し「入力(次へ)」ボタンを押します。変更する際は、「取消」ボタンを押し、このフォームで境界点をクリックして入力し、「入力(次へ)」ボタンを押します。

【6】敷地形状確認フォームが表示されるので、「確認(次へ)」ボタンを押します。形状が異なる場合は「戻る」を押します。エクセルに書き出す際は「Excel書出し」ボタンを押します。

   注意:閉じた敷地境界線を入力した場合、【6】の行程は省略になります。

JG_壁面後退線 壁面後退線 描画設定フォーム

【7】後退方法を選択フォームが立ち上がるので、距離で後退する際は「距離で後退」ボタンを押します。割合(後退率)で後退する場合は「割合で後退」ボタンを押します。

 <「距離で後退」を選択した場合>

【8】描画設定フォームが立ち上がるので、後退距離をm単位で入力します。連続後退を行う場合は、「連続後退」チェックボックスにチェックを入れます。次にレイヤグループから、描画グループ(0からFまで)と描画レイヤ(0からFまで)を入力します。次に記載仕様から、線(色)番号(1から9及びSXF色の101~356まで)と線種番号(1から9まで)、文字種(1から10まで)を入力します。
次に、後退寸法を記載する場合は、「後退寸法を記載」チェックボックスにチェックを入れます。次に、後退線に名称を記載する場合は、「後退線に名称を記載」チェックボックスにチェックを入れます。

 注意:連続後退を行う場合、後退寸法は記載されません。(後退線の名称として記載されます。)

 補足:線(色)番号、線種番号及び文字種は、上記の番号以外を入力すると現在設定で描画されます。レイヤグループは0~F以外の番号(又は記号)を入力すると現在のレイヤグループに描画されます。

【9】「完了」ボタンを押すと、後退後の面積が表示されます。「OK」ボタンを押すとJw_cadの画面に壁面後退線が出力されます。

   注意:連続後退を行う場合、後退後の面積は表示されません。

 <「割合で後退」を選択した場合>

【8】描画設定フォームが立ち上がるので、後退率を%単位で入力します。次にレイヤグループから、描画グループ(0からFまで)と描画レイヤ(0からFまで)を入力します。次に記載仕様から、線(色)番号(1から9及びSXF色の101~356まで)と線種番号(1から9まで)、文字種(1から10まで)を入力します。
 次に、後退寸法を記載する場合は、「後退寸法を記載」チェックボックスにチェックを入れます。

 注意:後退率は0より大きい90以下の数字を入力して下さい。

 補足:線(色)番号、線種番号及び文字種は、上記の番号以外を入力すると現在設定で描画されます。レイヤグループは0~F以外の番号(又は記号)を入力すると現在のレイヤグループに描画されます。

JG_壁面後退線 割合で後退した場合の後退距離の表示

【9】「完了」ボタンを押すと、後退前の面積と、後退後の面積が目標値とが実行値で表示され、続いて、後退距離が表示されます。「OK」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に壁面後退線と後退距離が出力されます。

 注意:後退後の面積が目標値と実行値で異なるのは、目標値は後退前の面積から計算で求めたものであるのに対し、実行値は後退ピッチ10mmで計算した近似値であるためです。

円の軌跡が描く近隣範囲図

JG_近隣範囲図 実行画面

近隣範囲図というのは、1Hや2Hといった建物高さに応じて近隣範囲の境界線を描画したものですが、この境界線は単なるオフセットラインではなく、基準線から一定の距離にある点の集合です。わたしが最初に近隣範囲図を作成した時は、あまりにも奇妙なかたちなので出来上がるまで半身半疑だったことを覚えています。プログラムで作成するとどういう形状変化が起こっていくのか、興味本位で作成したものが「JG_近隣範囲図」です。

建物の高さは計画途上で何度でも変わるので、意外と活用頻度が高い外部変形です。敷地境界線または建物外壁ラインなどの基準線から任意の距離外側にある境界線(線分または円弧)を自動的に作図します。バージョン2.0からは領域内を任意色で塗り潰すことが可能になりました。

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繰り返しになりますが、この境界線は単なるオフセットラインではなく、境界線に沿って1H又は2Hの直径の円を転がした軌跡になります。

直径1Hの円の軌跡

近隣範囲の描画が日影測定線のそれと様相を異にするのは、円の直径が相対的に大きくなると、敷地境界線や建物外周部の凹部分を細かく辿ることができず、結果的に描画される近隣範囲図(線)が泡袋のように円弧が主体の形態になることです。そしてこれは、円の直径(1Hや2H)が大きくなればなるほど顕著になります。

JG_近隣範囲図 円の直径が大きくなると軌跡が正円に近づいていく

次の図のように、敷地の起伏が極端に大きかったとしても、ある程度距離が長くなる(円が大きくなる)と角が取れて丸みを帯びてきます。ほとんど原型を留めていません。

JG_近隣範囲図 距離が長くなる(円が大きくなる)と形状が引き継がれない

操作方法は、以下の通りです(操作方法はJG_日影測定線、JG_敷地延焼線どほぼ同じです)。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にあるJG_近隣範囲図フォルダ内の近隣範囲図.BATをクリックします。

【4】敷地境界線または建物外周を示す図形を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

【5】敷地境界線入力フォームに選択した図形が表示されるので、敷地境界線または建物外壁ラインを時計回りで順にクリックし、全ての境界点のクリックが終了した際は「入力(次へ)」ボタンを押します。(反時計回りで入力するとエラーとなるので、その際は、「取消」ボタンを押し再度入力します。)直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。  

【6】敷地形状確認のメッセージが現れるので、「確認」ボタンを押します。形状が異なる場合は「戻る」を押します。

JG_近隣範囲図 描画設定フォーム

【7】描画設定入力フォームが立ち上がるので、距離をm単位で入力します。この離隔距離を記載する場合はチェックボックスにチェックを入れます。また、レイヤグループ、レイヤ、線(色)番号、使用する文字種を入力します。領域を指定色で塗りつぶす場合はチェックボックスにチェックを入れます。

JG_近隣範囲図 色の設定(カラーダイアログ)

追記:「領域を指定色で塗りつぶす」にチェック入れた場合は、描画設定フォームが立ち上がるので、ピクチャーボックスの色を利用するか、「色を取得」ボタンを押し、カラーダイアログから任意に色を取得します。

【8】「設定完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に近隣範囲図(ライン)が出力されます。

JG_近隣範囲図 JW_CAD出力(領域の塗りつぶし)

本ツールの一部を抜き出したものですが、多角形の中抜きができる外部変形を用意しました。以下よりダウンロードしてご活用ください(本ツールのように円弧を含む領域には使用できません)。

延焼線の告示緩和を紐解く

2019年の延焼ラインの法改正で、建物が隣地境界線や隣棟間の中心線に正対していない場合には、その傾き度合いに応じて延焼範囲を計算によって設定できるようになりました。また、これまで無制限にかかっていた高さ方向の延焼範囲も、計算で求めた高さに抑えられるようになりました。つまり、火災の際の熱的な影響を勘案して延焼線の設定を合理的に算出できるようになったわけです。

実際にこの緩和計算を使ってシミュレーションしてみると、平面的な緩和効果はさほど大きくないものの、高さ方向の緩和については、建物が高層になればなるほど効果が大きくなることが分かります。告示の算定式をよくみると分かりますが、高さが低い側の建物高さに対して、概ね10m程度(*1)を上乗せした高さで延焼範囲がカットされます。低い側の建物が平屋建てであれば、4~5階以上で緩和の効果が得られます。

*1:固定値の5m(低い建物が5m以上の場合は10m)に離隔距離によって変動する5m前後を足した値。

緩和前と緩和後の延焼範囲のイメージ

「JG_延焼線緩和」は、隣棟間の延焼線を自動作成するJG_建物延焼線に、法改正による告示緩和機能を追加したもので、緩和後の延焼線や確認申請に使用する算定式を自動的に作成します。バージョン2.0からは高さ方向の緩和計算も自動化されました。

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今回の緩和は、大きく告示1号と告示2号に分かれます。
告示1号は、敷地内の建築物相互の外壁間に生じる延焼ラインの緩和。告示2号は、隣地境界線、道路中心線に生じる延焼ラインの緩和です。

JG_延焼線緩和 告示1号(建築物相互間の延焼線)緩和 実行画面

JG_延焼線緩和 告示2号(隣地境界線等に生じる延焼線)緩和 実行画面

水平方向の緩和の算定式は、

1  階(d):max{2.5,3*(1ー0.000068*Θ ²)}・・・式1

2階以上(d):max{ 4 ,3*(1ー0.000068*Θ ²)}・・・式2

で表わされ、告示1も告示2も同様です。max(値1,値2,・・・)の数式の意味は、( )内で最大となる値を採用するという意味です。つまり、1階は2.5m、2階以上は4mが基準値でその値を下回ることはありません。

告示1号で、二つの建物が共に準耐火構造以上であれば、両方の建物に緩和を適用できます。告示の解説書などを見るとどちらかの建物を緩和対象の建物にし、どちらかを「他の建築物」として説明していますが、同時に一つの算定図で表現することも可能です。ただし、形状が複雑になると算定図が増え煩雑になるので、確認申請の際は別々に算定したほうが無難です。

JG_延焼線緩和 建物形状が複雑な場合(片側のみ算定した場合)(A図)

A図は、片側の建物形状に凹凸がある場合です。若干の凹凸でも外壁間中心線の折れ点は倍近くになり中心線の線分の数も増えます。この程度の建物形状であっても算定図が見づらくなってしまうため、建物ごとに作成したほうが見やすい算定図になります。因みに本ツールでは、緩和算定は片側ずつ行えますが、延焼線は両方が描かれるため、A図は「他の建築物」の延焼線を消去して表示しています。また念のために言いますと、高さ方向の緩和算定は高い側の建物のみが適用になります。

JG_延焼線緩和 水平方向緩和計算 最小の角度を選択(B図)

本ツールの算定図について少し説明します。隣地境界線等(外壁間中心線を含む)と建物外壁ラインとの交点は複数発生する場合が多いと思いますが、式1の角度Θは、隣地境界線等と建物外壁ラインのなす角度のうち最小のものが適用されます。B図の場合は27.5°(27.5°<62.5°)が最小となり、この最小角度の近傍に計算式を2段(上が1階、下が2階以上)で記載しています。もうひとつの中心線の場合も同様に最小となる17.5°(17.5°<72.5°)の近傍に2段で算定式を記載しています。

また、高さ方向の緩和を行う場合、算定式は、

h(B)が5m未満(h):h(B)+ 5+5√{1-(S/dfloor)² }・・・式3

h(B)が5m以上(h):h(B)+10+5√{1-(S/dfloor)² }・・・式4

で表わされ、水平方向の算定式の下に表示されます。ただし記載されるのは高さ緩和を行う建物のみです。ここでh(B)は低い側の建物高さを指し、Sは各中心線から建物までの最小距離(B図の場合は(S3)(S2)の4.371)、dfloorは式2で求めた2階以上の延焼距離(B図の場合は(d3)の4.743、(d2)の4.896)を指します。

さて冒頭で、高さ方向の緩和に比べて水平方向の緩和が少ないと述べましたが、このことについて少し掘り下げたいと思います。式1の算定式:max{2.5,3*(1ー0.000068*Θ ²)}は、下限値の”2.5” と ”3*(1ー0.000068*Θ ²)” の計算結果のどちらか大きい値を採用しますので、角度がいくつになると下限値の”2.5” が採用になるか調べるために、3*(1ー0.000068*Θ ²)=2.5の式をΘに対して解いてみます。結果は、Θ=49.5°です。しかし、角度が49.5°になることが果たしてあるでしょうか?

