月: 2023年6月

採光補正係数目盛の作成

JG_採光補正 実行画面

狭小地や隣棟間隔が狭い場合に問題になりやすいものの一つに採光の確保がありますが、採光斜線を断面図に記載することで、初期の計画段階で、採光が取れるかどうかを概略的に把握できるようになります。斜線と聞くと道路斜線や高度斜線のように敷地境界側から建物に引いた「規制ライン」を思い浮かべることが多いと思いますが、採光斜線は、逆に建物側から境界線側に引いて作成し、どちらかと言えば「有効ライン」を明示します。用途地域が分かれば勾配が決まってくるので、この点では道路斜線と似ています。

採光斜線と採光補正係数(目盛)

一方で、採光補正係数目盛というものをご存じでしょうか。2000年の建築基準法の法改正で採光補正係数が導入され、それ以前の採光斜線の開口部の高さを1として、それより高い位置にある場合は割増率を、低い位置にある場合は割引率を加えられるようになり、それまで0か1かであった有効性が0~3の間で細かく設定されるようになりました。採光補正係数目というのは、その有効度合いを補正目盛という指標で表したもので、言ってみれば、採光の確保できる可能性を見える化した定規のようなものです。

「JG_採光補正」は、断面図に採光補正係数目盛りを記載できるJw_cadの 外部変形です。通常は、窓の直上にある部分と窓の高さの中心から採光補正係数を算出し、参考値として補正係数目盛りを記載します。

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JG_採光補正 水平距離によって異なる採光補正係数目盛

補正係数目盛りは、建物から隣地境界線または敷地内の他の建物との水平距離と、用途地域によって定まりますので、採光斜線と同様に、開口部の大きさを検討する目安とすることができます。

JG_採光補正 用途地域によって異なる採光補正係数目盛

また、窓の直上の部分が複数ある場合は採光補正係数の小さい方(不利側)を採用する必要があります。次のように、採光が厳しくなると採光勾配(h/d)が立ってくるので、不利側を視覚的に判断しやすくなります。

JG_採光補正 採光勾配(h/d)の比較

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管します。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択します。

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_採光補正」フォルダ内の採光補正.BATをクリックします。

【4】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎窓上部のポイントを指示」と表示されるので、窓の上部にあるパラペット天端や軒先などの建築物の部位をクリック(左クリック (L)で任意点、右クリック (R)で読取点)します。

【5】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎窓中心(高さ)を指示 」と表示されるので、窓の中心点をクリック(左クリック (L)で任意点、右クリック (R)で読取点)します。

 補足:高さのみを読み取るので、水平方向は任意の点で構いません。

JG_採光補正 設定入力フォーム

【6】設定入力フォームが立ち上がるので、水平距離(ミリ単位)と、用途地域(住居系地域、工業系地域、商業系地域から選択)、描画する側(指示点の右側か左側)を選択します。道路に面する場合は「道に面する場合」にチェックを入れます。次に、採光補正係数目盛り(0~3の間の10目盛り、又は1~3までの間の5目盛り)を表示しない場合は「目盛を表示しない」にチェックを入れます。次に、採光補正係数を算定しない場合(目盛りのみ表示したい場合)は、「係数を算定しない」にチェックを入れます。次に記載仕様として、使用する文字種(1から10まで)と線(色)番号(1から9及びSXF色の101~356まで)を入力する。次にレイヤグループとして、描画するグループ(0からFまで)と④描画するレイヤ(0からFまで)を入力します。

 補足:文字種及び線(色)番号は、上記の番号以外を入力すると現在設定で描画されます。レイヤグループは0~F以外の番号(又は記号)を入力すると現在のレイヤグループに描画されます。      
【6】「決定」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に採光勾配(d/h)、採光補正係数(算定式)、採光補正係数目盛り等が描出されます。

JG_採光補正 採光補正係数、採光勾配(h/d)、補正係数目盛の描画

平均地盤面算定図の作成

JG_地盤面算定 地盤面確認用アイソメ

地盤面算定は、建物が周囲の地盤と接する平均の高さを求めるものですが、日影計算用に使用するものと、建物の高さを求めるためのものでは算出方法が異なります。日影計算に用いる場合は「平均地盤面」と呼ばれ、高低差の大小に関わらず一つの建物につき一つの平均地盤面を求めます。一方で建物高さの基準に使用する場合は、単に「地盤面」と呼ばれ、高低差3mごとに複数の地盤面を求めます。そもそも高低差が3m未満の場合はあえて区別する必要もないため、一律に「平均地盤面」と呼ばれる場合もあります。