水平方向の算定式に使用する角度Θの推移(C図)

角度Θは前述した通り、隣地境界線等と建物の外壁のなす角度の最小のものです。しかし、平面形が長方形の建物を計画している限り最大の角度が45°を超えることはありません(C図)。45°を算定式に代入すると2.589です。言い換えると、建物が一般的な矩形の場合、緩和値は下限値の2.5までは下がらず2.6程度で頭打ちになります。ちょっと残念な結果ですね。

また高さ方向の緩和で気をつけることがあります。B図を見るとわかりますが、高さ方向の緩和計算式にh2とh3の2種類があり、値も10.441(m)と10.753(m)と2つの値があります。入力値が異なるので当然ですが、実は高さ方向の緩和値は中心線の線分(折れ線)の数だけ存在します。

冒頭で高さ方向の緩和による効果を表現した図を掲載しましたが、正確に表すと次のD図のようになります。

中心線によって異なる延焼範囲とその合成(D図)

延焼範囲の上端の位置に着目すると、範囲がずれていることが分かります。

実務に応用する場合、立面図に延焼範囲を投影して表現することになろうかと思いますが、A図のように中心線の線分数が多くなると作業がとても煩雑になります。その場合は、最大となる(h)の値で安全側で統一するというのも一つの方策かと思います。

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_延焼線緩和」フォルダ内の延焼線緩和.BAT をクリックします。

【4】Jw_cadの左上に表示されるメニューから、「建物間延焼」「隣地等延焼」のどちらかを選択します。
     

≪ A 建物間延焼 ≫

JG_延焼線緩和 Jw_cad操作画面

【5】2棟の建物の外壁ラインを全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

 補足:建物の全データを選択しても構いませんが、属性選択から壁芯のみの選択にすると、次のフォームでの入力が容易になります。

Jw_cad 属性選択コマンドによる壁芯のみの選択

【6】「2棟の建物を入力」フォームが立ち上がるので、建物1の外壁ラインの端部を時計回りで順にクリックし、全ての端部の入力が終了した際は「入力」ボタンを押します。直前のデータを再現したい場合は、「直前を再現」ボタンを押します。  

【7】同様に建物2を入力する。

JG_延焼線緩和 「2棟の建物を入力」フォーム Bldg2(建物2)を裏面を省略して入力している状態

 注意:図形は自動で閉じるので、最初の点を最後にクリックする必要はありません。ただし4点以上クリックしないとエラーとなります(三角形は入力できません)。明らかに正対しない面については省略して構いません。

JG_延焼線緩和 描画設定フォーム

【8】描画設定入力フォームが立ち上がるので、各注釈の記載設定として、「補助線を記載」、「中心線角度を記載」、「離隔距離を記載」、「緩和計算式を記載」にチェックを入れます。その他、出隅部の形状設定(出隅部を円弧にするか)、描画するレイヤグループの設定、線種及び文字種の記載仕様、告示緩和適用建物の選択(両方も可能)、「形状が複雑な場合に使用するパラメーター」の選択(通常はチェックを入れない)を行い、「完了」ボタンを押します。

 ~ワンポイント~
形状が複雑な場合は、中心線の位置を適切に描画できない場合があります。その場合、建物1と2の割り当てを入れ替えると改善する場合があります。同様に、「形状が複雑な場合に使用するパラメーター」の項目にチェックを入れると描画できる場合があります。
 補足:「補助線を記載」と「中心線角度を記載」及び「離隔距離を記載」にチェックを入れなかった場合でも、告示緩和適用建物の選択し「緩和計算式を記載」にチェックを行った場合には、緩和計算に必要な補助線と中心線角度が記載されます。

【9】告示緩和適用建物の選択で両方の建物を選択した場合、高さ方向の緩和フォームが立ち上がるので、高さ方向の緩和を行う建物を選択します。高さ緩和を行わない場合は「高さの緩和を行わない」にチェックを入れる。設定後OKボタンを押します。

JG_延焼線緩和 高さ方向の緩和設定フォーム

【8】で告示緩和適用建物の選択を行わなかった場合は、Jw_cadの画面に延焼線が出力されます。

【10】【9】で高さ方向の緩和を行う建物を選択した場合、又は【8】の告示緩和適用建物の選択で片方の建物を選択した場合は、他の建物高さ設定フォームが立ち上がるので、他の建物高さを入力します。高さ緩和を行わない場合は、「高さの緩和を行わない」にチェックを入れます。設定後OKボタンを押すと、Jw_cadの画面に延焼線が出力されます。

 参考:【8】で注釈の記載設定で「緩和計算式の記載」にチェックを入れた場合は、中心線と外壁面がなす角度のうち最小となる位置に計算式が記載されます。また、高さ方向の緩和計算に使用する最小距離(S)も自動的に描画されます。

 

≪ B 隣地等延焼 ≫

【5】1棟の建物の外壁ラインと隣地境界線等を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

【6】「1棟の建物と隣地境界線を入力」フォームが立ち上がるので、最初に、建物1の外壁ラインの端部を時計回りで順にクリックし、全ての端部の入力が終了した際は「入力」ボタンを押します。直前のデータを再現したい場合は、「直前を再現」ボタンを押します。

 注意:図形は自動で閉じるので、最初の点を最後にクリックする必要はありません。ただし4点以上クリックしないとエラーとなります(三角形は入力できません)。建物の裏側もできる限り入力して下さい。
【7】同様に、隣地境界線を時計回りでクリックし、全ての端部の入力が終了した際は「入力」ボタンを押します。

 注意:境界線の場合は、最初の点と最後の点を重ねることができます。また、二点以上で入力できます(一つの線分から入力できます)。

【8】描画設定入力フォームが立ち上がるので、各注釈の記載設定として、「離隔距離を記載」、「緩和計算式を記載」にチェックを入れます。その他、描画レイヤグループの設定、線種及び文字種の記載仕様、告示緩和適用(デフォルトではオンになっている)の選択を行います。

【9】「設定完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に延焼線が出力されます。

 参考:注釈の「緩和計算式の記載」にチェックを入れた場合は、中心線と外壁面がなす角度のうち最小となる位置に計算式が記載されます。

隣棟間の中心線をマニアックに解析

今回は、隣棟間の延焼線の基準となる外壁間中心線について、掘り下げて考えていくと実は奥が深くパンドラの箱を開けかねない代物だったいう話をしたいと思います。

最初に建物間中心線の描画を、プラグラムで解析することになった経緯について書きたいと思います。

因みにこのスレッドのために使用した「JG_建物延焼線」は、告示緩和を取り入れた後身の「JG_延焼線緩和」に引き継いだため現在は配布していません。

JG_延焼線緩和 実行画面

さて、外壁間中心線の基本的な作図方法は、「防火避難安全規定の解説」に示されています。二棟の外壁面が正対している場合は、それぞれの外壁から等距離にある平行線を引き、正対していない場合は、向き合う外壁がつくる角度の二等分線をつくり、さらにそれらが交わるところで連結し、一連の折れ線にすると完成します。しかし実際にはどうでしょうか。基本的な手順を理解していても、建物の形状が複雑になると二等分線が錯綜し、どの線をどの位置で連結すべきかあれこれ思考錯誤することになると思います。本ツールをつくろうと思ったきっかけは、この煩雑な作業を自動化したいと考えたことと、プログラム化を通して中心線が定まってくるメカニズムを探ってみたいと思ったからです。

JG_延焼線緩和 外壁間の中心線

本プログラムの基本的な仕組みは単純で、建物どうしが向き合っている全ての面で二等分線(このツールでは補助線といっています)を作成し、建物間の中央に位置する補助線どうしを見つけて繋いでいくという方法です。これは「総当たり」といって、解析する対象が膨大な場合は賢い方法ではありませんが、延焼線の作成であればデータ量は限定的で計算に時間がかかることはありません。一方で、取りこぼしがなく、全ての補助線を作成するため作成後に検証しやすいというメリットがあります。

JG_延焼線緩和 中心線の候補が1つの場合(A図)

A図は、補助線のなかから特定した中心線を赤の太線で表現したものです。複数の補助線の中から建物間の中央付近を通る部分を見つけ交点で繋いでいるのが分かると思います。これまで多くのシミュレーションを行いましたが、中心線は途切れることなく連続し、最低一本は見つけ出すことができます。ただ一本だけかというとそうではなく、建物どうしが離れている(延焼線の検討にはあまり影響がない)ところでは、中央の中心線とは連続しない別の中心線が現れる場合があります(B図)。

A図のように外壁面に凹凸がない場合は、互いに平行な補助線(図のピンク色の点線)が現れず中心線は一組のみですが、B図のように外壁面に凹凸があると、互いに平行な補助線が複数現れ、このことから中心線が二組生まれてきます。

JG_延焼線緩和 中心線の候補が2つの場合(B図)

B図をみると、建物が離れているところで発生した中心線が、2番目の折れ線で建物の中央から明らかに逸脱し、途中で途切れていることが分かります。このように、周縁部で発生した中心線が最後まで連続することはほぼありません。その点では、延焼線作成に有効な中心線は一本のみであると言えます。

JG_延焼線緩和 補助線が複雑な場合1(C図)

C図においてはさらに外壁の面が増え補助線の数も増えてきていますが、建物間の中央を通り両端にかけて連続する中心線が一意に定まっています。次のD図においても、補助線が網目のように出現しかなり複雑な状況を呈していますが、この場合でも中心線が一意に定まっています。この数多い補助線群の中から建物間の中央を通る補助線をどのように見つけ出してているかについては後述しますが、補助線の総数は、二棟間で向き合う外壁面の数の掛け算(例:向き合う外壁面が3面ずつの場合3×3=9本)になるので、外壁面が多くなるとそれに輪をかけて補助線が増えていきます。

JG_延焼線緩和 補助線が複雑な場合2(D図)

E図は、あえて壁面を複雑にして本プログラムを実行した例です。これをみると、いかに複雑な状況であっても中心線を見つけ出せそうです。しかしながら、F図においては、途中で切れています。理由は外壁面に凹部があるとルートが円環になりやすいうえに、同一点に戻ってきて無限ループのような状態になるからです。これは比較的整形な凹部がある場合に偶発的に発生します。


JG_延焼線緩和 中心線作成シミュレーション1(E図)

F図のような不具合は大方の場合、建物の入力順を逆にすることで解消します。ただし、このように建物の凹凸が多かったり形状が複雑になってくると、それだけでは解けない場合がでてきます。つまり、固定的なプログラムではなく、パラメーターを用いた動的なプログラムが必要になってきます。

JG_延焼線緩和 中心線作成シミュレーション2(F図)

本ツールでは、形状が複雑な場合に使用するパラメーターを設けて、補助線が複雑に絡み合う状況に対応できるようにしています。この「形状が複雑な場合に使用するパラメーター」は以下の二つのパラメーターから選択できます(共に選択することも可能です)。

①中心線(補助線)の交点回りを詳細に解析する

②互いに連続しない中心線(の候補)を複数描画する

①と②のパラメーターはそれぞれ目的と効果が異なります。

パラメーター①は出力結果の確認または中心線及び延焼線の別案作成に用い、パラメーター②は中心線の特定が困難な場合にその代替案の作成に使用します。

<パラメーター①の概要>

補助線どうしの交点を繋げていく際に、全ての交点において、交差する補助線の全てを検証してどの補助線と連結するかを決めますが、交点から一定の範囲にある補助線については、一度取捨選択したものを無効にします。パラメーター①は、その際の閾地を決めるパラメーターで、ONにすると範囲が縮まります。

JG_延焼線緩和 パラメーター①がオフの例(G図)

JG_延焼線緩和 パラメーター①「中心線の交点回りを詳細に解析する」がオンの例(H図)

H図は、パラメーター①「中心線の交点回りを詳細に解析する」をオンで実行した例です。オフの状態のG図と比較すると青丸部分の中心線のルートが異なっていて、H図の中心線のほうがより建物間の中央に近いことが分かります。

ただし通常はオフにして使用します。このパラメーターの閾値が小さいとF図のように途中で途切れるリスクが増えるためです。

<パラメーター②の概要>

パラメーター②は、建物間の中央部を通る複数の補助線が近接する際に使用するパラメーターです。プログラム的に建物間の中央の位置をどのように規定しているかというと、二棟間の最短距離となる線分(最短線分)を求め、その中点付近としています。ほとんどの場合は「付近」というようにアバウトに設定しても問題は起きませんが、レアケースとして二本の補助線が極端に近接することがあります。その際は相対的に近い側の補助線を採用することになりますが、これに数学的な根拠はありません。極めて稀に、不適切は補助線のほうがその中点に近い場合があります。

JG_延焼線緩和 パラメーター②がオフの例(J図)

J図はパラメーター②をオフで実行した例です。一見大丈夫そうに見えますが、正しいのはその下の点線のラインです。青丸部分を拡大したK図をみると、点線のラインよりも太い実線ラインがほうが僅かに中点に近いため特定されたこと分かります。

JG_延焼線緩和 J図の青丸印部分を拡大したもの(K図)

次のL図は、パラメーター②「互いに連続しない中心線を複数描画する」をオンで実行した例です。最短線分の中点に近い中心線と、次に近い中心線が代替案として描画されています。

JG_延焼線緩和 パラメーター②「互いに連続しない中心線を複数描画する」がオンの例(L図)

敷地図と同時に延焼ラインを作図

確認申請で配置図に延焼の恐れのあるラインを記入することが必須になってきました。道路幅があって建物が敷地から十分に離れていても、記載しないことの理由にはなかなかなりません。どのみち記載するのであれば、敷地図を作成する段階で延焼ラインを作図する習慣にしたほうがよいかもしれません。

さて「JG_敷地延焼線」は、敷地と道路形状から敷地の延焼ラインを作成する外部変形(ソフト)です。敷地境界線と道路の反対側の境界線を入力することで延焼の恐れのある部分を自動的に描画します。

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2019年の法改正で延焼範囲を緩和できるようになりましたが、本ツールは、従来どおり敷地条件のみから延焼ラインを作成します。(告示緩和を利用する際は「JG_延焼線緩和」をご使用ください。)

JG_敷地延焼線 実行画面

さて、このスレッドでは、敷地が異幅道路や行き止まり道路などの特殊な道路に接する場合に、延焼ラインがどのような形態をとるのか考えていきたいと思います。どちらかというとイレギュラーなケースを扱いますが、このツールの特性を理解していただくにはよいかと思います。

下の図は、JG_日影測定線のスレッドで一度お話しした隣地境界線と道路中心線の結合方法についてです。延焼線の場合も測定線と同じように隣地境界線を道路中心線まで延長して結合する方法(イ図)と、道路に垂直な「みなし境界線」を介して結合する方法(ロ図)があり、どちらを選択するかによって出力結果が若干異なります。本ツールの描画設定画面で、以下の項目のどちらかを選択して下さい。

①隣地境界線を延長して結合する(イ図)

②道路に直角なラインを介して結合する(ロ図)

JG_敷地延焼線 敷地境界線と道路中心線の結合方法①(イ図)

JG_敷地延焼線 敷地境界線と道路中心線の結合方法②(ロ図)

延焼線は、①(イ図)は直線での結合になりますが、②(ロ図)はみなし境界線と隣地境界線の交点(出隅)が中心の円弧でつながります。安全側は①です。

結合方法1 青印部分の拡大図(ハ図)

結合方法2 青印部分の拡大図(ニ図)

次の図は、敷地が異幅道路に接する場合の延焼線です。A図は敷地の反対側の道路境界線が「かぎ型」になっているのに対し、B図は敷地境界線が「かぎ型」になっています。道路中心線の位置が、A図では境界線がズレた位置にきますが、B図では設定したみなし境界線(みなし道路)の中心の位置にきます。その結果、延焼線の円弧の位置が異なっています。

尚、本ツールでの道路の入力方法もA図とB図では異なります。A図で注意するのは、反対側の境界線がズレている部分の直交線分の入力(反対側道路入力②)が必要になること。またB図では、みなし道路境界線を設定する必要があることです。この「みなし道路境界線」を含めて反対側の道路境界線を3カ所入力する必要があります。

JG_敷地延焼線 異幅道路の解法1(A図)

JG_敷地延焼線 異幅道路の解法2(B図)

みなし道路境界線の入力が必要なのは次のL型道路に接する場合も同じです(C図)。あらかじめJw_CADで円弧を描き幅員と同じ距離の位置に下線を描いて本ツールに取り込んで下さい(操作方法参照)。またツールの入力画面で反対側の道路境界線を3カ所入力する必要があります。ここで注意することが一つあります。先に述べた隣地境界線と道路中心の結合方法については、②「道路に直角なラインを介して結合する」を選択してください。①「隣地境界線を延長して結合する」を選択するとNGになります(D図)。このように敷地境界線と平行にならない場合は①が選択されているケースがほとんどです。その場合は再度ツールを実行して下さい(その際「直前を再現」コマンドを実行すると再入力の手間が省けます)。

JG_敷地延焼線 L型道路の解法(C図)

JG_敷地延焼線 L型道路の解法 結合方法①(隣地境界線を道路中心線まで延長)を選択した場合(D図)

もう一つ「みなし道路境界線」の入力が必要になるケースがあります。次の行き止まり道路が直交する場合です。この場合、E図のように円弧どうしが連結した特徴的な延焼線が現れます。反対側の道路入力は1カ所のみになります。ただしこの場合も結合方法は②を採用して下さい(以降同じです)。

JG_敷地延焼線 敷地に直交する行き止まり道路の解法(E図)

次のF図は行き止まり道路が敷地に入り込んだ場合です。多くの場合は2階以上の延焼ラインが半円を伴って現れます。またこの場合は反対側の道路境界線を「みなし道路境界線」を含めて3カ所入力する必要があります。みなし道路境界線以外は対岸の敷地境界線に一致するので注意してください。スレッド「JG_日影測定線」の操作方法で解説しています。

JG_敷地延焼線 敷地に入り込んだ行き止まり道路の解法(F図)

最後に敷地に平行な行き止まり道路に接する場合です(G図)。この場合、反対側の道路境界線の入力は1カ所のみです。延焼線の円弧の中心は、道路中心線の端部ではなく、隣地境界線と道路中心線を仲介する「みなし境界線」と隣地境界線の交点になります。

JG_敷地延焼線 敷地に平行な行き止まり道路の解法(G図)

JG_敷地延焼線は、延焼線の描画が主体ですが、オプションで道路中心線、道路幅員、敷地境界線の延長、敷地面積を同時に記載することができます。

敷地と道路の関係をデータ化することによって、そこから派生する様々な与条件を自動的に取り出し、配置図に記載したり、計画の参考データにするなど、設計の効率化に貢献できます。JG_敷地延焼線はその目的で開発したツールの一つで、他のJG_日影測定線や、JG_壁面後退線、JG_近隣範囲図、JG_斜線等高線(開発中)も同様です。そういったことから、本ツールも含め、これらのツールで入力した敷地や道路の位置データを相互に利活用することができます。それぞれのツールに付随しているEXCEL書き出し機能を使用することで、一度入力したデータを再利用できます。また、これらのツールをメニュー化してひとつのパッケージにした「Jw作図」という外部変形(ソフト)があります。こちらを使用すると、敷地・道路データをソフト内に記憶させることができるので(新しいデータで書き換えるまで有効)操作性が向上します。期間限定で配布していますので、ご希望の方はソフトウェアサイトのVectorよりダウンロードしてご使用ください。