「JG_地盤面算定」は、この「平均地盤面」と「地盤面」をそれぞれ自動算出するJw_CADの外部変形です。

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JG_地盤面算定 実行画面 「地盤面」算定用平面図
JG_地盤面算定 実行画面 「地盤面」算定用展開図

JG_地盤面算定 実行画面 「地盤面」算定表

地盤面は、高低差が3mを超える場合は3m以内ごとに求める必要がありますが、分け方は大きく3種類あり、一つは最低点から上方へ3mごとに設定する方法(最も一般的)、もう一つは最高点から下方へ3mごとに設定する方法、さらに、任意の高さから始めて上方または下方へ3mごとに設定する方法です。建築基準法の条文では3m以内となっているのでジャスト3mに設定しなくてもよいのですが、防火避難規定の解説によると、3m以外が認められる場合は宅地造成を行った場合等の特殊事情に限られるとされているので、本ツールにおいても3mで規定しています。

JG_地盤面算定 最低点を起点にした領域分割(A図)

JG_地盤面算定 最高点を起点にした領域分割(B図)

A図は最低点を起点に算出した地盤面で、B図は最高点を起点にした地盤面です。この敷地に10mの高さ制限があった場合にどちらの建物ボリュームが大きくなるか比べてみると、この図の場合は最低点から算出した場合のほうが有利であることが推察できると思います(高さは地盤面から測定するため)。実際には、道路斜線や高度斜線の影響、地下階の有無など諸条件によって得失は変わってきますが、物理的には領域の大きい側の地盤面が高くなるように設定する方が得策です。地面の高低差が3mを超える場合は、両方で地盤面を作成して比較してみてください。ただし道路斜線がシビアな場合は、道路レベルに近い側の起点から算出するのが結果的によい場合があります(行政や審査機関が推奨している方法も道路を起点としています)。

JG_地盤面算定 複数棟の平均地盤面1(棟ごとの算定表を選択)

日影図算定用の平均地盤面は、敷地内に棟が複数ある場合(用途上不可分の場合)にあたっては、すべての棟の地盤面を平均する必要があります。その場合、敷地にマスターとなる設計GLを設定し、全ての棟はその設計GLからレベルを算出しておくことが前提となるので注意してください。本ツールでは、入力済みの算定表(この場合は地盤面として作成したもの)を選択することで、敷地全体の平均地盤面を算出します。

JG_地盤面算定 複数棟の平均地盤面2(敷地全体の平均地盤面)

JG_地盤面算定 チュートリアル ~操作の流れ~

操作方法は、以下の通りです。

【1】zipファイルを解凍し、JWWファイル内または任意の場所に保管する。

【2】Jw_cadの[その他]メニュから外部変形コマンドを選択する。

≪平均地盤面を単体で作成する場合(通常)≫

JG_地盤面算定 外部変形メニュの選択(地盤面算定)

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_地盤面算定」フォルダ内の地盤面算定.BATをクリックする。

【4】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎高さ入力ポイントを選択」と表示されるので、高さを入力する建物のポイントを時計回りで順にクリック(左クリック (L)で任意点、右クリック (R)で読取点)し、最後に「点指示終了」ボタンを押す。

【5】Jw_cadのトップメニュー下に、「◎描画基準点(左上)を指示」と表示されるので、算定用展開図と算定表を出力する基準点をクリックする。

 補足:算定用展開図の左上(設計GL基準線の左端)を基準にレイアウトします。

【6】「地面と接する高さ入力」フォームが立ち上がるので、ポイントリストから番号を選択し、高さ①に地面と接する高さを記載し「入力」ボタンを押す。擁壁等で同位置に高さが2以上ある場合は、高さ①と高さ②にそれぞれ記載し「入力」ボタンを押す。前回値を再現する場合は、「前回値を再現」ボタンを押す。入力した地面の形状や平均地盤面をアイソメ図で確認する場合は、「アイソメで確認する」チェックボックスにチェックを入れる。終了した際は、「完了(次へ)」ボタンを押す。

 <高低差が3mを超える場合>

JG_地盤面算定 作業選択フォームと領域設定方法フォーム

【A】作業選択フォームが立ち上がるので、建物高さ算定の基準となる高低差3m以内ごとの地盤面算定を行う場合は、「地盤面(3m以内毎)算定」を選択する。日影規制用の建物高さ算定の基準となる平均地盤面算定を行う場合は、「日影用の平均地盤面算定」を選択する。選択後「OK」ボタンを押す。
       
【B】【A】で「地盤面(3m以内毎)算定」を選択した場合は、「領域設定方法」フォームち上がるので、高低差3mの分割を、最も低い位置から測定する場合は「最低点から」を選択し、最も高い位置から測定する場合は「最高点から」を選択し、任意の高さを設定する場合は、「任意の高さ」を選択しテキストボックスに高さをm単位で入力する。

「OK」ボタンを押すと、【7】記載設定フォームが立ち上がる。

【A】で「日影用の平均地盤面算定」を選択すると、「領域設定方法」フォームが表示されることなく【7】記載設定フォームが立ち上がる。

 

 注意①:「任意の高さ」を設定した場合は、高低差3m以内で自動的に分割されます。高低差を任意に設定することはできません。  

 注意②:高低差が9mを超える場合は算定できません。 

 

JG_地盤面算定 形状確認フォーム

 補足:【6】で「アイソメで確認する」チェックボックスにチェックを入れた場合は、「形状確認(アイソメ)」フォームが立ち上がります。入力した地面の形状や分割位置、地盤面のレベル(赤線表示)を確認することができます。形状は回転ボタンで上下左右に回転することができます。また、高低差が小さく見づらい場合は、縦倍率ボタンで高さ方向の倍率を増減できます。「地面と接する高さ入力」フォームに戻る際は、「高さ入力に戻る」ボタンを押します。戻った際は、「前回値を再現」ボタンを押すことで入力値を再現した上で変更が行えます。形状確認後、「確認(次へ)」ボタンを押します。

 <高低差が3m未満の場合>

【7】記載設定フォームが立ち上がる。(「作業選択フォーム」と「領域設定方法」フォームは表示されません。) 

 補足:【6】で「アイソメで確認する」チェックボックスにチェックを入れた場合は、記載設定フォームの前に「形状確認(アイソメ)」フォームが立ち上がります。入力した地面の形状や平均地盤面のレベルを確認することができます。

JG_地盤面算定 記載設定フォーム

 【7】記載設定フォームが立ち上がるので、展開図仕様から、距離(X方向)に対する高さ(Y方向)の倍率を1から10倍の範囲で入力する。次に、面積算定領域の塗りつぶし色の濃度(グレーのみ)を最も濃い色を1、薄い色を10とした10段階で入力する。次に記載仕様から、線(色)番号(1から9まで)と文字種(1から10まで)を入力する。次にレイヤグループから、描画グループ(0からFまで)と描画レイヤ(0からFまで)を入力する。次に、「日影用の平均地盤面算定」を選択した場合で棟番号を記載する時は、「棟番号を記載する」チェックボックスにチェックを入れ、テキストボックスに番号を記載する(地盤面算定の場合は非表示になります)。作成した算定表をExcelに出力する場合は「計算結果をEXCELに書き出す」チェックボックスにチェックを入れる。

 補足:線(色)番号及び文字種は1~9(10)以外の番号を入力すると現在設定で描画されます。レイヤグループは0~F以外の番号(又は記号)を入力すると現在のレイヤグループに描画されます。

【8】「OK」ボタンを押すと、Jw_cadの画面に算定用平面図(ポイント間の距離とポイント番号及びその高さ、また地盤面算定の場合は分割線)と算定用展開図、算定表が描画される。

JG_地盤面算定 算定表の端数処理

 補足:最終的な平均地盤面の値はm単位で、小数点以下4桁を切り捨て、小数点以下3桁で算出します。地盤が低い側つまり安全側で算出するため、負の値の場合は0から遠ざかる値となります(絶対値の値が一つ繰り上がります)。     

 ≪敷地全体の平均地盤面を算定する場合≫

JG_地盤面算定 外部変形メニュの選択(棟の平均)

【3】ファイル選択で、保管した場所にある「JG_地盤面算定」フォルダ内の「棟の平均.BAT」をクリックする。

【4】Jw_cadのトップメニュー下に、「平均する地盤面算定表を全て選択」と表示されるので、地盤面算定表を全て選択し、「選択確定」ボタンを押す。次に、「◎算定表の配置基準点を指示」と表示されるので、算定表を配置する基準点(表の左上)となる任意の点をクリックする。Jw_cadの画面に集計表が描画される。

JG_地盤面算定 敷地全体の平均地盤面算定表

 重要:集計できる地盤面算定表は、本ソフトで作成した地盤面算定表のみです。また、算定表の文字や数値の位置を変更する等の編集を行うと、正しく算定できない場合があります。

 補足:最終的な平均地盤面の値はm単位で、小数点以下4桁を切り捨て、小数点以下3桁で算出します(地盤が低い側つまり安全側で算出します)。そのため、負の値の場合は、0から遠ざかる値となります(絶対値の値が一つ繰り上がります)。