操作方法は、以下の通りです(操作方法はJG_日影測定線どほぼ同じです)。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にあるJG_延焼線緩和フォルダ内の延焼線緩和.BATをクリックします。

【4】Jw_cadの左上に表示されるメニューから、「敷地延焼線」「注釈記載」のどちらかを選択します。

JG_敷地延焼線 Jw_CAD初期画面(図面を全て選択)

JG_敷地延焼線 チュートリアル ~操作の流れ~


    
 ≪ A 敷地延焼線 ≫

【5】敷地境界線と道路を示す図形を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

【6】敷地境界線入力フォームに選択した敷地地境界線と道路が表示されるので、敷地境界点を時計回りで順にクリックし、全ての境界点のクリックが終了した際は「入力(次へ)」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。

補足:閉じた敷地境界線を入力した場合は、「閉じた領域が見つかりました(省略)」のメッセージが表示されるので、確認し「入力(次へ)」ボタンを押します(境界点の入力は省略できます)。変更する際は、「取消」ボタンを押し、このフォームで境界点をクリックして入力し、「入力(次へ)」ボタンを押す 

JG_敷地延焼線 敷地境界点の入力(閉じた敷地境界線を入力した場合は省略できます)

 

【7】「境界種別を選択します(以下省略)」というメッセージが現れ、境界種別入力フォームが立ち上がります。右上の境界線リストから境界線番号を選択(複数選択可)し、リスト下の境界種別「道路境界線」、「隅切」、「隣地境界線」の3つから1つを選択し「決定」ボタンを押します。未入力の場合は隣地境界線となるので、隣地境界線の入力は省略できます。変更する場合は、リストを選択し、変更する境界種別を選び、「決定」ボタンを押します。道路と隅切を全て入力した際は「次へ」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。 

JG_敷地延焼線 境界種別の入力

【8】「リストから道路境界線を選択し(以下省略)」というメッセージが現れ、反対側の道路境界線入力フォームが立ち上がります。右上の境界線リストから該当する道路境界線番号を選択し、反対側の敷地境界線を時計回りで2点クリックし「入力」ボタンを押します。入力するとライン上に境界線番号が表示されます。異なった番号が入った場合は「削除」ボタンを押し再度入力します。また、【7】で隣地境界線を選択した場合でもこのフォームで道路境界線に変更できます。全ての道路境界線の入力が終了した際は「入力完了」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は「直前を再現」ボタンを押します。 

JG_敷地延焼線 反対側の道路境界線の入力

 捕捉:行き止まり道路が敷地に対し直角になる場合は、道路幅員と同じ距離の位置を道路境界線とみなして入力して下さい(事前にJw_cadでラインを作成する必要があります)。また、その道路が敷地に入り込む際に敷地の一辺が反対側の道路境界線となることがありますが、その場合でも入力が必要です。 

【9】描画設定入力フォームが立ち上がります。道路情報の記載設定から、「道路中心線を記載」、「道路幅員を記載」、「遠隔距離を記載」、を行うか選択します。次に、レイヤグループ、レイヤ、線(色)番号、使用する文字種を入力します。次に、隣地境界線と道路中心線の結合方法を「隣地境界線を延長して結合する」か、「道路に直角なラインを介して結合する」か選択します。 

JG_敷地延焼線 延焼線描画設定

【10】「設定完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に延焼線その他が出力されます。

JG_敷地延焼線 Jw_CADへの出力結果

 ≪ B 各種注釈 ≫

【5】~【8】  ≪ A ≫ の行程に同じ。

【9】描画設定入力フォームが立ち上がります。道路情報の記載設定から、「境界線延長を記載」、「道路中心線を記載」、「道路幅員を記載」、「敷地面積を記載」、「敷地境界点を記載」を行うか選択します。また、レイヤグループ、レイヤ、線(色)番号、使用する文字種を入力します。

【10】「設定完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に各種注釈が出力されます。

 補足: ≪ A ≫ と ≪ B ≫ の行程は共に同じ敷地情報を使用します。どちらかで入力したデータは本ソフト内に記録されるので、「直前を再現」ボタンを使用することで、二度入力する手間を省くことが出来ます。また、【8】の入力の最後に「Excel書出し」ボタンを使用すると、任意のエクセルシートにデータを保存することができ、「JG_測定線作成」「JG_近隣範囲図」「JG_壁面線後退」等の他の外部変形ソフトに使用できます。   

Wordの文章と表をJw_cadへ変換出力

ソフトウェアサイトVectorからダウンロードする場合はこちら

JG_Word文変換は、ワードで作成した文章や表をJw_CADの文字列や線データに変換して読み込む外部変形(ソフト)です。ワード上で見ている状態を保ったままJw_CADに出力できるのが特徴です。また、指定した用紙内にレイアウトする機能が備わっています。

JG_Word文変換 変換前のワードデータ

                    

JG_Word文変換 実行画面(Jw_CADデータ)

フォント、文字の縦・横サイズ、文字の間隔、文字の色、行間が設定できるほか、Jw_CADでの編集が容易に行えるように、文字の割り付け位置(下部)に補助線(グリッド線)を引くことができます。

JG_Word文変換 補助線機能

JG_Word文変換 表示タブの設定

読み込みの対象は開いているワードファイルなので、Jw_cadのコマンド操作の前に、ワードを起動して読み込むファイルを開いておく必要があります。

Wordのバージョンによっては、表示設定が「文章の編集」(デフォルト設定)になっていると全てのページが読み込まれない場合があります。「表示」メニューで「印刷レイアウト」から「閲覧モード」に切り替え、「表示」タブの「レイアウト」から「用紙レイアウト」を選択した上で本ツールをご使用ください。

JG_Word文変換 表示タブから「用紙レイアウト」を選択

表の書式設定の再現については、以下を参照して下さい。

番号書式設定可否備考
<A.フォント>
A-1全角と半角の区別
A-2特殊文字(太字・斜体・下線文字)
A-3字体JWのデフォルト値
A-4文字サイズ自由に再設定可能
A-5文字色自由に再設定可能
<B.罫線>
B-1縦・横
B-2線の色JWのデフォルト値
B-3線の太さJWのデフォルト値
B-4線種JWのデフォルト値
<C.配置>
C-1文字の横位置全て左寄せ
C-2文字の縦位置
C-3インデント(字下げ)スペースを再現
C-4縦書き
C-5文字制御(セルの結合)
JG_Word文変換 表の書式設定 再現可否一覧

表の幅は1ポイント=0.35mmに換算して再現します(本ツールの変換設定で微調整することも可能です)。縮尺が1/1のレイヤグループに読み込んだ場合には、概ね同サイズの出力結果が得られます。

行の先頭の字下げについては、スペース(空欄)が入っている場合のみ有効です。インデント機能(文字下げ機能)は再現できません。ワードのオートコレクションの設定を確認し、「スペースをインデントに変更しない」設定にし、さらに表示オプションでスペースに「□」を表示する設定にすると入力しやすくなります。
見出しなどのスタイル設定(アウトライン設定)を使用している場合は、ページごとに読み込む必要があります。また、折り畳み機能を使用している場合はエラーになるので注意が必要です。
ヘッダー及びフッターを設定している場合は、意図に関わらずJw_CADに取り込まれます。取り込みたくない場合は削除してください。また、表がヘッダー及びフッターをまたがる場合は表が適切に読み込めない場合があるので注意して下さい(細かい注意点をこの

スレッドの末尾に記載していますので、問題が発生した際はそちらをご確認ください)。
「閲覧モード」の場合にコメント欄を表示しているとコメント情報も合わせて読み込まれます。意図しない場合は、「校閲」メニューから「コメントの表示」をオフにして下さい。
表中の文字位置は、縦方向については再現できます。横方向については、全て左合わせになるので文字の先頭にスペース(字下げとは異なる)を入れて調整して下さい。

レイアウトを設定しない場合はJw_CADのコマンドと同様に下方向に連続改行を行いますが、レイアウトを設定すると流し込み機能(紙面の下端で折り返し位置を右側にずらして再度上端から読み込む機能)を利用できます。本ツールでは、折り返しを2列と4列から選択できます。また、文字列が1レイアウト(1ページ)に納まらない場合でも、次ページ以降に残りの文字列を連続して流し込むことができます。

JG_Word文変換 4列流し込み(下部に一列の図面タイトル枠)

レイアウトを設定すると、流し込み機能の他に、図面枠内に文字列を適切にレイアウトすることができます。用紙サイズと上下左右の余白が設定できるほか、図面タイトル枠を用紙下部に帯状に設けるものと、右下一画に設けるものの二タイプから選択できます。

JG_Word文変換 4列流し込み(右下一画の図面タイトル枠)

レイアウト機能を使用すると、仕様書などJw_CADで最終的に仕上げたいものであっても、オリジナルをワードで作成することができます。ワードで作成すると、行の追加や削除を行った際に段組みが自動で調整されるので、文章量の多い特記仕様書であっても編集が容易です。

また検索や置換、文章校正、コメントの付記などワード特有の機能が利用できるほか、コメント機能を利用して編集履歴を残したり、WEBページへリンクをはることができます。

Wordのコメント機能の利用例(JIS記号等にコメント付記)

とくに特記仕様書などは「A種」「B種」といったJIS、JASの記号が多く用いられるので、コメントで記号の意味を付記したり、協会や関係団体のWEBページにリンクをはっておくことで、そのつど検索して調べる手間を省くことができます。

ワードで管理された特記仕様書
JG_Word文変換 ワードから読み込んだ特記仕様書1
JG_Word文変換 ワードから読み込んだ特記仕様書2

ワードによる特記仕様書のサンプルを用意しました。

この特記仕様書を本ツールでJw_CADに読み込む際には、以下の設定値を使用して下さい。

①変換設定

【文字設定】

・文字幅:4mm

・文字高さ:4mm

・文字間隔:0mm

・文字の色:任意

【行間隔】 ・7mm 「レイアウトに合わせ調整」チェックボックスにチェックを入れる。

【レイアウト】 ・行う

【補助線】 ・記入する

【表の幅調整】 1:1.1

②レイアウト設定

【余白設定】 ・デフォルト値

【描画領域】 ・デフォルト値(A1サイズ)

【タイトル枠の高さ】 任意

【列数】 ・4列

【タイトル枠形状】 任意

注意:本ツールを使用する際は、コメント欄を非表示にするか、表示を「閲覧モード」に切り替えて下さい。コメント欄を表示したままにすると、コメント情報も含めてJw_CADに取り込まれます。

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】ワードを起動し読み込むファイルを開きます。

【3】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【4】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_Word文変換」フォルダ内のWord文変換.BAT をクリックします。

JG_Word文変換 JwCADトップ下メニュー

【5】Jw_cadのトップメニュー下に、「新規読込」と「ページ選択」のメニューが表示されるので、最初は「新規読込」を選択します。

 補足:「ページ選択」は、レイアウト機能を使用する場合でページが2頁以上となる際に使用します。「新規読込」では全てのワードデータを一度に読み込み、ソフト内に保存するため、大量の表がある場合は読み込みに時間を要します。「ページ選択」を使用することで、2頁以降は時間をかけずに読み込むことができます。

 <新規読込>

JG_Word文変換 JwCAD「◎配置基準点(文の先頭)指示」図枠を

【6】Jw_cadのトップメニュー下に、◎配置基準点(文の先頭)指示と表示されるので、点(左クリック (L)で任意点、右クリック (R)で読取点)をクリックする。

JG_Word文変換 変換設定フォーム

【7】変換設定フォームが立ち上がるので、文字設定(文字幅、文字高さ、文字間隔、文字の色)を入力し、レイアウトを行う場合、補助線を記入する場合は各チェックボックスにチェックを入れます。次に、行間隔を設定します。レイアウトを行う場合で、行間隔を微調整してレイアウトに収める場合は、「レイアウトに合わせ調整」チェックボックスに合わせてチェックを入れます。次に、表の幅調整の掛け率を入力します。Jw_cadの現在設定を使用する際は「JwCADの現在の設定で初期化」ボタンを押します。

 補足1:文字幅と文字高さに0を入力すると現在設定が採用されます。文字の色にはJw_cadの色番号(1から9及びSXF色の101~356まで)を入力します。上記の番号以外を入力すると現在設定で描画されます。

Jw_cad フォント選択


 補足2:フォントはワードの設定ではなく、Jw_cadの現在設定が優先します。また表の罫線の線(色)番号も現在設定が採用されます。表の幅調整の掛け率は、主にレイアウト機能を利用する際などで、表の幅を微調整したい場合に1以外の数字(0.8~1.2の間が適当です)を入力します。 

JG_Word文変換 表の幅調整1 (掛け率:0.9)
JG_Word文変換 表の幅調整2 (掛け率:1.1)

 注意:「レイアウトに合わせ調整」チェックボックスに入れた場合は、指定の行間隔に従うものの、全体レイアウトに合うように自動的に微調整されます。「レイアウトに合わせ調整」チェックボックスにチェックを入れなかった場合は、指定の行間隔どおりにレイアウトされます。そのため、最下行が図面下の余白にはみ出す場合があります。

【8】レイアウトを「行わない」にチェックを入れた場合は、Jw_cadに変換した文章が読み込まれます。レイアウトを「行う」にチェックを入れた場合は、レイアウト設定フォームが立ち上がるので、余白設定(上、下、左、右)、描画領域(紙面サイズ)(縦、横)、タイトル枠の高さ、列数(2列又は4列)、タイトル枠の形状(下部一列又は右下一画)を設定します。

JG_Word文変換 レイアウト設定フォーム

 補足:初期値では、余白上:行間隔、余白下:行間隔、余白左:10.8mm、余白右:10.8mm、描画領域(横)841mm(A1サイズ)、描画領域(縦)594mm(A1サイズ)、タイトル枠の高さ:行間隔の7倍、列数:4列、タイトル枠の形状:右下一画に設定されています。

JG_Word文変換 出力頁選択フォーム(A図)

【9】「OK」ボタンを押すと、出力頁選択フォームが立ち上がるので、リストから出力するレイアウト(番号)を選択して「OK」ボタンを押します。Jw_cadに変換した文章がレイアウトされて読み込まれます。
 注意:【8】で設定した図面枠に全ての文章が収まる場合は、リストに表示されるのは、一つのレイアウト(レイアウト1)のみです。文章が収まらず複数頁にまたがる場合にのみ複数のレイアウト(番号)がリストアップされます。
 補足:2ページ目以降は、Jw_cadの最初の操作画面で「ページ選択」を使用すると素早く描出できます。

 <ページ選択>

【6】出力頁選択フォーム(A図)が立ち上がるので、リストから出力するレイアウト(番号)を選択して「OK」ボタンを押します。Jw_cadに変換した文章がレイアウトされて読み込まれます。

~表を読み込む場合の注意事項~

・(重要)表のプロパティで、「文字列の折り返し」と「各ページでタイトル行を表示する」のチェックは外してください。
・ヘッダーフッターを表がまたがる場合は、ヘッダーフッターを削除してください。(できれば「⏎」の表示ごと削除して下さい。表は描出できますが、エラーメッセージが表示されます。)「⏎」の削除はこの部分を選択し「Del」を押すと削除できます。その際、セクション区切りを設定していると削除できない場合がありますので、セクション区切りも同様に削除してください(区切りの先頭で「Del」を押すと削除できます)。
・セルの結合そのものは表現できますが、横列に結合と非結合が繰り返される場合(結合、非結合の後にさらに結合が並ぶ場合)はエラーになります。その際は、結合、非結合のあとの結合を解除して下さい。

ExcelからJw_cadへの変換出力

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JG_Excel表変換は、エクセルで作成した表をJw_CADデータに変換して読み込む外部変形(ソフト)です。エクセルファイルを開かずに読み込める点と、文字の色指定や文字の間隔、縦横比率を設定できる点、また線の太さに合わせて線(色)番号を指定できたり線種を再現できる点が特徴です。

JG_Excel表変換 変換前のエクセルデータ

                    

JG_Excel表変換 実行画面(Jw_CADデータ)

EXCELの書式設定の再現については、以下を参照して下さい。

番号書式設定可否備考
<A.フォント>
A-1全角と半角の区別
A-2特殊文字(太字・斜体・下線文字)縦横比は設定可
A-3字体JWのデフォルト値
A-4文字サイズ
A-5文字色任意の共通色
<B.罫線>
B-1縦・横・斜線
B-2線の色線の太さ別対応
B-3線の太さ4段階
B-4線種4種類まで
<C.表示形式>
C-1表示形式セル表示を再現
<D.配置>
D-1文字の横位置全て左寄せ
D-2文字の縦位置
D-3インデント(字下げ)
D-4縦書き
D-5文字制御(セルの結合)
D-6文字制御(折り返し・縮小表示)
<E.塗りつぶし>
E-1セルの背景色
JG_Excel表変換 エクセル書式設定 再現可否一覧

文字サイズは1ポイント=0.35mmで換算して再現します。縮尺が1/1のレイヤグループに読み込んだ場合、出力後は概ね同サイズになります。

線の太さは、エクセルの標準線、細線、中太線、太線の4種類を再現します。ダブルラインは太線として扱います。標準線はJw_CADの現在の設定が採用されます。残りの細線、中太線、太線については、線種設定フォームで任意に選択します。

線種は、Jw_CADの9種類の線種(実線、点瀬、一点鎖線、二点鎖線)の中から近いものが自動で選択されます。

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_Excel表変換」フォルダ内のExcel表変換.BAT をクリックします。

【4】Jw_cadのトップメニュー下に、◎配置基準点(表の左上)指示と表示されるので、点をクリック(左クリック (L)で任意点、右クリック (R)で読取点)します。

JG_Excel表変換 ファイル選択


【5】ファイル選択メッセージが立ち上がり「始めにExcelブックを選択します。」と表示されるので、「OK」ボタンを押します。

【6】ファイル選択ダイアロボックスが立ち上がるので、エクセルファイルのブック名を入力するか、ディレクトリーから選択し「開く」を押します。

 注意:ブックが開いている状態でもこの操作は必要です。

JG_Excel表変換 表の選択フォーム

【7】表のファイル選択フォームが立ち上がるので、シート名と、表の範囲を示す左上のセルと右下のセルを記入し、「入力」ボタンを押します。

 参考:セル名は、例えば「A1」のようにアルファベットと数字の組合せで入力します。大きめの範囲を入力しても構いません。ただし、変換速度は範囲のセル数に比例します。 

JG_Excel表変換 文字設定

【8】文字設定フォームが立ち上がるので、文字色と、文字の縦横比および文字の間隔を入力します。

 補足:文字色は標準色の1~9又はSXF色の101~356(SXF色の番号に100をプラスした数字)を入力します。上記以外の数字を入力すると、現在の設定で描画されます。縦横比は、縦を基準とした横の倍率を入力します。例えば、縦が1に対して横が1.2の場合は「1.2」を、縦が1に対して横が0.8の場合は「0.8」を入力します。また文字の間隔は、大きくするとセル内に納まらなくなるので通常は0とします。

JG_Excel表変換 線幅変換フォーム

【9】選択範囲の罫線に標準線以外(細線、中太線、太線)がある場合は、線種設定フォームが立ち上がります。標準線はJw_cadの「現在の線(色)番号」となりますが、細線、中太線、太線の3種類は、この線種設定フォームでJw_cadの線(色)番号を任意に割り当てます。(文字と同様にSXF色が利用できます。)

【10】「入力」ボタンを押すと、Jw_cadの画面にエクセルの表が出力されます。

Excelを使わない面積表の作成

JG_床面積表 実行画面

Jw_CADやAutoCADで面積表を作成する際に、Excelで作成したものをCADに貼り付けたり変換したりするケースが多いと思いますが、末尾の数字が合計で微妙に異なっていることを指摘されたというご経験はありませんか? Excelでは、セルの書式設定で小数点以下を端数調整して表示することができるものの、合計演算の「SUM()」という関数がセルに格納されている数値そのものを演算するために、途中の合計値と最終の合計値で末尾の数字が1単位揃わないことが起こります。しかし、Excelでこの問題を解決しようとすると複雑な関数を組まなければならず容易ではありません。今回は、Jw_CADでExcelを使用せずに正確な面積表を作成できる外部変形を紹介したいと思います。

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JG_床面積表(旧名称・JG_室別面積)は、主として確認申請に使用する室面積や床面積の求積図・求積表を自動的に作成する外部変形です。求積に使用する数字は小数点以下0~6桁の間で選択でき、計算結果はその桁数内に納まるように端数調整されます。端数調整は、四捨五入と切り上げ、切り捨ての3種類から選択することができます。最後の合計は、Excelの関数とは異なり端数処理後の数字を積み上げるので、手計算で算出した場合と同じ計算結果が得られます。

JG_床面積表 階別面積表と集計表(延床面積表)

バージョン2.0から、算出した面積表(階別面積表)の合計を集計し、その集計表(延床面積表)を作成することができるようになりました。また、集計の段階で端数調整を行った場合は、集計対象の合計値の数値を自動的に修正できます。たとえば床面積の算出においては、集計前までは小数点第6位まで算出し、集計で第2位に端数処理することが多いと思いますが、その場合には、切り捨てる小数点第3位以下に取り消し(二重)線を引き、切り上げの場合には、小数点第2位に斜め線を引いた上で近傍に切り上げ後の数値を記入します。

JG_床面積表 集計機能による端数処理(少数点第3位を切上げ処理した場合)

さて求積対象としている図形についてですが、本ツールが計算式による面積算出を前提としていることから、求積できる形状は三角形と長方形及び台形に限られます。(他の形状でも面積は算出できますが、計算式を記載できません。なお円弧も計算できません)。部屋の形状が不整形な場合や入り組んでいる場合は、あらかじめ三角形や長方形、台形に分割してツールを使用して下さい。面積の合算は、累計機能を用いることで自動的に行えます。

JG_床面積表 室を長方形と三角形に分割した求積(A図)
JG_床面積表 室を長方形と台形に分割した求積(B図)

A図は、不整形な部屋を長方形と三角形に分割した場合で、B図は、長方形と台形に分割した場合です。(ただし台形は自動的に二つの三角形に分割され、求積図(表)への面積の記載は、二つの三角形の面積の合計として記載されます。)

台形を用いて図形数を少なくした方(上図ではB図)が誤差を少なくできますが、集計表は台形を用いない方(A図)がすっきりします。

JG_床面積表 室面積算定 実行画面(C図)

C図は、JG_床面積表で部屋ごとの求積図と求積表を作成したもので、D図は床面積の求積図と求積表を作成したものです。このように複雑な形状であっても計算式による根拠を伴った求積表が容易に作成できます。

JG_床面積表 床面積算定 実行画面(D図)

また、JG_床面積表には領域を減算する機能があります。この機能を使って全領域(床面積の合計)から一部の領域(中庭や吹抜け等)を減算することができます。

JG_床面積表 減算を用いた床面積算定 実行画面(E図)

またこのツールには、求積表を省略したり、畳(帖)数を記載する機能があります。

求積と畳(帖)数及び寸法記載の機能は三角形と長方形以外の多角形でも記載できます。

JG_床面積表 帖数の記載

また、出来上がった求積表はEXCELに書き出すことができます。

JG_床面積表 EXCELに書き出した求積表

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

 ≪面積表を作成する場合≫

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_床面積表」フォルダ内の床面積表.BATをクリックします。

【4】

Jw_cadのトップメニュー下に、「◎範囲を時計回りで読み取り」と表示されるので、部屋など求積対象領域の頂点を順にクリック(左クリック (L)で任意点、右クリック(R)で読取点)し、左上の「点指示終了」ボタンを押します。

JG_床面積表 求積範囲読み取り

【5】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎表基準点指示(累積時は任意点又はリターンキー)」と表示されるので、求積表を配置する基準点(表の左上)となる任意の点をクリックします。

JG_床面積表 求積表配置点入力

【6】各種設定フォームが立ち上がるので、①表示内容(寸法記入、外形記入、たすき掛け、帖数記入、名称記入)の各チェックボックスに任意にチェックを入れ、必要であれば名称と番号の初期値を入力します。次に②小数点以下の桁数に0~6の数字を入力し、③使用する文字種に1~10の数字を入力します。次に、負の領域の場合は「負の値」にチェックを入れます。面積を累計する場合((Excelに出力する場合を含む)は、「面積累計」にチェックを入れます(累計中は「累計中」と表示されます)。端数処理を行う場合は、「端数処理」にチェックを入れます。求積表を記載しない場合は、「求積表作成」のチェックを外します。
 累積を取り止め初期入力にするには、右下の「累積消去」ボタンを押します。また、Jw_cadの入力からやり直す場合は、「キャンセル」ボタンを押します。

JG_床面積表 各種設定フォーム

 補足1:エリアが複数の長方形や三角形で構成される場合は、「面積の累計を記録する」にチェックを入れて下さい。

 補足2:文字種は1~10以外の番号を入力すると現在設定で描画されます。一方、線色と線種はJw_cadの現在設定で描画されます。(台形の三角形分割線と、三角形の垂線は規定値で点線2となります。)

 補足3:「端数処理」にチェックを入れなかった場合は全て四捨五入となります。

 補足4:計算式については、小数点以下の桁数は3桁までになります。

 注意:計算式を記載できるのは、長方形と三角形及び台形のみです。その他の多角形を求積する際は、別ソフトの「JG_三斜求積」を使用して下さい。表の規格は同一です。

 重要:キャンセルした際に、累積を初期化(0㎡とすること)するか確認のメッセージが表示されます。初期化しないを選択をすると、直前に入力したデータは無効になりますが、累積は継続されます。初期化するを選択すると、全て最初からの入力になります。
 Jw_cadの外部変形コマンドを中断し再開する場合でも累積は継続しています。累積ではなく初期段階に戻すには、このフォームで「累積消去」を一度押します。そうすることで初期入力と同じ状況になります。

【7】「決定」ボタンを押すとJw_cadの画面に求積図及び求積表が描画されます。

JG_床面積表 端数調整選択フォーム

【7B】【6】の各種設定で「端数処理」にチェックを入れた場合は、端数調整方法を選択フォームが立ち上がるので、「四捨五入」「切り上げ」「切り捨て」の3通りからひとつを選択します。「OK」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に求積図及び求積表が描画されます。

 <面積を累計(Excelに出力)する場合>

【A】【6】各種設定フォームで「面積累計」(旧バージョンでは「面積の累計を記録する」)チェックボックスにチェックを入れます。

JG_床面積表 累積確認フォーム

【B】累積確認フォームが立ち上がり累積面積が表示されます。続けて一画を選択する場合は、「面積入力を続ける」ボタンを押し、【4】~【7】の作業を繰り返します。(2回目以降の配置基準点の入力は不要なので、任意の点をクリックするかリターンキーを押して作業をスキップします(求積表は直前の表の下に連続して追加されます)。最後の入力が完了した際は、「終了する」ボタンを押します(面積の累計は初期化されます)。Excelに出力する際は、「結果をExcelに出力」ボタンを押します(この時点でJw_cadに求積図及び求積表が描画される準備が整っています)。

JG_床面積表 累積入力(求積表の連結)
JG_床面積表 累積終了

 補足:Excelに出力されるのは番号と、算定根拠となる寸法(単位:m)、計算式、番号ごとのエリア面積(単位:m2)と累積した合計面積(部屋の計算であれば室面積、フロアの計算であれば床面積など)です。また、寸法と計算式が記載されるのは長方形と三角形及び台形のみで、その他の多角形の場合は空欄となります。(多角形の場合は、別ソフトの「JG_三斜求積」を使用して下さい。)

 注意:底辺と高さの値については、端数調整前の数値(寸法)が入力されます。

<「Excel出力」ボタンを押した場合>

【C】累積初期化確認フォームが立ち上がるので、出力後に初期化する場合は「はい」を、初期化しない場合は「いいえ」を押します。

 重要:途中に累積作業をキャンセルし作業を再開した場合に、キャンセル前の累積値が残っている場合があります。この場合は、【6】のプロセスで右下の「累積消去」ボタンを押し、累積値を初期化(0㎡とすること)して下さい。

【D】Excel出力フォームが立ち上がるので、①「新規ファイルを作成」するか②「既存ファイルを上書き」するかを選択します。

 注意:Excelをバックグラウンドで立ち上げ書き込みを行うため初回は時間を要します。

 補足:Excelに出力されるのは番号と、算定根拠となる寸法(単位:m)、計算式、番号ごとのエリア面積(単位:m2)と累積した合計面積(部屋の計算であれば室面積、フロアの計算であれば床面積など)です。また、寸法が記載されるのは長方形と三角形及び台形のみで、その他の多角形の場合は空欄となります。(多角形の場合は、別ソフトの「JG_三斜求積」を使用して下さい。)

 ≪ ① 新規ファイルを作成 ≫

【ア】Excelへの出力が完了すると、「書き出しが完了しました。」のメッセージが表示され、続けて「名前を付けて保存」のダイアロボックスが立ち上がるので、ファイル名を記入して保存します。

 ≪ ② 既存ファイルを上書き ≫

【ア】上書きするファイルを選択する(「開く」)ダイアロボックスが立ち上がるので、ディレクトリーからファイルを選択し、「開く」ボタンを押します。

【イ】書き出し設定フォームが立ち上がるので、シート名(デフォルトでは「求積表」)と先頭セル(デフォルトでは「A1」)を入力し「OK」ボタンを押します。

 注意:入力したシート名がブックに無い場合は、入力名のシートが新たに作成されます。

【ウ】Excelへの出力が完了すると、「書き出しが完了しました。」のメッセージが表示されます。

≪面積を集計する場合(延床面積表を作成する場合)≫

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_床面積表」フォルダ内の集計.BATをクリックします。

【4】Jw_cadのトップメニュー下に、「集計する面積表を全て選択」と表示されるので、面積表を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。次に、「◎集計表の配置基準点を指示」と表示されるので、集計表(延床面積表)を配置する基準点(表の左上)となる任意の点をクリックします。

JG_床面積表 集計表作成 面積表を全て選択

 

 重要:集計できる面積表は、本ソフトで作成した面積表のみです。また、面積表の文字や数値の位置を変更する等の編集を行うと、正しく集計できない場合があります。

【5】各種設定フォームが立ち上がるので、端数処理(「四捨五入」「切り上げ」「切り捨て」の3通りからひとつ)を選択します。次に小数点以下の桁数に0~6の数字を入力します。次に集計表に名称を記入する場合は名称記入のチェックボックスにチェックを入れ、テキストボックスに名称を記載します。

JG_床面積表 集計 各種設定フォーム

【6】「決定」ボタンを押すとJw_cadの画面に集計表が描画され、集計対象の合計値の端数が修正されます。(切り捨てた数値に二重線が引かれ、繰り上がる数値に斜線と繰り上げ後の数値が記載されます。)

JG_床面積表 集計結果

室面積の一括算出

JG_一括面積 実行画面

室面積や床面積を簡単に素早く平面図に記載できたらよいと思われませんか? 今回は、通り芯や壁芯等で囲われた領域の面積(室面積)とその合計面積(床面積)を一括で算出できる外部変形「JG_一括面積」をご紹介します。三角形から多角形まで様々な領域の面積を一度に算出し、各領域内に記載します。バージョン2.0からは入れ子形状(アイランドのある領域)の面積算出が自動で行えるようになりました。また、吹き抜けやデッドスペースなど床面積として参入しない部分を選択できるようになりました。

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JG_一括面積 入れ子形状(アイランドのある領域)の面積算出

ラフな通り芯や補助線からも面積算出が可能

通り芯や補助線などの領域を構成する線分が交点で閉じていなくても面積を算出できるので、ラフプランなどの状態からでも部屋や区域の面積を算出できます。

JG_一括面積 実行画面2

面積が記載される位置は概ね部屋の中央(正確には領域の重心)になります。部屋が整形な場合は必ず中央に配置されますが、廊下の場合等、領域が不整形な場合は記載位置が中央部から外れることがあります。

記載仕様として、面積は小数点第6位(四捨五入のみ)まで求められるほか、使用する文字種を設定できます。また、以下の3つのオプションを利用できます。

①面積の上部に室名を追記

②室面積の合計を記載

③面積データをEXCELに書き出し

①はブロックプランの作成を補助する機能で、各々の領域に室名や区画名を記載することができます。室(区画)名は面積の上部に記載されます。

JG_一括面積 室名と面積が入力されたブロックプラン

②は選択した領域面積の合計を記載する機能です。個々の領域が「室」で全体が「フロアプラン」であることを想定し「床面積:〇〇〇㎡」という表現で、全領域の重心位置に記載されます。(床面積から除外する室(区画)を選択することができます。)

JG_一括面積 EXCELに書き出された室名と面積

③は領域の面積のリストとしてEXCELに書き出す機能です。①で室名を入力した場合は、その室名も合わせて出力されます。

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_一括面積」フォルダ内の一括面積.BATをクリックします。

【4】Jw_cadのトップメニュー下に、「算定範囲を一括読み取り」と表示されるので、領域を構成する線分を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

 補足:領域を構成する通り芯や面積芯などを事前にレイヤ分けしておくと便利です。

JG_一括面積 描画設定フォーム

【5】描画設定フォームが立ち上がるので、<記載仕様>の小数点以下の桁数に0~6の数字を入力し、使用する文字種に1~10の数字を入力します。次に室(区画)名を入力する場合はチェックボックスにチェックを入れます。次に面積をExcelに書き出す場合はチェックボックスにチェックを入れます。

 補足:文字種は1~10以外の番号を入力すると現在設定で描画されます。また、描画されるレイヤは現在層です。

【6】「OK」ボタンを押すと室(領域)面積の合計が表示されます。再度「OK」ボタンを押すとJw_cadの画面に各室(領域)の面積と室面積の合計(床面積)が記入されます。

JG_一括面積 入れ子状態の確認フォーム

 <入れ子の領域がある場合>

【A】「入れ子状態の確認」フォームが立ち上がるので、包含する青番号の領域と包含される赤番号の領域を確認し「OK」ボタンを押す。

JG_一括面積 合計面積から除外する室(区画)の選択フォーム

 <「合計面積を書き出す」チェックボックスにチェックを入れた場合>

【B】面積除外確認のメッセージが表示されます。「はい」を選択した際は、「合計面積から除外する室(区画)の選択」フォームが立ち上がるので、右上の「面積合算リスト」から除外する番号を選択(複数可)し「面積除外」ボタンを押す。元に戻す場合は、同様に番号を選択(複数可)し「元に戻す」ボタンを押す。最後に「確定」ボタンを押す。

JG_一括面積 室名記入フォーム

 

 <「室(区画)名を入力」チェックボックスにチェックを入れた場合>

【C】室名記入フォームが立ち上がり、番号が記入された平面図(単線プラン)が表示されるので、右上の室リストから番号を選択(複数可)し、室(区画)名テキストボックスに室(区画)名を記入し「入力」ボタンを押す。全ての入力が完了した際は「完了」ボタンを押す。

 補足:室名は何度でも書き換えることができます。

 

 <「面積をExcelに書き出す」チェックボックスにチェックを入れた場合>

【D】ファイル選択フォームが立ち上がるので、①「新規ファイルを作成」するか②「既存ファイルを上書き」するかを選択します。

 ≪ ① 新規ファイルを作成 ≫

【ア】書出し設定フォームが立ち上がるので、シート名と先頭セル(例:「A1」)を入力し、「OK」ボタンを押します。

【イ】Excelへの出力が完了すると、「書き出しが完了しました。」のメッセージが表示され、続けて「名前を付けて保存」のダイアロボックスが立ち上がるので、ファイル名を記入して保存します。

 ≪ ② 既存ファイルを上書き ≫

【ア】上書きするファイルを選択する(「開く」)ダイアロボックスが立ち上がるので、ディレクトリーからファイルを選択し、「開く」ボタンを押します。

【イ】書出し設定フォームが立ち上がるので、シート名と先頭セル(例:「A1」)を入力し「OK」ボタンを押します。

 注意:入力したシート名がブックに無い場合は、入力名のシートが新規に作成されます。

【ウ】Excelへの出力が完了すると、「書き出しが完了しました。」のメッセージが表示されます。

本ツールの一部を抜き出したものですが、線分で構成された様々な図形の面積を一度に算出できる外部変形を用意しました。選択した図形内に領域がある場合に面積(複数の場合は合計面積)を画面に表示します。単体の図形であれば頂点をクリックする必要がなく右クリックのみで選択できるので、作業効率をアップできます。以下よりダウンロードしてご使用ください(円弧を含むものを算定できません)。

閉鎖・発散方式 日影測定線の作成

JG_日影測定線 閉鎖測定線 実行画面

日影図を作成する際に必要な測定線には閉鎖方式と発散方式があり、一般的には閉鎖方式が用いられますが、稀に発散方式を採用できるケースもあります。発散方式を採用できるとプロジェクトに与える効果は大きいのですが、作成に時間がかかることもあり、ほとんどの場合は閉鎖方式で済ませてしまうことが多いのではないでしょうか。

さて今回は、外部変形「JG_日影測定線」を活用して、Jw_CADで発散方式の日影測定線を描く方法とその注意点について書きたいと思います。

ソフトウェアサイトVectorからダウンロードする場合はこちら

発散方式を考える前に、敷地形状が特殊な場合の測定線の考え方について少し触れておきたいと思います。測定線は閉鎖方式であっても敷地形状や道路線形が複雑になると、基準法の解釈で結果が異なる場合があります。

JG_日影測定線 発散測定線 実行画面

一般手に測定線は、敷地境界線に対して外側に5mまたは10m離れた点を結んだ線とされます。境界線が凸角になったり凹角になると迷いがちですが、境界線に沿って5mまたは10mの円を転がしたときの軌跡をイメージすると分かりやすくなります。

この考え方を基本にすると、測定線は常に連続した閉じた領域をつくります。

少し特殊な例をみて下さい。

次の図は、敷地境界線の折れ点がジグザク状に連続する場合の5mと10mの測定線です。このように入隅と出隅が交互に現れると大小の円弧が連続することになります。

JG_日影測定線 ジグザグ状の境界線と5m及び10mの測定線

次の図は凹地部分の測定線を示しています。この図のように円弧がクロスする場合、クロスした点から内側にある軌跡は消去されます。

凹地部分の測定線1:円弧どうしがクロスする場合(イ図)

円弧と直線がクロスする場合も同様に内側にある軌跡は消去されます。

凹地部分の測定線2:円弧と直線がクロスする場合(ロ図)

さて、道路側の緩和を用いた測定線は、道路形状が複雑になると、法令の解釈の仕方で位置や形状が異なる場合があります。いくつか特徴的なものをみていきたいと思います。

道路幅員の取り方

まず道路幅員の取り方ですが、測定線を考える場合、敷地境界線や道路中心線に対して垂線を引くよりも、道路の反対側の境界線に対して垂線を引いて測るのが合理的です。その理由をご説明します。

道路幅員が10m未満の「みなし境界線」(A図)

道路の反対側の境界線が敷地境界線と平行ではない場合は、まず道路中心線をA図のように定めます。道路幅員が10m未満の場合は、この中心線が「みなし境界線」となるのは周知のとおりです(A図)。

道路幅員が10m以上の場合の「みなし境界線」(B図)

次に、道路幅員が徐々に広がっていき幅員が10m以上になると、反対側の道路境界線が5m測定線になり、そこから敷地側に5m入ったラインが「みなし境界線」になります。みなし境界線は、幅員が10mまでは中心線に重なり、10m以上で敷地の反対側に枝分かれしていきます。

B図の◎の位置に着目して下さい。幅員が10mの位置で反対側の境界線から垂直に敷地境界線に下した線の中点と、みなし境界線が枝分かれする点が一致しています。これは、道路幅員を反対側の境界線に対して垂直にとっているためです。道路中心線(二等分線)に対して垂線をとるとこの点は一致しません。

余談ですが本ツールにおいて、八の字状の道路のみなし境界線を厳密な道路中心線(角度の二等分線)にするか上記のようにするかは試行錯誤がありました。実際の道路はミクロ的にはうねうねしていて二本の単純な直線で構成されることはなく、中心線というのは結局のところ「安全側に設定した仮想ライン」の域を出ないということでいくと、道路幅員の中点を道路中止線が通ってさえいれば(申請図でA図のように表現できれば)よいのではないかという結論に達しました。

さて次に「みなし境界線」の位置を特定しづらいクランク状の道路について考えたいと思います。

反対側の境界線の一部が敷地境界線に対して直角に近い場合(G図)

G図は、反対側の境界線の一部が敷地に直角に近い状態にまで折れていて、そのため幅員が10mを超えるような場合です。この場合みなし境界線の位置は、道路中心ではなく反対側から5mの位置になります。理由は幅員が10m以上になるためです(B図参照)。しかし5m測定線は出隅処理の過程で無くなり(ロ図参照)、あくまで見かけの測定線になってしまいます。10m測定線も同様です。

出隅を円弧にしない場合もありますが、このツールは出隅部を必ず円弧で処理します。

幅員の異なる道路が雁行する場合の「みなし境界線」と測定線 解法1(H図)

H図は、G図の反対側の境界線が完全に垂直になった(「かぎ型」になった)場合です。この場合も同様の考え方を用いて、反対側から5mの位置をみなし境界線としています。

一方でこの雁行道路には、次の解法も存在します(本ツールの解法とは異なるので注意して下さい)。

幅員の異なる道路が雁行する場合の「みなし境界線」と測定線 解法2(I図)

この図は一般的に「幅員の異なる道路が雁行する場合のみなし境界線の位置」として行政の手引書などに登場します。

この解法では、幅員が切り替わる位置が「みなし境界線」になっています。出隅部も円弧として処理されていません。ただこの考え方は、G図のように傾きがある場合にはその解決策を与えてくれません。

さて、対岸が敷地の場合はどうでしょうか。

敷地境界線の一部が道路の反対側のラインに対して直角に近い場合(J図)

J 図は、G図と同じやや崩れた「かぎ型」の境界線です。本ツールでは、この場合も反対側の道路境界線に垂直に引いた幅員線の中点をつないで「みなし境界線」とします。

敷地境界線の一部が道路の反対側のラインに対して垂直な場合(k図)

J図が完全な「かぎ型」になったK図においても、J図の中央部分が閉じるかたちで「みなし境界線」が設定されます。奇しくもI図と同じになりました。ただし測定線は一貫して円弧になります。

ここまでみてくると、プログラムを用いた解法にはある程度一貫性があります。これらの解法がすべての特定行政庁で受け入れられるかというと、そうではないかもしれませんが、アルゴリズムを用いて「みなし境界線」を一意に定めることは可能と言えるかもしれません。

ただし次の、隣地境界線と道路の「みなし境界線」の結合方法については、実務の状況から二通りの解法を用意せざるを得ません。

隣地境界線と「みなし境界線」の結合方法1(L図)

L図は、道路の「みなし境界線」の結合について、隣地境界線を道路のみなし境界線まで延長して閉じた領域をつくる手法です(結合方法1とします)。自治体が配布している手引書に多い解法です。

隣地境界線と「みなし境界線」の結合方法2(M図)

一方でM図は、道路に垂直な「みなし境界線」を介して閉じた領域をつくる手法です(結合方法2とします)。逆日影ソフトなどで採用していることが多い解法です。本ツール(Ver.1.1以降)ではどちらの方法も選択できます。

道路際が隅切状のときに結合方法1を採用した場合(N図)

ところで、道路際が隅切のように道路と接する際に結合方法1を採用するとどうなるでしょうか。N図のように著しく不利な状況が発生します。結合方法1の盲点なのか、本来は発散方式とセットでの運用を意図されていたのか、真相は分かりません。

発散方式の解法については、東京都安全条例の解説にその説明がありますが、道路形状が複雑な場合(道路が雁行していたり屈曲している場合)や交差点になっている場合はほとんど触れられていません。そのせいか様々な解法が用いられていて迷走に近い状況です。いくつか特徴的なものを紹介します。

道路内に測定線を生まない発散方式の特徴

発散方式で測定線を描画すると道路幅員が10m未満であっても道路内に測定線が発生しません。東京都安全条例の解説にもありますが、このことから「発散方式は道路内を一律緩和するもの」と言われています。満更間違いではないと思います。このことを踏まえて次の図をみてください。

屈折道路の場合の発散測定線(P図)

前面道路が屈折する場合の発散方式による解法です。この場合二通りの解法が考えられます。一つは、発散方式で作成した測定線を相互に交わらせる方法、もう一つは、閉鎖方式を採用して円弧にする方法です。P図をみると分かるように、閉鎖方式を採用すると道路に測定線の一部がかかります。発散方式と閉鎖方式を併用するのは良くないというのも頷けます。

敷地境界線に直交する道路がある場合の発散測定線(Q図)

次に、Q図のように前面道路に直交する道路がある場合です。この直交道路に発散方式を採用できるでしょうか。敷地の端部が交差点の場合に採用しているのをみかけますが(個人的には疑問ですが)、Q図にこの考え方を準用するのは困難です。そうかといって道路内を全て緩和するのは行き過ぎな感じがします。道路斜線制限などでは街区を整えるため「みなし道路境界線」を敷地の反対側に設定しますが、この考え方を準用すると、測定線は直交道路で分断されずに連続することになります(Q図)。ひとつの落としどころかもしれません。

道路内でも規制がかかる場合がある発散方式(R図)

さて、行政庁によっては、先のL図のように敷地境界線が道路に鈍角に取り合う場合、道路内であっても敷地側の測定線が延伸するとみなされます(R図)。これは発散方向の無制限の緩和を抑止する考え方で、閉鎖方式と発散方式の折衷案と捉えてもよいかもしれません。

本ツールにおいては、前面道路が「一の道路」(屈折や交差がない道路)である場合にのみ発散方式による描画が可能です。

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にあるJG_日影測定線フォルダ内の日影測定線.BATをクリックします。

【4】Jw_cadの左上に表示されるメニュー「閉鎖測定線」「発散測定線」「各種注釈」から実行する作業を選択します。
    
 ≪ A 閉鎖測定線 ≫

【5】敷地境界線と道路を示す図形を全て選択し、「選択確定」ボタンを押します。

JG_日影測定線 敷地入力フォーム

【6】敷地境界線入力フォームに選択した敷地地境界線と道路が表示されるので、敷地境界点を時計回りで順にクリックし、全ての境界点のクリックが終了した際は「入力(次へ)」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。 

JG_日影測定線_境界線種別入力フォーム

【7】「境界種別を選択します(以下省略)」というメッセージが現れ、境界種別入力フォームが立ち上がります。右上の境界線リストから境界線番号を選択(複数選択可)し、リスト下の境界種別「道路境界線」、「隅切」、「隣地境界線」の3つから1つを選択し「決定」ボタンを押します。未入力の場合は隣地境界線となるので、隣地境界線の入力は省略できます。変更する場合は、リストを選択し、変更する境界種別を選び、「決定」ボタンを押します。道路と隅切を全て入力した際は「次へ」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。 

JG_日影測定線_反対側の道路境界線入力フォーム①

たとえば下の 図のように、反対側の道路境界線の折れ点が敷地境界線のそれより多い場合は。反対側の境界線がどちらの敷地境界線に属すのか選択する必要があります。

JG_日影測定線_反対側の道路境界線入力フォーム②

逆に敷地側の折れ点が多い場合も、反対側の道路境界線と敷地側境界線の組み合わせを決める必要があります。

JG_日影測定線_反対側の道路境界線入力フォーム③

組み合わせる際は、互いに向かい合う比率が多い方を対応させるとよいでしょう。

【8】「リストから道路境界線を選択し(以下省略)」というメッセージが現れ、反対側の道路境界線入力フォームが立ち上がります。右上の境界線リストから該当する道路境界線番号を選択し、反対側の道路境界線を時計回りで2点クリックし「入力」ボタンを押します。入力するとライン上に境界線番号が表示されます。異なった番号が入った場合は「削除」ボタンを押し再度入力します。また、【7】で隣地境界線を選択した場合でもこのフォームで道路境界線に変更できます。全ての道路境界線の入力が終了した際は「入力完了」ボタンを押します。直前のデータを利用する場合は、「直前を再現」ボタンを押します。

JG_日影測定線_反対側の道路境界線入力フォーム(反対側の道路が重複する場合)

 注意:複数の敷地境界線が反対側の道路境界線を共有する場合は、一つの道路境界線に複数の番号が記載されます(ハ図も参照)。逆に、一つの道路に敷地境界線が複数対応する場合は、同一の番号が反対側の道路境界線にそれぞれ入力されます(二図参照)。

JG_日影測定線_行き止まり道路の入力(みなし道路境界線の入力)(a図)

補足:行き止まり道路がある場合は、道路幅員と同じ距離の位置にある線分を道路境界線とみなして入力して下さい(事前にJw_CADで線分を作成しておく必要があります)(a図)。また、行き止まり道路が敷地に入り込む場合は、対岸にある敷地の一辺が反対側の道路境界線となることがありますが、その場合でも入力が必要です(b図)。 

JG_日影測定線_行き止まり道路の入力(対岸にある自身の境界線を道路境界線として入力)(b図)

【9】描画設定入力フォームが立ち上がります。記載設定から、「みなし境界線を記載」、「道路中心線を記載」、「道路幅員を記載」、「離隔距離を記載」を行うか選択します。次に、レイヤグループ、レイヤ、線(色)番号、使用する文字種を入力します。次に、隣地境界線と道路みなし境界線の結合方法を、「隣地みなし境界線を延長して結合する」か、「道路に直角なラインを介して結合する」か選択します。

 

JG_日影測定線_閉鎖線描画設定

【10】「完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に閉鎖測定線その他が出力されます。

 ≪ B 発散測定線 ≫

【5】~【9】  ≪ A ≫ の行程に同じ。

【10】「完了」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に発散測定線と閉鎖測定線(隣地側)その他が出力されます。

 注意:発散測定線が描画されるのは放物線が連続する道路上のみです。行き止まり道路は隣地と同様に閉鎖測定線となります。敷地反対側の道路境界線が敷地に対して延びていないと、行き止まり道路として扱われるので注意して下さい。道路が途中で屈曲する場合の判断は、円弧で閉じるか放物線のままとするか解釈が分かれますが、このソフトでは円弧で閉じない描画となります。つまり、反対側の道路境界線を開放すると放物線を描画し、閉鎖すると行き止まり道路と同じ扱いになります。

 ≪ C 各種注釈 ≫

【5】~【8】  ≪ A ≫ の行程に同じ。

【9】描画設定入力フォームが立ち上がる。道路情報の記載設定から、「境界線延長を記載」、「道路中心線を記載」、「道路幅員を記載」、「敷地面積を記載」、「敷地境界点を記載」を行うか選択します。また、レイヤグループ、レイヤ、線(色)番号、使用する文字種を入力します。

JG_日影測定線_各種注釈 実行画面

【10】「完了」ボタンを押すと、Jw_CADの画面に各種注釈が出力されます。

補足: ≪ A ≫ ~ ≪ C ≫ の行程は共に同じ敷地情報を使用します。どちらかで入力したデータは本ソフト内に記録されるので、「直前を再現」ボタンを使用することで、二度入力する手間を省くことが出来ます。また、【8】の入力の最後に「Excel書出し」ボタンを使用すると、任意のエクセルシートにデータを保存することができ、「JG_延焼線作成」「JG_近隣範囲図」「JG_壁面線後退」等の他の外部変形ソフトに使用できます。